
長岡の「嘉肴 てのひら」さん。柏崎から長岡へ、新幹線の停車駅に移転したから雪深い冬にも行けるぞ!と鼻息も荒かったのですが、なんだかんだで行けなかった。主な理由は西側ばかり行きすぎである。
9月に天然鮎コースをいただいて以来の予約を入れたのは3月です。あ〜あ、見事に冬をすっ飛ばしてしまいました。

長岡駅北口より徒歩5・6分。大通りから路地に入って落ち着いた場所に‥いや、長岡は全体的に落ち着いていますね、はい。

現在のメニューは、旬のおまかせコースと三河一色活うなぎ一匹コース。夏には鮎やハモのコースが増えるかもしれません。本日は8,800円のおまかせコースでお願いしました。
どうもご無沙汰ですとマスターに挨拶。カウンター7席のうち一番左の席に案内していただきました。お、あと6席も満席ですか。
マスター「六人組の方がいらっしゃいますが、1時間くらいは一人だけですので」
おお、半分の時間は貸切ですね。ではおしゃべりでもしながらゆっくりと。

お酒は新潟の銘酒や各地の白ワインが揃います。食前酒がわりにスカッとキレる大吟醸、柿崎の八恵久比岐 SORAをいただきましょう。「はっけいくびき」だっけ?

たま〜に飲むアルコール添加吟醸は何て言ったっけ、そう、上善如水。スッキリ飲めすぎて、アル添は二日酔いになりやすいと言われるのはそういうことか。130ccなんかたちどころだもんね。

まずは村上山北のムール貝と新玉ねぎ・ドライトマトの風味。いきなり和洋折衷な雰囲気ですが、新玉ねぎにソラマメと日本の春要素もバッチリ。
モン・サン・ミシェルのムール貝もそりゃうまいですが、山北だって負けませんよ。なんせ近海でとれとれのきときとなんだから。

佐渡マフグ白子・餅米ともち麦の飯蒸し。この時期のマフグはほぼ白子専用機となっているそうです。
飯蒸しはてのひらさんの必殺前菜の一つ。上にのったモノのうまさを下の飯が全部受け止めますからね、餅米で飲める。麦の歯ごたえも楽しいね。

柏崎のできたてほやほや酒造、弥栄醸造さんのITTEKI。「原材料名:米・米麹」ではなく「原材料名:米麹」という、実験的というか変態的なお酒です。おかげで品目が日本酒ではなく「その他の醸造酒」になってしまっています。
飲んだら「その他の醸造酒」ではない、ベリーベリー日本酒!意外にも軽い、甘軽い!これまたスイスイ行けてしまう、危険だ。

面白いお酒シリーズということで、栃尾の壱醸 純米生原酒 雷。栃尾の雷地区で育った米を使用。田植え・稲刈り・仕込みのボランティアに参加したお店のみの限定酒。
名前からガラガラドシャンとクセ強なお酒を想像しますが、実は地名だからそんなことはない。非常に新潟らしく淡麗な‥そういえば酒米の品種名から「超淡麗」でしたっけ?

淡麗なお酒に繊細な椀もの。佐渡メバルと魚沼ウルイのお椀です。
てのひらさんの一番出汁はうっとりするほどおいしいのですが‥なんと愛用の鰹節が入手困難になってしまったそうです。
今は削り残った小さいヤツをかき集めて使っているそうで、急がないと吸い地が変わってしまう?

お造りは佐渡のヒラメとアオリイカ。
刺身を塩で食べるのはピンと来ない委員会でしたが、てのひらさんで調教されたのか、イカ刺しなどは塩の方が好きになってしまいました。特にイカ界で最強の甘味を持つアオリイカ先輩は塩で引き立つことこの上なし。
ヒラメは醤油と塩をハーフ&ハーフで行くか。雷と極上白身は日本酒マリアージュの頂点の一つだなあ。

信越繋がりということで、お次は信州の亀齢 純米酒 ひとごこち。ロゴは渋いけど味は今どきで非常にフルーティー。でも香りは大げさでないので、なんでも合う万能選手っぽいぞ。
この辺で六人組のお客さんがご来店。なんと持ち込みワインを楽しむ会を始めました。そういうのもアリなのか。なんか高げなワインもあるなうらやましい。
‥そうだよな、一人じゃ2本がいいところだもんな。数本持ち込んでみんなで楽しむなんて、友だちがいないぼくには未知の世界。

佐渡サワラ幽庵と八色アスパラ。サワラ大好きなので、焼かれている時からドキドキしていたのです。しかしどこまでも新潟食材を楽しませてくれますね。ちょっと長野に浮気したけど、やっぱり新潟に戻るか。

村祐 常盤ラベル〜!新潟といえば淡麗辛口‥のはずですが、こちらはちょっと驚くほど甘い、否、甘すぎる。
でも酒造さんが「和三盆の甘さ」と言っているだけに、スッと下の上で消える後を引かない甘さです。クセになるうまさだけど、てのひらさん以外ではあまり見ない。

あっと驚く自家製カラスミ。いやだ〜大好物なんですよ〜。自家製だからこその控えめな塩分と柚子の香りが村祐の甘味とフォークダンスだよ。しあわせだなあ。

鴨のハツ!新ジャガ!秋田のタラの芽!‥鴨の‥ハツ?ただでさえ鉄の風味豊かな鴨なのに、鉄風味の源であるハツ?
と思わせておいて、丁寧な下処理により磨き抜かれたハツは旨味の純結晶、歯ごたえの神様。ひと切れでお酒が一杯必要になる強烈なうまさです。
合間にいただくタラの芽や新ジャガ、春だなあ‥うめえなあ‥

たっぷり満足したところで食事モード突入。ご飯は長岡産新之助、汁は本日出た魚のアラ汁。

メジマグロの漬けとホタルイカがオカズっておかしいだろ!ツマミだよっ、君たちはっ!
しかしやはりオカズでもあった。とんでもなくメシが進みますね。特にお前、メジマグロ。ホンマグロ未満のはずなのですが、若々しい爽やかな香りとクドさゼロのスッキリした脂がなんともうまい。ことによったら親玉より好きかもしれん。

ご飯おかわりOKとのことですが、どちらかと言えばアレが欲しい。芋のロックをお願いしたら五輪峠が出てきました。

そしてご飯ならぬホタルイカのおかわり。ウドも添えて。ワイン会を終盤まで見て、この辺の暴れん坊に何を合わせるのか勉強してみたかった。

新潟パインやはるみ等々のコールドプレスジュースでごちそうさま。久しぶりのてのひらさん、そしてすごく久しぶりのおまかせコース、大変おいしゅうございました。
こんなに新潟をフルに楽しめるお店がある?やっぱり冬にサボったのは許されないミスでした。来季は通う。なんと言っても長岡駅前に東横インがオープン間近らしいですからね。そりゃ通いやすくなるってモノです。
しかし一つ問題が‥てのひらさんの後に行ってしまうガールズバー、非常に高いの‥シャンパンとか入れられちゃうの‥
嘉肴 てのひら 新潟県長岡市東坂之上町2-6-15 一柳ビル 1F