「ちょっと早いけど近所へのお歳暮がわりにサイボクのお肉を配ろう。連れてって」
いいですね〜。肉だけと言わず、コロッケやハムステーキやモツも買い込みましょう。一路日高市へ。ププー。
は〜買い物した買い物した。肉をたくさん運んでお腹が空きました。今の時期なら新そばが出ているかもしれない、近くのそば屋さんに行ってみましょうか。
やって来たのはサイボクさんから車でほんの7・8分というところにあります「そば六」さんです。
重機が置いてある砂利のところが駐車場です。初見では少し分かりにくいようで、先客の方らしい車がまごまごしているところをスッと差してしまった、スマン。
幌加内の新そばキターーー!
勇躍して引き戸を開けると見事一番乗り、差しハンドルが決まりましたね。
店内は小上がり二卓とカウンター数席。先ほどの車の方も入ってきたし、カウンターがいいかな。
え〜と、卓上メニューはなくて壁の掲示だけでしたね。端っこに座ったのでナナメの写真しか撮れなかった。
せっかくの新そばです、香りをフルに楽しむためにも十割とびそばをお願いしましょうか。土日限定・10食限定という狭き門だけど、一番乗りだから大丈夫でしょう。
あとそうだ、前回タクシーの運転手さんが食べていて美味しそうだったそば刺身、こちらもいただきましょう。
母「今日は天ぷら係の人がいるから天付そばにしよう」
そう、大将の娘さんが天ぷら係で、いない時は天ぷらができないそうです。家内制にもほどがあって面白いですね。
ポットはお茶かそば湯か・・ちょっとすすってみたらそば茶じゃないか。好物なんで嬉しい。
はい出ました、十割とびそば!なんでも「とびっきりウマい」からとびそばなんだそうです。大きなお皿に太めのそばが薄く広がる様は、なんだか山形の板そばを彷彿とさせる。
天ぷら係さん「まずはお水に入ったそばをすすっていただいて、そばの風味を楽しんでください」
まあ、今度は山都の水そばのような。それではジュルッとひとすすり。
粗挽きの十割らしいザラついた肌ですが、水のおかげで喉まで一気に滑り込んでいく。そして鼻に抜ける地霧のような大地の香り・・これが幌加内の香りなのか、まごうことなき新そばだ!うまい 新そば うまい。
さて本番だ。みずみずしくて角が立って美しいですねえ。薄めだけど広〜いので、量も結構あるような。
まずは卓上のミルに入った岩塩を一回だけガリっとやってひとすすり。香りもいいけど甘味もいいねえ。秋はやっぱりそばだよな〜。春も夏も冬も食べるけど。
幽玄とも言える風味を前にすると、薬味を使うのがもったいないような・・店主さんもそのつもりか、ほんの申し訳程度にネギとわさびが添えてあるだけです。たくましいそばなので、口直しの漬物は非常に嬉しい。
箸をむざと突き込んで多めにしゃくい上げ、汁にちょいとひたして、脱兎の勢いを持ってつるつるちゅう。迷亭や中松警部のようにひと息に飲み込みます。
そばもいいけど汁もいいねえ。キリッと辛味、しっかり甘味、主張の強い江戸前な汁。粗めの肌にしっかり絡むから、少しつければ十分ですね。うまいなあ。間違いなくとびっきりです、看板に偽り無しです。
時間差でそば刺身も登場。こちらは白めの・・グンマ民の目には刺身コンニャクに見えてならない。
天ぷら係さん「これはお塩をかけちゃってください」
なるほど、汁とか醤油じゃないのね。ではガリガリとかけ回して・・
うひょ、箸でつまめないくらいトゥルントゥルン。やっぱりあなたコンニャクじゃないの?
ひもかわうどんのように口内にピッタリ吸い付く感じが楽しい。そしてそば粉と小麦粉だけではあり得ないほどの弾力がすごい。片栗粉でも入っているのかしら?
ピロピロ感とモチモチ感を楽しんで、飲みこむ頃にはやっぱりそばの香りが鼻に抜けていく。おもしろ〜い。塩もうまいけど、良いわさびとたまり醤油あたりだったらお酒が止まらないヤツだね。
汁にチラッとネギを散らしてそば湯タイムだ。濃すぎぬサラサラな湯は好みど真ん中。割ってさらに美味しいのは良い汁の証。ほっこりしあわせだなあ。
いや〜、新そばの風味を満喫してしまいましたね。
母「天ぷらもね、半分くらいのニンジンがポンって置いてあってびっくりしたけど、熱くてホコホコ甘くておいしかったよ」
そうか、天ぷら係さんがいるとそっちも狙い目なのか。では次回は・・どうしよう?悩ましくて嬉しいじゃありませんか、ねえ。
そば六 埼玉県日高市高萩658-1