刑事コロンボのDVDボックスは良くない。何作か見ていると当然のように「別れのワイン」に手が伸びてしまうわけで、すると‥ほら、やっぱりワイン飲みたくなっちゃった。チョロい、チョロすぎる。
ワインを楽しむなら当然フレンチであろう。フレンチコース一人はちょっと厳しいので宇都宮の友人に打診‥あとは「宇都宮 フレンチ」で検索して、と。
やって来たのは江曽島ユナイテッドガーデンにあります「ブルーセゾン」さんです。きっと青春みたいな意味です。ぼくの中で青春と言えば愛と誠です。
ガーデンの広い駐車場が使えますが、本日はタクシーなんて贅沢をしてみました。ワインを飲みに来たからね。
着く直前にドバーと雨が降ってきたので店舗の写真はあきらめて看板だけ。おっと手が映った。
店名通り青と白が基調となった店内。なんでしょうコレ、本当に栃木なのか疑わしいほどオシャレな雰囲気。紅一点(違う)のギターはシェフの物でしょうか。やたらイケメンなのでバンドとか似合いすぎるんですが。
ドライフラワーなんかもあって素敵だ。ここは一人で来るお店ではなかったですね、少ない友人を呼んで正解でした。
カトラリーまでブルーです。素晴らしいです。こちらはズラリと並べて外から使う式ではなく、一品ごとにナイフとフォークを取り替えてくれます。
軽めなコースのセゾンが11,000円、ジビエがメインのフルコースとなるモノリスが13,800円、メインが銘柄牛になるグランモノリスが15,500円。牛よりジビエ教団なのでモノリスでお願いしました。
ノンアルのペアリングはあるけど、ワインのペアリングは無いのかな。とりあえず泡でカンパイといきましょうか。
シャンパーニュもあるけどボトルだもんな‥白と赤もボトルで頼むとすると、泡はハーフで十分だろう。グレラ・スプマンテをお願いしようかな。
シェフ「グレラは今温度が良くないので‥ラ・ジャラ プロセッコ・スプマンテ ブリュットがちょうどいい感じになっています」
同じイタリアだしそれでお願いします。
なんの日でもないですがかんぱ〜い。
シェフ「まずはトリュフサブレです。温かいうちに手でそのままどうぞ」
焼きたてはありがたい。ホカホカなところを口に放り込めば、こりゃトリュフだ。ミニお菓子なのにスプマンテが進む〜。
シェフ「メロンのガスパチョです。ハラペーニョやキュウリも使っています」
とんでもなく夏を感じる一品が出ましたね!ハラペーニョやキュウリの青さが爽やか、メロンはなめらかな口当たり担当でしょうか。外の湿気を吹き飛ばすスープで食欲が燃え盛ってきたぞ。
ガスパチョうますぎ問題でスプマンテは空となってしまった。次は順当に白ですかね。モンラッシェなんていらっしゃるけど‥えへへ、コース二人前のお値段、そらそうだ。
あ、赤いのを飲んだことあるパナメラさんだ。おいしかったから白もアリだな。
待てよ‥たしか泡のページの下の方にアルザスって文字が見えたんだよね。アルザスワインで外したことない。もっと言えば当たったことしかない。トリンバック リースリングを願いま〜す。
シェフ「次は牡蠣になりますので、このアルザスはピッタリだと思いますよ」
みごとにまぐれ当たりをしたようだぞ、やったぜ。
そして出たのは広島産牡蠣のコンフィ フェンネルの茎と葉のムース。
牡蠣と下のムースをカツ丼のように縦切りでいただくわけですね‥うわ〜、フェンネルの茎って爽やかだなあ!甘くてスパイシー、ちょっと不思議な香りで牡蠣の磯っぽさを包み込む。うめえ、5皿分くらいタッパーに詰めて持ち帰りてえ。
自分で選んでおいてなんですが、アルザスのリースリングが大ピンポン。こんなに華やかな香りで牡蠣に合っちゃうものなのか。生でなくコンフィだから?フェンネルパワー?アルザスのテロワール?‥もしかしてその全部か!
シェフ「栃木県産の蕎麦粉を使ったフォカッチャになります」
うわ〜い、これまた焼きたてのホカホカでフカフカ。おかわりしたくなる美味しさ。
シェフ「福岡県産の甘鯛です。ウロコを香ばしく焼き上げました。ソースは甘鯛の頭の出汁と塩麹を使ってあります」
ギャーー!インスタで好物のハモが上がっていたので期待していたのですが、さらに上、大好物の甘鯛だった!
ナイフを入れるとザクッと快い音と手ごたえ。これぞ甘鯛の醍醐味よ。
パリパリに焼き上げた甘鯛にアラと塩麹のソースってあなた、合わせるのは福井あたりの日本酒では‥と思いきや、いやはや大事件なくらいリースリングが合う、合ってしまう。後日夢に出たほどのマリアージュでございました。
シェフ「千葉県産の黒アワビと鯛のムースをパートフィロで包みました。ソースは白ワインベースです」
魚だけでなく貝も出ちゃうの?しかもアワビに白ワインソース‥ヴァンブランでしたっけ、これまたアルザスワインが腕まくりじゃありませんか。
アワビはご立派なサイズでムチムチこの上なし。隙間にみっちり詰まった鯛のムースもハーブが心地よい。
ソースもトマトも良い仕事をするなあ。当然のようにワインは空っぽ‥次はメインだよね。赤いところを頼むとするか。
メインのお肉はなんだろう。牛じゃなくてジビエなんだよね。
シェフ「本日は根室直送の蝦夷鹿をご用意しております」
DEEEER!シカですか!
なんだっけ、物の本ではローヌのシラーがよろしいとか書いてあったような‥いや、たしか以前に行った猟師さんのお店ではブルーベリーを使っていて、アレで鹿肉が大のお気に入りになったんだ。つまり鹿には黒いベリー、ベリー香のワインは‥
他の赤とは別のページにシャトー・クロワ・ムートンさんがいらっしゃった。黒い果実の豊かなアロマ、ブラックベリーやプラム‥まさにコレだ!お値段もお手頃なところで君に決めた!
赤ワインのこの待ってました感。食卓がメインイベントの空気に包まれます。
根室直送蝦夷鹿の低音ロティ・ポートワインと木苺のソースヴァンルージュ。
低温で50分間火入れをしたという鹿の色味はクロワムートンそのまんま、まさしくワインレッド。食べる前からピッタリ確定だ〜!
ムギ‥ムニュ‥モニュ‥と噛みしめるたびに滲みでる赤身肉の旨味。馬よりやや獣を感じる香りが正しくジビエ。ほのかに甘いソースとなんという親和性でしょう。さらにワインをクイっといけば、舌を優しく包み込むように滑らかな‥ぉぉ‥おぉぉ‥(遠くに行った)
マリネされたカリフラワーの歯ごたえと香りで現世に復帰。また肉を噛みしめ、ワインを‥ぉぉ‥おぉぉ‥
あれれ?いつの間にかムートン先生がなくなっちゃった。なんと罪深いお皿でしょうか。
デセールはチョコレートムース。オレンジとカイエンペッパーも使っているそうです。カカオと唐辛子の南米コンビは最高のチームワーク。美しさも甘さも満点、素敵な食事の最後を飾るにふさわしい。
辰さん的シメでカルヴァドスなんて飲みたくなっちゃうけど、ここはおとなしくコーヒーで。お寿司屋さんのお茶とフレンチのコーヒーはまことにうまい。
最初から最後まで美しくて美味しゅうございました。また来たいなあ‥ちなみに友人は鴨、ぼくは鳩が好きなんですが。
シェフ「鴨はマグレカナールやコルヴェールを入れることがあります。ピジョンはそうですね、以前はよく調理したので秋頃にでも‥」
はえ〜、秋頃には鳩!コルヴェールは青首、つまりマガモだから真冬かな?インスタを注視しておりますのでぜひ告知してください!
シェフ「はい、ぜひ載せます」
おりそして数週後、本当にマグレカナール入荷とアップされました。折悪しく諸々と重なり行きそびれましたが、鳩や青首を見たらすっ飛んでいかないと!
BLEU SAISONS(ブルーセゾン) 栃木県宇都宮市江曽島町1412-5 ユナイテッドガーデン