父が海外旅行のため突如訪れた母のゴールデンウィーク、本日の夕食はどうしましょう。
母「お寿司がいいな」
この辺で寿司といえば照寿司さんですかね・・あれ、休みだ。したらばもう少し足をのばしてみましょうか。
東部小泉線という誰も知らないローカル線の終着駅、西小泉駅から徒歩3分程度のところにあります「幸寿し」さん。実はこの辺りの寿司屋さんでは一番の古株。もはや老舗と言ってもいいでしょう。
母「でも来たことなかったね」
なんとなく来ないままでした。長く続いているにはワケがある、ということで入ってみましょう。ちなみにランチが安くて美味しいという評判はよく聞きますが、夜は果たして?
畳の上に椅子とテーブルが置かれた不思議なお座敷に案内してもらって飲み物を頼みましょう。母は生でしたね。私は・・うごのつき純米吟醸を二合お願いしようかな。
店員さん「グラスでお持ちしても大丈夫ですか?」
そりゃ構いませんが、二合でお銚子じゃないのも珍しい。
まずは何か切ってもらいましょうか。とは言っても奥の座敷席だから本日おすすめのネタがよくわからん。刺身盛り合わせをお願いしましょう。
焼き物も欲しいですね。ではいかのわた焼き・・
母「わたはヤダ。西京焼きがいい」
あらそうですか。西京焼きはヒラメと銀だらがあるそうです。
母「銀だら好き」
では銀だらの西京焼きをお願いします。
おすすめネタはわからんけど一品料理のおすすめがあった。こちらから油物も頼んでおきましょうか。げそあげを・・
母「げそはやだ。たこがいい」
イカへのヘイトがすごいですな。ではたこの唐あげをお願いします。
グラスの日本酒がビックリ、一合といいつつ200ml超のビッグサイズが2つ来た。なんて太っ腹なんじゃろ。
お通しはカキとホタテと牛すじの煮物という大変珍しい一品です。肉と貝の旨味がうまいこと融合してすこぶるおいしい。酒の量とお通しで良店確定ランプが点灯しました。ペカっ。
そして刺身の盛り合わせが来た・・って、うわぁぁあー!海だ、グンマに海が来たぞぉぉぉ!
母「イワシなんて頭ごと!かわいい」
あまりのゴージャスさでパッと見では全容が把握できません。食べながら究明するとしましょう。
ホタルイカにカンパチという酒のオトモに甘エビにトリ貝、マグロの赤身と中トロか。マグロの味がすごく深い。まさに食べごろですよ。
母「ホタルイカあげる」
あら、こんなおいしいものを。そんなにイカ嫌いとは知らなんだ。
母「キモとか目玉はいらないの」
なるほど、ホタルイカは両方が揃っているからそりゃ無理だ。
さらにトロ、タイに赤貝、赤貝とトリ貝がコリコリ磯いそしくておいしい。貝うまいよ貝。
母「ワカメもすごくおいしいよ」
ホントだ、プリプリ肉厚でまさに磯のワカメ。これはただのツマではありませんよ。
イワシの姿造りにイカ、ホタテに玉子焼きという鉄壁の布陣です。
母「イワシおいしい!豊漁だっていうからやっぱりおいしいんだね」
ホントだ、ピッカピカに新鮮で脂のりのりだ。マグロとイワシと貝で永遠に飲めてしまいそうなので鳳凰聖徳を二合いただきましょう。
母「あ、イカもホタテもおいしいよ」
やっとイカを食べたか!
母「お刺身なら好きなんだよ」
銀だらの西京焼きは強めに味がついていていかにも酒飲みが喜びそうなものです。現にわたくし大喜び。
母「これは柚子かな?マーマレードみたいに甘いけど合うんだね」
はじかみとは味が逆方向ながら、どちらも口直しにもってこいだから面白い。
たこの唐あげはぽってりとした不思議な衣をまとってやってきた。
母「このポリポリはそうめんかな。すごくビールに合う」
フライドパスタみたいなもですから、そりゃビールがすすむでしょうよ。たこさんもむっちりとした衣に生姜の風味が効いてすごくツマミ仕様だ。
母「これはいいね!次来た時も頼もう」
あ、もうリピート確定なんだ。
良い揚げ物をいただくとなんだか芋が恋しくなる。三岳のロックなどお願いしましょう。これまたたっぷりとした量がうれしいじゃないか。
「こちらはサービスになります」とお店の大将と思しき方が持ってきてくれたのは見るからに上等な鯨の刺身!うわ〜、これは嬉しい。
母「鯨って好きじゃないけどせっかくのサービスじゃ食べようかな」
いえいえ無理はなさらず、私は大好きですから全部片付けますよ・・もう食べちゃったか。
母「え〜、こんなに美味しい鯨ってあるんだ!」
ああ、やっぱりバレたか・・馬肉とマグロのいいとこどりみたいなものですからね、こういう極上ものは・・
さてさて、素晴らしいツマミでいい感じにお酒も入ったところでそろそろ握ってもらいましょうか。
松竹梅と握りセットがありますが、さすがにちょっと多いかもしれん。好きなネタだけ握ってもらう作戦でいきましょう。
明朗会計な1カンごとのメニューがありますのでこちらから。そうですね・・刺し盛りのいわしがうますぎたのでまずはそれ。青魚といえばさばも外せない。好物の貝からは赤貝にあわび、おおそうだ、寿司といえば中とろはいっておかないと。まあこんなところですかね。
店員さん「あわびが切れちゃいまして‥」
OOPS!では貝のいいところをみつくろってもらいましょう。
は〜い、やって来ましたよ!中とろに赤貝、イワシに・・おや、ウニなんて頼んだかしら。
母「それはこっち」
おお、混線でしたか。しかしめちゃめちゃウマそうなウニですね。頼めばよかった。
赤貝はシャッキリポンな切れ味、イワシは刺身以上にとんでもなく重厚な旨味で圧倒してくださいます。最初に刺身を酢飯にのせた天才には感謝しかない。
母「今はスーパーの寿司ってワサビ別じゃない?あれもダメだよね」
ホントそうです。一緒に握り込まれないとなんの意味もありませんってば、ねえ。
見るからにウマさが伝わるさばはやはり寿司映えするサカナだ。最高。みる貝(だったと思う)はシャキッと潔い歯ごたえとほんのりした甘味がいいなあ。
中とろをお願いしたつもりでしたが、大とろと言われても納得のトロトロしい握りじゃありませんか。なんだかんだ言って寿司ネタの王様の座は不動であります。
みそ汁とお茶のどちらもウマいのが寿司屋の鉄則!ふ〜、いいツマミにいい寿司、よかったなあ。ところで気になるお値段は?
母「それが内容からするとずいぶん安いんだよ。今までず〜っと来なくて損してたね」
ホントそこに尽きますね。次はさざえのつぼ焼きとあなご天で一杯といきたいところ。あとアレだ、たこ唐でしたね。
母「そうだよ!」
幸寿し 群馬県邑楽郡大泉町西小泉3-8-11