江戸前握りのコースとソムリエ厳選の佳醸をお得に!いやお得すぎる、練馬だから? 鮨と美酒 ひ乃(練馬区・練馬駅)

今年の二月頃に練馬駅近くで開店した「鮨と美酒 ひ乃」さん。

大将が銀座で磨いた握りの技と、ソムリエが厳選したワインと日本酒、そして素晴らしいホスピタリティにより、バンバンと常連客が増えている模様です。

予約困難になる前に行きましょう!と約束をして、今回ご一緒したのは‥元プロレスラーにして、現在は高円寺でCACCを伝えるレスリングの使徒、宮戸優光さんです。

学生プロレスでUWFのマネゴトをしていた身にとってなんたる僥倖。過去のぼくよ、ちゃんと生きていればいずれ宮戸さんとお酒を飲めるからな。

練馬駅西口より徒歩5分弱の好立地です。夜のおまかせコースはなんと税込8,800円。練馬の物価はどうなっているのでしょうか。

最近4,000円程度のランチも始めたそうです。昼からお得に鮨と美酒!やってみたいなあ。

ワインまたは日本酒のペアリングコース5,500円もあるそうですが、間違いなく足りないので、「こんなタイプをお願いします」という半おまかせのアラカルトで行きましょう。

カンパイドリンクは神奈川の隆 純米吟醸 五百万石 無濾過生原酒。スト2みのある名前ですね。無濾過生原酒は無条件で好き。

温かい甘海老の出汁でスタートです。甘海老といえばその名の通り甘さばっかりチヤホヤされるけど、海老の風味そのものもすごいんだな。

焼き立て玉子焼き。アタマにギョクを持ってきて、まずは大将のウデマエを披露だなんて憎いことを。玉子にはどんなお酒がいいんですかねと聞いてみれば、

宮城の綿屋 特別純米酒 院殿が出ました。綿屋はよく飲むけどコレは初めて。穏やかな香に旨味がしっかり。なるほど、肉や玉子を呼びそうです。

宮戸さんは石川のお酒が好きだそうです。あいにくとこの日は用意はなかったようなので、在庫の中では北陸に近い(?)山口の中島屋 夏 純米吟醸。片口で出してもらってぼくもいただきましょう。

桜鯛昆布締メ。シュッとした赤酢ご飯と鯛の締まった歯ごたえが爽やかで夏酒にピッタリ。

さらに小肌と、夏酒向きの握りでたたみ込んでくれますね。

わらさの幽庵焼きとホタルイカ。木の芽味噌の塩梅が素晴らしい。もう一名一緒に来た方は「これは美味しいですね〜」と百万ドルの笑顔でした。

イカに見えるけど生だこです。あっさりとした白身の極北といえる味‥いや白身じゃないんだけど、落語家がそう言っていた。夏酒のおかわりを重ねてしまう。

赤い彗星が来たーッ!中トロだーッ!

ひ乃さんのホンマグロは確かな仕入れと見事な技で、まさに3倍うまい、うますぎる。

この辺でソムリエが我々の会話に気がつきまして、もしかしてプロレス関係者の方‥?と。関係者も何も、Uインターでプロレス界をひっくり返した宮戸選手ご本人ですって!

「確かに三人とも強そうですね」って、ぼくはただのミスター空気デブです。

みる貝なんて高級な貝を美しい包丁で。貝のコハク酸をフルに楽しみために、コハク酸豊かな‥すなわち旨味たっぷりのお酒をいただきたいですね。

神亀と並ぶ大好物、広島の竹鶴 純米原酒!ヒネたような香りと圧倒的なコハク酸の波濤!ミル貝にバッチリだけど、ぼくは知っているんだ。さらに合う握りがあることを。

グルタミン酸とイノシン酸の爆弾、漬け鮪だ〜!圧倒的な旨味のヘビー級対決、ハンセン対ベイダーのようなナイスマリアージュ!ご結婚おめでとうございます。

桜エビのホワイトソース春巻き。桜エビがふわっと香り、素直に「あ、うまい」と声が出ます。握り以外の肴もひと工夫あっておいしいですねえ。

ガリにはキュウリやミョウガも加わり、お新香のようなサラダのような感じに。

口直し能力が強力になるのはもちろんですが、このままマルちゃん冷しラーメンにのせてしまいたくもある。

雲丹か車海老の二択は雲丹で。理由?海苔がすごく好きだから。キュウリなんぞで巻かんでいいんです、海苔を食べさせてください。

親の顔より見たかもしれん、地元に近い栃木の旭興 辛口 特別純米。どっしり旨いお酒モードに入ってしまいました。止まりません。

本日の白身はコチ。ヒラメ先生が休憩に入る夏場の白身代表。コリコリとムチムチの間のような、なんとも食べていて気持ちいい歯ごたえ。

握りコースの途中に出る茶碗蒸しはオアシスとかピットインといった気分。

本日の光り物は‥まさしく光り輝くアジ!ああ〜、青魚ってなんてうまいんだ。イワシアジサバばかりの握りコースとか食べてみたいな。

ひ乃さん名物、トロ鉄火の玉ねぎ醤油。玉ねぎのシャキシャキがトロたくのたくあんのようだ。そして玉ねぎ醤油ということで旨味もたっぷりと。海苔も香るし、これをズラリと並べて飲むのが夢になりそう。

新牛蒡のつくね汁。牛蒡と三つ葉と柚子という山の香り三連星が非常にうまい。なんだか焼酎が飲みたくなったぞ。

酉爵‥「しょう」って読むの?オーク樽で寝かせた熟成球磨焼酎。

アルコール度数は高めのはずなのに、恐ろしくまろやかですね‥香りはなんだか泡盛の古酒を彷彿とさせるような。うまいな〜コレ。あとで探して買おう。

自家製わらびもちでフィニッシュ。ちょっと流行りのわらびもちはテロテロ系が多いですが、こちらはもうちょっと芯のあるフルフル感強めといった風。控えめな甘さが寿司コースの後にもってこい、ですが‥

面倒なことばかり言って申し訳ないのですが、食後にもってこいのお酒なんてありますかね?スカッとグラッパとか、いっそ甘いデザートワインとか。

聞いてみるもんだ!シャトー ド ナヴァイユ ジュランソンなんて甘口ワインが出ちゃうお寿司屋さんってある?貴腐ほど甘々ではないけど、桃と蜂蜜恋をしたような甘味ととろけるような舌ざわり。

まさしく食後酒にもってこいながら、やろうと思えば食中でもアリですね。フォアグラとか。

お寿司屋さんのうまいお茶で今度こそフィニッシュ。

今回も美味しく楽しくごちそうさま。大将のウデマエはもとより、一回来ただけなのにしっかり覚えていてくれたソムリエもさすがです。満足度からいくと、コース8,800円はやはり何かのバグでは‥

もちろん2時間ちょっとのコースで宮戸さんとのお話が終わるはずもなく、二軒目へ‥プロレスはもちろん小説や映画まで話が飛んで、素晴らしい夜となったのでした。

北尾さんの話も聞いちゃった。ぼくは世にも珍しい北尾ファンだったのだ。

鮨と美酒 ひ乃 東京都練馬区練馬1丁目11−3 ミラエル練馬II