もはや夏恒例のフレンチ仔鳩!さらに鮎とガスパチョも登場で夏のペアリング祭りだ! MAY(レストランメイ)品川区・五反田駅

7月は鳩月間です。なぜなら五反田のレストランでスペシャリテの仔鳩料理を出すのが7月だから‥と思ったら、今年のメニューは仔羊であった。あれれ?

様子を伺っていたら、8月になってようやく仔鳩の文字が現れました。7月限定ではなく夏の季語だったのだな。よし、行こう!

大概においてソロで活動のぼくでも、本格フレンチではそうもいかない。数少ない都内の友人に打診してみよう。この日からこの日の間のどこかで‥え、その期間に誕生日が?渡りに船とはこのことか、お祝いということでぜひ行きましょう。

五反田駅の東口から徒歩3・4分くらいにありますフレンチレストラン「MAY」さん。お店の周りだけやけに緑に囲まれているので分かりやすいです。気がつけば3年連続の来店だ。

18時開店の5分前に到着してしまいましたが、こころよく迎え入れてくれました。

ナイフやフォークがズラリと並んでいると、おフランス料理に来たザマスって感じがしますね。

今年で開店10周年だそうです。おめでとうございます。

夜のコースはデギュスタシオン12,100円・メイ16,500円・スペシャリテ19,800円の三種。鳩さんが選べるのはメイからなので、もちろんそちらでお願いしました。

飲み物は迷わずワインのペアリングで。6杯で11,000円だったと思います。

最初の一杯は泡だ。しかもシャンパーニュだ。シャンシーラ ブラン・ド・ブランは優しい発泡で癒し系。トーストのような香りなので朝シャンを決めたくなってしまう。

一口のお楽しみは二品。サザエのエスカルゴバター ジェノベーゼソース。エスカルゴもサザエも大好きなんで嬉しい悲鳴です。

もう一品はゴーヤーチャンプルーを意識したというゴーヤーとゴボウと豚リエットのタルト仕立て。ランチョンミートっぽさを狙ったのでしょう、ジャンクめな味付けのリエットが沖縄っぽ〜い!

MAYさんの夏の名物は鳩とコレ、キンキンに冷えたガスパチョ!(キンキンから公式名称)

甘酸っぱく冷たく爽やか極まりないガスパチョ!さらに味変でスイカシャーベットを投入すれば体内は急速冷却、外の蒸し暑さなどすっかり忘れてしまいました。

この日のパンはブリオッシュでした。フカフカザクザクでなんと馥郁たるバター。

さらにバターとオリーブオイルとは豊かにもほどがありますって。パンがなければブリオッシュどころの話じゃないぞ。

アンリ・プリュードン サン・トーバン ブラン レ・バンだそうです。最初は柑橘の香りがフワッと来て、後味はキレキレの日本酒のよう。白身魚や塩焼き鳥が食べたくなる。

(友人撮影)

おおっと、予想をはるかに飛び越してウニか!コーンムースにカニ・穴子・ウニとバルサミコジュレ。ぼくの方はカニが天使海老に変更されていました。

甘いムースに散りばめられた海鮮を、バルサミコジュレが一気にワインに寄せてくれる。ウニがちょっと苦手だという友人がいっぺんに克服できてしまった美味しさです。

山梨の女性醸造家によるドメーヌ・デ・テンゲイジの白。特別なルートで仕入れている名無しワインなんですって。

日本のワインが出る場合、料理の方は味噌とか醤油が効いていたり、ややこしい魚介だったりすることが多いワケですが‥

岩牡蠣とキャビアに青のり!やはりどころか、ワイン泣かせのこじらせ系海鮮が勢揃いだ!

こんなの日本酒以外どうもならんだろと思いましたが、ケッパーの芳香と新生姜のタルタルによってググッとワイン寄りに。

さらに牡蠣のスーパー磯パワーを優しく受けとめるニッポンワインの包容力。日本酒もビックリの牡蠣との寄り添いっぷりはどうだ。ああ、これは他では得られない、素敵にすぎるマリアージュだ。

モルゴン コート・デュ・ピィ ジャン・フォワヤールはヌーヴォーで有名なボジョレー。もちろん新酒ではなく2021年です。

ボジョレーといえば毎年最高の出来を誇る日本のキャッチコピー。実のところ2021年は稀に見る不作の年だったそうですが、収穫量と味は比例するワケでもないのかな?大変フルーティでうんまい。

フォアグラのポアレとウナギの炭火焼き 鳥のソース。日仏の脂が強い代表と言える食材がタッグを組んでの登場です。

しかしたっぷりのネギとあっさりソースの力か、クドさは微塵も感じない。炭火ウナギとフォアグラ特有の香り高さがしっかり強調されてこれはうまい、うまいですな。

ワインは白に戻ってティボー・ブーディニョン アンジュ・ブラン。ロワールワインというやつですか。塩気すら感じるミネラルパワーに、華やかながらも主張が過ぎない香り。なんとなくアルザスのリースリングっぽいような。

アルザスっぽいということだから?料理は川魚、鮎だ!発酵バターパイと鮎 モン・サン・ミシェル産ムール貝のマリニエールソース レタス添え

鮎とバターたっぷりのパイがこんなに合うものなのか。もちろんレタスにはピッタリ、鮎はキュウリの香りだもんね。

貝のうまみたっぷりソースがパイに染みるとさらに幸せ。ミネラルをたっぷり感じるワインに合わぬはずはなかった。

カトリーヌ・エ・クロード・マレシャル オークセイ・デュレス‥合ってる?

素晴らしい香りだなあ〜。ブルゴーニュの良いワインってお花畑みたいね。そんな優しい雰囲気なのにかっちり鉄の味がして‥鉄?そうか、この鉄に合うアレが出るのか。

夏のスペシャリテ、仔鳩ッ!胸肉をメインに手羽元とレバーやハツが並びます。赤いのはパプリカで黄色いペーストはカボチャ、ソースは鳩の風味のヴィネグレット。

胸肉はダテにハトむねとか言うわけではありません。飛ばない鶏さんと違って筋肉みっちり、ムギュっと音がしそうな歯ごたえ。

真鴨のように、もしかしたらそれ以上に広がる野と血の香り。はっきり言えばクセとか臭みとかいったヤツです。しかしそれこそ鳩だけの風味。

添えられたカボチャの甘味がそのクセの粗野な部分を覆って、うまいところを引き立てる。トドメにカッチリ鉄の味がするワインを‥ぉぉ‥おおぉ‥

柔らかくなくてクセがある。テレビで紹介される肉の真逆なのですが、それがたまらなくうまいのだ。なぜならこれこそ鳩にしかない食感、そして味だから。

手羽元はもう手で食べちゃう。小さいけれど尋常ではない旨味の詰まりっぷり。

串焼きのレバーやハツは胸肉よりもさらに鉄!サルサ風のパプリカと交互に食べればワインが止まるはずもなかった。

MAYさんのメインはなんと二品目もあるのです。あらワイン全部飲んじゃったどうしようと思っていたら、ちょっと注ぎたしてくれました。

二品目は鳩もも肉のアメリカンドッグ風!衣はパートフィロで塩レモン風味が添えられます。

最初にしっかりクラシックなお皿、次はモダンな感じで出してくれるのが楽しいじゃありませんか。

これも串に見立てた骨を手でつかんで食べちゃった方がいいのかな?ガブリ。

ワハハ、まさかおフランス料理店でこんな良いジャンクを味わえるとは。しかし塩レモンで一気にお上品方向に持っていくのはさすがとしか言いようがありません。鳩ももと衣で赤ワイン適正はMAX値間違いなしです。

(友人撮影)

はい、ここでぼくも驚きました。友人へのバースデーケーキが出た!

「誕生日的なナニかあればお願いします」と雑な一文を予約メールに添えておいたところ、ホール担当の方やソムリエまでがうまいこと盛り上げてくれながら美しいケーキの登場とは。

ついでに後で確認したら完全にサービスでした。ありがたや‥記念日とかお祝いはフレンチに限るのね、覚えました。

いったんケーキはひっこんで、正規のデセールが登場です。シャインマスカットやメロンをライムやハーブの効いたリキュールと共に。なんというアダルトかつフレッシュな。フレンチのお店でなければ芋やウイスキーを頼んでいるところだぞ。

さらに先ほどのケーキがやって来ます。mってなんじゃ?ああ、MAYさんのmか。

しっとりスポンジと軽いクリームでしあわせです。

旅館の朝メシ後とお寿司屋さん食後のお茶、そしてフレンチ食後のコーヒーはまことにうまい。最後にはシェフがテーブルまで挨拶に来てくれましてごちそうさま。

今年の鳩コースも大変美味しゅうございました。ペアリングワインも本当に料理にピッタリ、しかも予算的にギリギリであろうお酒もあったりと大盤振舞でした。

こんなに美味しいんじゃ、鳩だけじゃなくて他の季節に来てもいいんじゃないか?ホラ、9月メニューはホロホロ鳥とか書いてあるよ‥何かしら理由をつけてなんとかしよう。友人、年にもう一回くらい誕生日ありませんかね‥真鴨がいる冬とか。

MAY 東京都品川区東五反田2-7-7

昨年の鳩とガスパチョ