金沢の超予約困難店で至高の牡蠣鍋。これぞ牡蠣の最適解! みふく(金沢市尾張町)

ゲーム界の覚者・O尚さんプレゼンツ・二泊三日石川くいだおれツアー。昼間の一人旅を終えましたので、ホテルで転がって夜を待ちます。

18時を回って全員集合の時が近づいてきた。夕食はたしか主計町茶屋街だから、ホテルが並ぶ香林坊エリアから徒歩20分少々でしょうか。歩いてお腹を空かせるぞ〜。

道中でツアーメンバーが乗ったタクシーに抜かれたりしながら主計町茶屋街に到着。目指すは中の橋左岸にあります、

牡蠣鍋専門店の「みふく」さんです。一見さんは予約不可。牡蠣シーズンのみの営業のため、予約を取れる人でも二年待ちというSSRやEpicを超えたレジェンダリー店。

O尚さんが二年前の予約を持っていたというのが今回の旅の発端でした。本当に声をかけていただいてありがとうございます。そうでもなければ絶対来ることないお店だよね。

入るなり「あらすごい服〜!」とフレンドリーに話しかけてくる着物の女性‥女将さんでしょうか。もしかしてドレスコードとかありました?黒地に金のマリア様柄ジャージなんてNGかしら。

単に珍獣を見た時のように面白がっているだけみたいでした。そうだよね、いつもの客層はレディースアンドジェントルメンだもんね。気さくで素敵な女将さんで良かった。

広い和室にはテーブルが二つ。

仲居さん「奥が牡蠣鍋で手前は牛鍋となりますが、どちらも食べられますのでお好きな所にどうぞお座りください」

え、牡蠣鍋が名物と聞いていたけど牛鍋も?

運ばれてきた牛鍋の具材がこちら。なんと6名以上でお願いすると注文できるという、激レア店のさらに裏メニュー。さすがO尚さん、抜かりがない。

ぼくは奥、牡蠣鍋のテーブルに座らせていただきましょう。

こっちが牡蠣鍋。丸々と育った見事な牡蠣ですね〜!ネギも太く立派で巻きが密で、千住ネギとかそっちの系統かな?

というか石川って白ネギ圏なんだ。そうか、考えてみれば白ネギの殿様である下仁田ネギは加賀ネギの親戚だもんな。

鍋の出汁には味噌が扇状に盛られています。二つの鍋の間に仲居さんが座り、調理から取り分けまでの鍋差配をやってくれるスタイル。出汁も具も完璧な状態で提供されることでしょう。

きな粉かと思ったら、細かくおろされた生姜だった。秘伝のブレンド味噌とたっぷり生姜の出汁で牡蠣鍋!

それをすき焼きみたいに溶き卵で食べるとか、あまりにも未知で楽しみなんてもんじゃないぞ。

先付けのイカに彩りのかまぼこをのせてくれてスタート。ここで飲み物も聞かれます。日本酒は冷たいのと常温と選べるので冷酒をいただきましょう。ビールは瓶のみ、メーカーはいくつか選べるようです。

それでは良いツアーになりますように、かんぱ〜い。この瞬間のためにお酒を二日間飲まず、昼から15,000歩ほど歩いておいたのだ。思わずうめえと声が漏れた。

まずは牡蠣だけ、牛だけを煮てくれるのですか‥と、ここで軽い事件が。

仲居さん「ごめんなさい、色がちょっと違うと思ったらお出汁が逆でした。こんなこと初めてですよ」

逆というのは?

仲居さん「お肉と牡蠣で出汁を変えてあるんですけど、お鍋の置き場所が逆でした。次からは入れ替えますね。ちょっと味が薄いかもしれませんが、お肉をどうぞ」

そう言いながら一人一人のとんすいに肉を入れてくれます。

え、これに何か問題が?めちゃめちゃうまい味噌味のすき焼きなんですけど。ピッタリ赤味が消えた完璧なタイミングもさすがとしか言いようがない。

仲居さん「お肉の方が甘味とか濃くしてあるんですよ。少し色が違うと思ったら‥ごめんなさいね」

今度はそのお肉用の出汁で煮た牡蠣が分けられます。

プリプリ感は生牡蠣のまま、ギリギリの加熱で旨味と香りが頂点に達した大粒の牡蠣。甘めの白味噌とたっぷりの生姜による豊かな風味まで加わって‥ちょっと信じられないくらいうまい。ただでさえ大好物の牡蠣だけど、はっきり過去の牡蠣で一番うまい。

友人「これはもう、牡蠣の最適解ですね」

そうだ、これぞ牡蠣の最適解だ。シャンパン蒸しにしている場合じゃないぞ士郎。

以降は正規の出汁で。こちら側の鍋が牛鍋になりました。他の具も入って鍋らしい雰囲気となってきます。

ふた切れ目の牛肉をもらったら、確かに甘辛の塩梅が強めな気がする。脂の分だけ味を強くしているわけですね。白メシが欲しくなっちゃう甘辛和牛はまさに日本の味。

合間にその他の具も取り分けてくれます。焼き豆腐に生麩に椎茸。どれも吟味されていて、なんともお酒が進みます。

仲居さん「牡蠣とお肉を追加いたしましょうか?」

食べっぷりを見てからおかわりを聞いてくれるとは、パリから出店してきた鴨料理店のような巧妙さ。行ったことないけど昔のマンガで見た。

もちろん満場一致のおかわりコールは言うまでもないことでした。

なんと、おかわりの量が最初の倍くらいありませんか?食べっぷりから弾き出された量がコレということか。

(友人撮影)

牡蠣は遠かったので同行メンバーの写真を拝借。しかし見れば見るほど丸々と素晴らしい牡蠣だなあ。10月〜4月頭だけの営業というのは、この品質を守るためなのでしょう。

仲居さん「お肉がそろそろ煮えますけど、ぜひお酢の方も試してみてくださいね」

お酢って餃子とか食べるあの酢ですか。透明の汁が入った小鉢はなんだろうと思ってはいましたが。

なんとなんと、味噌仕立ての牛肉を酢で食べるとスッキリさっぱり、こいつはスルスル入ってしまう。ひや〜うまい。自宅ですき焼きの時にマネをしたいけど、三杯酢かなあ‥どうせこうは行かないよなあ。

3つめくらいで今日イチのでっかい個体キター!プリンプリンに太ったところにかぶりつけば、温かな磯エキスが口中に広がる‥惜しいけど飲みこみ、お酒をクイっと‥いかん、泣いちゃうかもしれん。間違いなく最適解です。過去の牡蠣といわず、食べ物全てでも最上位と思う。

卵を追加してくれて、肉と野菜がさらに入ります。ご立派なネギは火が通ることで秘めたる糖度が全開バリバリ。

仲居さん「こちらは深谷のネギなんですよ」

なんと、やはりそうでしたか。ほぼ同郷じゃないかネギくん、渋沢栄一さんによろしくね。しかしすごい巻きだなあ。深谷ネギの中でもエリートであることは間違いなし、牡蠣や牛に次ぐ見事な役者です。

牡蠣、牛、野菜と食べつくし、お鍋すっかり食うものなし。いや〜お腹いっぱい。鍋ということはシメがあるのかもしれないけど、みなさん大丈夫ですか?

O尚「いや〜、苦しいくらい食べたよね」

仲居さん「それでしたら牡蠣ごはんにいたしましょうか」

牡蠣‥ごはん?

牡蠣出汁で炊かれたご飯に海苔・ワサビ・紅生姜!こんなのお腹いっぱいでも入っちゃう、否、入れてみせますとも。

仲居さん「二口ほどそのまま食べていただいて、後は出汁茶漬けにするのがおすすめです」

言われるままに出汁を張っていただくと‥もう誰にもこの座を譲りたくないほど幸せだ。こんな幸福な満腹があるか。いやない。嬉しくて芋のロックも頼んじゃう。

デザートはデコポン。まるっと一個をポンと出されます。お腹いっぱいの人は宿に帰って牡蠣の味を思い出しながら食べろということだね。

もちろんこの場でいただきます。これまた選び抜かれた逸品、甘さと柑橘らしい酸味の拮抗がたまらんね。

そしてお会計はといえば‥なんと15,000円。池波正太郎じゃないけど、そんなバカらしい。もっと取ったらいいじゃありませんかと言いたくなる。こんなに素晴らしいお店が予約で埋まらないはずはなかった。

‥O尚さんは無事二年後の予約が取れたようですね。一年半くらい経ったら、それとなく「金沢の牡蠣おいしかったですね〜」とか言ってみるか(それとなくない)。

みふく 石川県金沢市尾張町2-16-37

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