すっぽんの生き血、生き肝、黄金のスープ!これは脱帽だ 別館 辻むら(台東区・浅草駅・TX浅草駅)

例によって会話部分はテキトーな記憶で書いております。料理の方は正確に思い出すようがんばっているつもりです。

うーむ、すっぽん食べたい‥鍋はもちろんですが、肝の刺身も食べたい‥鍋ならともかく、肝刺しとなると1匹丸ごと捌いてもらうことになります。つまりちょっと量が多い。「すっぽんコースは2名様より」の店も多いしなあ‥

「そういうことなら手伝いましょうか」

あら、アクセサリー作家のN又さん。そうか、N又さんがいれば残してしまう心配はないですね。

N又さん「そこは任された!心配しないで!」

大船どころか超弩級戦艦に乗ったような頼もしさだ。行きましょう行きましょう。

やってきたのは浅草駅より徒歩10分程度、観音裏と言われるエリアにありますふぐとすっぽんのお店、「別館 辻むら」さん。小さいながらも風格がありそうな店構えです。すぐ近くに本館もあるようですが。

N又さん「なんで別館?」

その理由はのちほど‥予約しておいたので、すんなりと奥の座敷席に案内してもらいます。やあ、掘りごたつ式の席で楽チン。

せっかくなのでメニューを見てみましょう。へー、ふぐコースは5000円からなのか。安いな。

N又さん「特上とらふぐはさすがのお値段」

そしてすっぽん丸鍋ですが、本日は二人なので九州産13000円でお願いしてあります。静岡産18000円は大きいから4人でもいけるとか。4人で頼めば、1人あたり税込5000円ですっぽんを楽しめるわけです。飲み物代は知らん。

N又さん「安‥くはないけど、イメージほど高くはなかったかも」

ふぐは単品メニューもあるのですね。焼ふぐで一杯さくっと飲んで帰る、そんな粋すぎるおっさんになりたいものですが‥

N又さん「間違いなく一杯で済まないからムリだね」

日本酒もそこそこ豊富ですからね、一杯で済むわけはない。そうでした、飲み物を頼まないと。

N又さん「とりあえずハイボールで、そのあとはすっぽんだから‥やっぱり日本酒がいいのかな」

そうですね。潟の松風って見たことないので、300mlで頼みましょう。八海山、久保田、獺祭とN又さん好みっぽいお酒がズラリと揃っていますので、まあそちらは後ほど。

ワインと焼酎もあるのね。すっぽんとワインって合うのかしら。結局試さなかったので知らない。

店員さん「お待たせしました〜。すっぽんの生き血で〜す」

N又さん「これが出るって聞いたので、楽しみで‥」

生き血というと尻込みする人が多いのに、楽しみだと‥?そうだった、生肉大好きで日光に弱いという吸血鬼疑惑がある方でした。オキナガか亜人(デミ)か‥

N又さん「うーん、味わって飲んでみたけど、血の風味は感じないというか‥割ってるオレンジジュースがすごく美味しいから、その味」

本当だ。フレッシュオレンジジュース味ですね。飲みこんでから時間差で、すこーしだけ「鼻血を飲み込んだ時の匂い」がするくらいかな。

店員さん「はーい、肝のお刺身になります〜」

N又さん「待ってました!どれが何なのかな」

店員さん「はい、すぐ板前さんに確認しますね」

板前さん「えーとですね、左の一番多いのがレバー、肝臓ですね。これは最高に美味しいです。そして白いタラコみたいなのが精巣。オスでしたね。残りは上から心臓胆嚢脾臓です。胆嚢はものすごく苦いので、絶対に噛まないでお酒と一緒に飲みこんじゃってください。これはそうですね、男性にオススメ」

どうオススメなのか知りませんが、それでは胆嚢は私が飲んじゃう。心臓と脾臓はどう分け‥‥はい、両方ともN又さんがいっちゃってください。

N又さん「(人´ω`*).☆.。.:*・゜」

まずは精巣、つまり白子を‥へー、サケとかタラの白子より表皮がプツンとした歯ごたえ。そして白子らしくトロリとした濃厚な旨味‥生臭さはどこに行ったのだ。

N又さん「信じられないくらい臭みがなくてすごくおいしい。そして心臓と脾臓はコリッコリ!味は‥うーん、あるのかな?ないのかな?」

サメの心臓の刺身を食べた時も思ったのですが、とにかく歯ごたえが楽しくて、味そのものはあんまりないですよね。でもでも、レバーは‥

N又さん「鶏レバーに近い気がするけど、、こんなに澄んだ味で、しかもコッテリ旨いレバーはないよ!すごいよこれ!」

爬虫類だから鳥寄りなんですかね。とにかくこれは酒に合いすぎるので、八海山の純米吟醸をくださーい。

肝刺しだけで結構な量の日本酒がなくなりましたが、主役のすっぽん丸鍋がやってまいりました!蓋をされた土鍋と一緒にやってきたのは、白菜と春菊のみというシンプルなザク。

N又さん「あ、白菜の芯のところは拍子木型に切ってあるよ。細かい」

まあ、それはダシを吸ったら泣くほどウマい形状ではないですか‥!

蓋をゴクンと開けて、野菜を投入しますかー!すでに半ば煮えている中身は、焼きねぎ、さらしネギ、豆腐‥すっぽん肉は沈んでいると思われます。

N又さん「すごくおいしそうな、綺麗な油が浮いてる‥」

この黄金のスープこそすっぽんの真骨頂。そしてここに別館を選んだ理由が。

N又さん「なんで?」

本館はしっかりとした濃いめの味付けで、別館はすっぽんのダシそのものを活かした最低限の味付けと聞きましたので。N又さんは初すっぽんだから、ダシがそのまま楽しめそうなこっちがいいかな〜と。

N又さん「なんと!確かにその方がいい!さすが自称飯ブロガーだね」

なーんて言っていたら、白菜がいい色になってきました。いただきますかーっ!いざ、推して参る!

うひょー。オタマで軽くすくったら、ウマそうな部位がゴロゴロ。これはコンブみたいに見えますが、有名なエンペラ。ゼラチンふるふるで、口に入れるととろけます。そしてじゅわーんとすっぽんスープが広がります。たまらんぞ!

N又さん「こ、このダシは‥!ケモノでもサカナでもない‥けどすごくおいしい‥!」

足の根元あたりには肉もあります。これまたケモノでもサカナでもないけど、たまらなくウマい‥すごいぞ、爬虫類。

N又さん「意外と歯ごたえがある肉だね。そしてこんなにダシが出てるのに、肉そのものにすごい旨味が残ってる。うわー、すごくおいしい。本当においしい」

困るほどおいしいので、この辺で獺祭を頼みましょう。

この黄色い脂身もたまらない。なんでしょう、この全部が旨味の生き物‥

N又さん「ここの骨、三つ又でおもしろい形〜!グリングリン回りそうだから肩の骨かな。全力で回して泳ぐぜ〜!みたいな感じで」

ああ、骨が大好きなんでしたっけ。本当だ、なんかユニバーサルジョイントな形状でかっこいいぞ。

N又さん「こんな形の骨は見たことないよ〜。ポケットに入れて持って帰ろうかな」

ダンジョン飯の主人公みたいなことを言いますね‥

すっぽんスープを吸った白菜の芯は、想像通り天下の美肴。そしてフルフルな皮、旨味たっぷりの肉、トロトロな脂身の全てが揃ったパーフェクト部位を発見!

N又さん「そこはズルい!もう一つくらいないかな〜」

ああ、そしたらいいものがありますよ。店員さんすみません、大きめなお皿を一枚ください。

お皿に甲羅をゴロリと置くとほら、裏側にこんなにウマそうな肉が。そしてまわりのエンペラもまだタップリ。

N又さん「本当だ!これは‥どう分ける?」

どうぞどうぞ、お好きなようにワシワシ食べちゃってください。

N又さん「ひえ〜、なんと幸せな‥!ありがたくいただきます」

見事に綺麗になりましたね。

N又さん「これ、持って帰れないかな‥猫さまの反応が見たい」

骨は知りませんが、甲羅は言えば洗ってくれる気がします。

N又さん「よし、もらって帰ろう」

ネギの一筋も残らぬよう具をすくったら、黄金のスープを店員さんに渡しましょう。数分後、あまりにも良い香りのすっぽん雑炊となって帰ってまいりました。

N又さん「あのダシの雑炊‥ひええ‥たまらないよ〜!」

たまらない!雑炊でも酒が飲めちゃう。久保田の萬寿くださ〜い。うあーウマい!

N又さん「一言でいうと、すっぽん最高」

すっかり幸せになったところで帰りましょう。甲羅を受け取って‥やあ、店主さんなのかな?年配の男性がカウンターで晩酌を楽しんでいる。

店主さん「ありがとうございました!いかがでしたか?」

N又さん「ほんとおいしかったです〜」

店主さん「よかった〜。今俺が飲んでるのね、十四代の酒造さんの普通には売ってないヤツなの。お酒好きみたいだったから、これ出せば良かったね!」

おおっと、そんな大切なことをなぜ今!次回は最初に頼みますよ!

 

N又さん「おいしかったなあ‥」

どうやらすっぽんは非常にお気に召したようですね‥私も久しぶりに食べましたが、今回のすっぽんは特においしかったなあ‥ところであのー、すっぽんに満足したはずなのに、なんで我々は馬刺しを食べているのでしょう?

N又さん「シメのラーメンの代わり、シメの馬刺しだよーう」

馬刺しは別腹‥なのか。

 

別館 辻むら 東京都台東区浅草 3-34-6

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