山形〜新潟で即身仏と温泉とうまいもの・マイドリームジャーニー。山形あつみ温泉を後にして、次の目的地は新潟の村上‥なんですが、ちょっと寄りたい所があります。
村上市を通り越してしまって胎内市まで。やって来たのは「胎内昆虫の家」さんです。スズメバチや蚊のように刺すヤツ以外のムシは大好き。その昔、蠱毒作りまがいのこともやったことあったりして。
十年ぶりかな、もっと久しぶりかな。相変わらずモルフォ蝶の標本がズラリと圧巻。そして蝶の放し飼いコーナーは新たに蝶の餌付け体験(?)ができたりパワーアップしていました。
花型で派手な色のプレートと芳香剤とポカリがあれば、チョウチョってこんなバンバン寄ってくるものなんだ!面白〜い。
ヘラクレスオオカブトもおさわりできたようですが、坊主がず〜っと愛でていたので大人としてゆずってあげました。よし、そろそろ村上に行くか。
村上市といえば、言わずと知れた鮭のまち。吉永小百合さんのポスターで有名な「千年鮭 きっかわ」さんで塩引や酒びたしなどを買わねばウソです。
もちろん大量にぶら下がる塩引鮭も見せてもらいました。ものすごい熟成香で、ここにいるだけで酒が飲めるようだ。
その塩引などを楽しめるお食事処が「千年鮭きっかわ 井筒屋」さん。実は村上でも数少ない鮭料理の専門店です。有名なガイドブックに載っていることもあって大人気だそうなので、しっかり予約をしておきました。
11時・12時・13時スタートの三部制のところ、今回はラスト13時にすべりこみ成功。予約をしない人は9時半からの当日受付を頑張らないといけないみたい。
13時ピッタリから予約順に呼ばれるようで、2組目に呼ばれました。古民家の落ち着いたお座敷に腰を据えて旅情満点。予約の時にメニューも伝えてあるのですが、せっかく卓上にあるからメニューを見てみましょう。
ほとんどの人はこの鮭料理八品か、
鮭料理十一品を注文している雰囲気。十四・十九・二十二品もありましたが、昼食なのでそこまで行く人は少ないのかな。実際ぼくも十一品あたりをお願いするつもりでした。
でも一応「はらこ丼ってありますか?」と聞いてみたら、あっちゃったんだな。というわけで本日のオーダーは「極上・豪快はらこ丼」です。4,752円の豪華ランチです。
このメニューは予約をしなかった人か、追加用ということでしょう。
追加できるなら鮭珍味5品盛りなんかいいなあ。背腸の塩辛5年ものなんて範馬勇次郎の好物まで入るじゃないか。
でもダメだ。そんな珍味セットを頼んだら最後、〆張鶴を飲まないわけにはまいりません。でも車で来ちゃったんだってば。十一品をやめたのも実はそういうワケです。丼ものならホラ、飲む間もなく食べ切ることができるからね。
店員さん「こちらは村上茶と生揚げ醤油と鰹出汁を合わせたものになります。本来はお茶漬けに使うのですが、三つ葉を入れてお吸い物として召し上がってください」
なるほど、八品や十一品では自分で焼いた塩引でお茶漬けにするんでしたっけ。はらこ丼ではその出汁を汁物がわりにするワケですね。頭いい〜!
言われた通り三つ葉を入れてすする‥なんとうまい出汁でしょう。醤油まで入っているからまちがいなくお吸い物だ。そして村上茶も入っているということは、まごうことなきお茶漬けだ。
その後前菜四点盛りが登場。ぬかった、コレだけで一合や二合はたちどころであろうビジュアル。
店員さん「村上と鮭のつながりは深く、友と言える鮭を少しでも無駄にすることがないよう‥」
まず村上と鮭について軽くお話を聞き、その後料理の説明となるようです。いいですね、ぼくはいま‥鮭のまちにいるんだなあ。
鮭の焼漬。その名の通り、焼いて醤油ダレに漬けたもの。意外と言ってはなんですが醤油控えめで、ほんのり甘辛なタレが染みた皮の裏あたりが悶絶するほどうまい。メシか酒を持て〜い!
生ハム手まりずし。なるほど、塩引って塩をすりこんで風に当てながら干したもの。そんなの生ハムだってできちゃいますよね。本当はそんな単純な話ではないのでしょうが。
塩引ほどではない塩気とむちっとした食感はまさに生ハム。メシはくっついているから酒を持て〜い。
この二品には参りました、鮭のかぶと煮と白子寒風干し!
鯛でもなんでも、大きめの魚って頭を掘れば掘るほどうまいじゃないですか。そいつをじっくり煮てほぐしてしまっては、うまいトコだけ食べ放題ということだぞ!
湯豆腐とか鍋のオトモと思っていた鮭の白子もなんだ!ただでさえ旨味が詰まっているのに干したりしたら‥凝縮されすぎィ!こんなのふた切れで一合飛ぶわ。唯一の欠点は‥ちょっと歯に付くね。食べたら歯磨き、風干し。
そして主役のお膳が登場〜!丼デカいな!
看板商品の塩引もつけてくれるのには随喜の涙。お隣の席が塩引を焼きはじめましてね、たまらん香りが漂っていたのですよ。
予約時間に合わせて炊き上げてくれるという関川村のコシヒカリ。銀シャリどころかスタープラチナ、白金の輝きです。塩引を軽く噛み噛みしてからホフっと一口‥‥はわわ〜!日本人の官能のツボを撫でまわされているようだ。うまさを超えた快感だ。
しかも困ったことに、塩引きに寄り添っているぬか漬けが非常にナイスな発酵なんですよ。塩引とぬか漬けでメシが終わってしまいそうなところですが、そうはいかない。主役が控えているのだ。
ピジョンブラッドもかくやとばかりに緋く魅力的な輝きを放つはらこ。
10月下旬から3週間程度の最も粒が大きく、かつ皮が固くならない、ごく短期間だけの卵。その中でも良い物だけを厳選して秘伝のかえし醤油に漬け込んだという逸品。
味噌漬けと粕漬けはいつでも買えますが、はらこ醤油漬けが通販で買えるのは11月頃だけなんです。毎年のお楽しみ。
きっかわさんの店舗やこちらのお店では一年中楽しめるようなので、厳正な温度管理で冷凍されているのでしょう。そんな貴重この上もないはらこを‥
ぜ〜んぶかけちまえ〜!ダーッハッハ!
コメと比べればホラ、こんなに大粒。にもかかわらず、歯に触れたと同時にプリンと弾けてウマウマな汁が‥そのウマ汁、まだ卵というのに鮭の風味を感じます。恐ろしい話です。酒とみりんの塩梅がメシを呼びすぎるかえし醤油、そこにほのかな鮭の香り‥たまるか!
メニューで「これに勝るはらこ丼は、ありません!」なんて随分大きく出たもんだと思いましたが、本当だ。煽り文句ではなくただの真実だった。
デザートがわりに自家製の甘酒。鮭の飯寿司を作る時用の麹を使っているのでしょうか。しっかり米粒が残り、飲み物というよりおはぎでも食べているかのよう。滋養あふれる自然な甘味でHPゲージがみるみる緑になっていくようだ。
元々きっかわさんは造り酒屋だったそうで、なるほど麹や発酵はお手のものというワケですね。
5千円近くとインバウンドもびっくりのはらこ丼でしたが、お値段以上の大満足。今度は十一品あたりをいただきたいですが、また「はらこ丼をお願いします」と言ってしまう方に全部。
そして鮭だけじゃないんだよ、村上〜。村上茶のお店もあるし、困ったことに村上牛なんて和牛もいるんですよ。
「やま信」さんというお店で買っちゃいました、ヒレ180gを3枚とサーロイン250gを。ヒレがグラム4,400円でサーロインは3,600円とかその辺だったから、ご破算で願いましては‥きっかわさんで買ったはらことか鮭とあわせて村上に課金が過ぎたかな?
‥‥ところがですよ、このヒレ。過去に食べた和牛全てと比べてもトップクラス。肉の風味という点では金メダルと言えるほどうまかった。もうね、この味なら高くなんてない。適正価格です。村上はうまいもの多すぎなまち。覚えて損はありません。
千年鮭 井筒屋 新潟県村上市小町1-12
胎内昆虫の家 新潟県胎内市夏井1204-1
やま信 新潟県村上市飯野3-2-1