野毛最強の行列焼き鳥屋さん、末広!金曜の夕方なんて入れるわけが…えっ、空席アリなんですか? 野毛 末広(横浜市中区・桜木町駅)

横浜美術館ルノワール展をやるそうです。いかがでしょう」

おお、美術品と焼き鳥をこよなく愛する作曲家のS葉さん。ルノワールは大好きなのでぜひ行きましょう。

おおう、オランジュリー美術館のピアノ少女たちが横浜に来ていたとはっ!最高だっ!

素晴らしい展示に酔いしれた後は‥S葉さんですからね、やはり焼き鳥ですか。

S葉「もちろんです」

横浜美術館といえば桜木町、つまり野毛の飲み屋街も余裕で徒歩圏内ですからね。焼き鳥屋さんには事欠きません。

S葉「野毛はよく知らないのでお任せしてよろしいでしょうか」

任されましょう!そうですね〜、金曜の5時か‥ダメ元で野毛の大人気店の前を通るだけ通ってみます?何かの間違いで行列がなかったりして‥そんなわけないか。

ほ〜ら、すごい行列が‥あれ‥ない?ないよ!なんてことだ!看板が明るいから休みじゃないですよね?

S葉「今日は大雨でしたから、みなさん外出を控えているのでしょうか」

そういうことですかね。とりあえず戸を開けて聞いてみましょう。あの〜、二人ですけど大丈夫ですか?

「途中でカウンターに移ってもらうかもしれませんけど、そちらのテーブル席にどうぞ」

えっ、ホントにOK?うわ〜、試しに見てみるもんだなあ。

まずは飲み物ですが、ここは末広さんです。メニューもロクに見ないでとりあえずたぬきを常温でお願いしましょう。

S葉「僕は‥壁に貼ってある秋味をいただきます」

ビールは全てビンという老舗らしい潔さです。小ビンもあるのがいいですね。

はい、たぬきが来た!かんぱ〜い。

S葉「なるほど、徳利がたぬきなんですね」

中身は日本酒、白鹿です。シカだけどたぬきなんです。常温・ぬる燗・熱燗とありますよ。たぬきのどこからお酒が注がれるかは秘密です。

それでは焼き鳥を頼みましょう。各種2本以上の注文ということですが、2人なのでかえってちょうどいい。とりあえずかわ・すなぎも・ねぎ肉・ピーマン肉・ぎんなんをお願いしましょう。

店員さん「そちらですと塩でおいしく焼きますけどよろしいですか?」

は〜い、ぜひともおいしくお願いします。

S葉「くずさずにお召し上がりくださいというのは、串から外さずにということですか?」

そうです。実際に串が来れば理由がわかりますよ。

焼き鳥以外のメニューはなんと冷しトマトのみという思い切りのよさ。焼けるまではこちらでちびちびといきましょう。

第一陣が到着!ぎんなんです。もうもうと立ち上る湯気、美しいぎんなんにぱりぱりじゅあ〜の皮、やはりウマいぞ末広。

S葉「いいですね、皮の脂の香りが違います」

ピーマン肉はちょうどいい量のピーマンが一緒に口に入ってくるよう計算されつくしています。すなぎもは新鮮そのもの、ゴリゴリ素晴らしい歯ごたえ。

この辺はみんな塩なので、お店オリジナルの味噌をつけるのもアリですね。生姜が効いてすこし甘くて、白メシやキュウリにもつけてみたくなる。

S葉「なるほどわかりました。一口でちょうどいいサイズに肉とネギやピーマンが切りそろえてあったりして、串で上から食べるのが一番おいしくなるように仕込んであるのですね」

こんな丁寧な仕事ですもの、ほぐしてしまっては申し訳ないというものです。

この辺で麦焼酎の神の河ロックにチェンジ!たっぷりとした身の焼き鳥は焼酎が似合うのと、もうひとつ。

S葉さんがモツ(鳥レバ)を注文したから!鳥レバの濃厚な味とお店独自のタレのウマさは、焼酎ロックでスカッと飲むのが正解な気がしたわけです。

S葉「このモツはすごいですよ‥!全国のレバー嫌いに食べてほしい。プリプリで旨味が詰まっていて、レバーのおいしいところがバッチリです」

久しぶりに食べましたけど、こんなに美味しかったのですね〜。いや、これはレバー嫌いには黙っておきましょう。レバーが減っちゃうしお店が混んじゃう。

お次もS葉さん注文のなんこつ。

S葉「なんこつ‥ヤゲンが来るとばっかり思っていました」

こちらのお店では、軟骨まわりの肉と細かい軟骨なんですね。軟骨まわりの肉といえば‥

S葉「肉は骨の近くが一番味が濃い!そしてそこにコリコリの歯ごたえ!これはなんで他のお店がマネしないのでしょう?」

やっぱり手間がかかるのでしょうか。こんなの永遠にお酒が飲めてしまうわ。

焼いている所に置いてある巨大なしいたけが気になってお願いしたしいたけ肉ですが、そうか、こちらは肉とセットだったか。しいたけそのまんまの場合は「しいたけ」を頼むのですね。

S葉「ですがこれ、すごくおいしいですよ」

えっ?ああ、ホント‥肉厚にもほどがあるしいたけと肉が全力でぶつかり稽古じゃないですか。味噌をつけるとさらにおいしい。

こちらは手羽先!前回やたらと美味しかった記憶があります。

S葉「串に刺さっていませんけど、どんな感じ‥?ああ、焦げ部分はかろうじてくっついてるだけですね」

これは手づかみでいただきましょう。アチチ。かじるとほとばしる肉汁!スカッと骨離れがよすぎる身!やっぱり最高の上だった!

S葉「全部おいしかったけど、これはトドメですね!素晴らしいです」

鶏肉の素性と焼きのウデマエが生み出す素敵な焼き鳥たち!いや〜、行列もやむなしです。

小一時間たったところで、次の方に席をゆずりましょうか。幸いカウンターに移ることもなかったし。

S葉「そうですね!至高の焼き鳥時間でした」

野毛 末広 神奈川県横浜市中区野毛町2-76

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