パエジャ(パエリア)の主役はコメでした バカラオ亭(土浦市)

茨城県土浦市に到着。横綱稀勢の里の出身地である牛久市が近いこちらも盛り上がっていることでしょう・・いやいや、近くもなにも同じ部屋の高安関はまさにこの土浦市出身か。いつの間にか相撲首都茨城に。

とは言いましても、別におすもうさんの聖地巡礼に来たわけでも、土浦名物夜の高級風呂に来たわけでもありません。こちらにドイツ料理が美味しい店があると聞いて食べに来たのです。ドイツ料理といえばなんでしょう。ジャガイモのパンケーキとマッシュルームのスープ、焼きソーセージにザワークラウトあたり?

が、店を予約したのは夜。でも昼に着いちゃったのでどうしよう・・・確か駅から2・3キロのあたりにスペイン料理屋さんがあると聞いたことがあります。なんて名前だったか・・ああ、ここだ。「バカラオ亭」さんです。ヘンテコな名前ですが、「大使閣下の料理人」ポルトガル編によると、干し鱈のことをバカリャウとかいったからその意味かな。

入口が結構な急坂なのですこーしだけ駐車難度が高いかもしれませんが、駐車場は数台分あります。そしてわかりやすい田舎な風景の中で異彩を放つ、たぶん南欧風の建物。

ドアの前にランチメニューが貼られているので見てみましょう。パエジャっていわゆるパエリアかな。2人前よりで2400〜3300円、パスタは1300円、ランチ料理は1500円から。なかなか本格的そうなお値段です。

店内に入ると、おおー!ここは本当に茨城なのか?フライングバルセロナアタックでもかまされそうなほどスペイン!

さあ踊れよフラメンコ、燃える赤い薔薇のように・・!あれれ、私の中のスペイン知識ってスト2しかないの?あとはえーと・・・ピカソとガウディはスペインだったかな。

なんて考えていたらマスターとおぼしき紳士がやってまいりました。

マスター「すいませんね、ちょっと準備が遅れちゃって。こちらランチメニューです」

マスター「色々な料理ができるけど初めてならパエジャがオススメです。美味しいと思いますよ」

ぜひお願いしたいところですが、2人前からとありますがやはりそうなんでしょうか。一応少食なので、できましたら1人前が嬉しいです。

マスター「1人用もやってみたんだけど、鍋が小さくて鉄が薄いから米に味がしっかり染み込まなくてやめたの。でもご飯は薄く広がってるから量は少なめだし、美味しいから2人前なんてあっという間よ?4人前食べる人もいますね」

なるほど、美味しくて量は多くないのですね。ならいけるかな。一応他のメニューも見てみましょう。

スペイン料理屋さんのエビとクリームのパスタとか鶏肉とマッシュルームのトマトソース煮も気になってしかたない・・いや、やはりここは売りであるパエジャにしましょう。魚介のパエジャをください。

マスター「ありがとうございます。注文をいただいてから炊くので40分くらいかかりますので、スペインの本とかあるんで読んで待っててください。甥が向こうにいてね、写真とか色々送ってくるので」

あら本当、スペイン旅行特集の本とか色々ありますね。食べるまでに完全にスペイン気分にさせようというのですね。なんとニクい演出。

ついでにディナーメニューも見つけたのでちょっと拝見。2・3ページしか写真を撮らなかったけど、6ページくらいあったような。そうか、スペインといえば世界に誇るハモン・セラーノがいたのか!タパス(前菜)も数多くありそうだし、これは夜に来てワインを飲まねばいかん店だったか!

タラとジャガイモのパエジャって未知すぎて食べたし、食べたし!

1980年代のスペインうまいもの特集を興味深く読んでいたらアイスコーヒーとサラダが到着。アイスコーヒーは最初から甘いヤツであれれと思いましたが

サラダがうまい!酸味も爽やかなドレッシングが食欲を刺激しすぎます。これは期待が高まる一方!

ガーリックパンがやってまいりました。前菜になるのかパエジャと一緒に食べるのか・・うん、せっかくだからあたたかいうちにいただきましょう。

ご丁寧に切れ目も入れてくれてあります。おおー、思ったよりふんわりの美味いバゲットにしっかりとしたガーリック風味!これはハモンセラーノをのせてしまうとワインが止まらないヤツではないですか!

注文の約45分後にパエジャ到着、到着〜。こ、これはイカん!!完全無欠のビジュアル!サラダとパンで食欲はすでにレッドゾーンに突入しています。突撃ー!!

マスター「あ、ちょっと待ってくださいね」

なななななんですか、今なら裸ワイシャツの波瑠さんがいてもパエジャの方に食らいつくというのににに!!

マスター「写真を撮ったらね、こうして混ぜて真ん中に寄せるの。するとうまい具合に米が蒸れてさらにおいしくなりますからね」

と手早く混ぜてくれます。うはー、なるほど。がっつくにも段階を踏んだ方がいいということですね。

イカ・エビ・アサリ・ムール貝に色とりどりのピーマンがチラチラとセクシーショットを見せながら混ぜられていきます。ものすごく良い香りだ・・・もう待て〜ん!

マスター「はい、食べごろですよ」

皿に移すのももどかしくいただきましょう!バクバク・・・うぎゃー!!これはたまらん!

具の魚介の旨味が全部米粒の中に引っ越しして凝縮されている!芯がちょうどなくなった頃合いの米の噛み応えもたまらん!!そうか、これでもかと海鮮がのったパエリアとかよく見るけど、真のパエジャは米が主役の料理だったのか!!

マスター「この味の染み込みがね、一人用鍋だとうまくいかなくて・・お焦げのデキもイマイチなんですよね」

レモンで味変も楽しみましょう。うわー、ググッと風味が増した。個人的にはレモンがかかった状態の方が好み。うーむ、これは飲みたくなる。

マスター「向こうで食べるパエジャはコメに芯が残っている方が喜ばれるんですよ。コメも野菜の一種なんですね、向こうでは。でも日本でソレを出すと炊き直せとか言われちゃうんでね、難しいですよ」

コメが野菜・・・!ミスター味っ子最後の勝負の味皇の発想ではないですか。スペイン人はオール味皇だったのか。

鉄鍋パエジャのお楽しみといったらもちろんこのお焦げですが、むむ、取れん。

マスター「年季が入った鍋なんでね、そこがデコボコになっちゃって。今集めますからね。焦げが好きなら焦げ多めとか、芯ありとか色々細かいオーダーもできますし、先に電話いただけばご来店の時間に合わせて作りはじめておくこともできますから」

とかしゃべりながら集めてくれたお焦げ、もはや香ばしいとかそういった言葉で済むウマさではありません。くそー、なんでこんなウマい店に今まで来なかったんだ。マスターは気さくを通り越しておしゃべりさんで楽しいし。次は夜飲みに来る!決めた!

そしてお会計。3300円の消費税なので3564円ですね。4000円で・・・

マスター「あれ、両替行くの忘れちゃってお釣りがないな。細かいのないですか?」

財布をひっくり返しても326円しか出てこないです。

マスター「あ、じゃあそれでいいです。これもスペイン式ね」

なんと!結局一番の看板メニューはマスターだったというオチでしたか!

 

バカラオ亭 茨城県土浦市木田余2544

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