
牡蠣を食べるために来た金沢。
予約超困難の牡蠣鍋専門店「みふく」さん。二年前に初めていただき、正しく牡蠣料理の頂点だとビックリ仰天したのでした。
その時に連れていってくださった和尚さんが昨年夏に急逝され、その予約を引き継がせていただく形での再訪となりました。

お店の場所はひがし茶屋街近くの主計町料理料亭街。
早く着いてしまったので夜桜を見上げて待つ‥二年前に和尚と見たそのままの光景に、ちょっぴり泣きそう。
まさか二年後の今月今夜この桜を、ぼくの涙で曇らせることになるとは思わなかった。

歴史を物語る建物の前に、腹をすかせた狼たちが六名揃いました。この六名という数字が大切なのです。
入店すると下足番の方がいらっしゃるのもさすが老舗料亭。そして部屋に着けば、御年86という大女将が挨拶に来てくれました。
「膝が悪くて座ったりできないんでね、もう口だけでサービスしますから。しゃべるだけ。あれ、今日はみなさんどちらから?」
グンマ、京都、東京と各人バラバラな答えにも当意即妙の返し、大ベテランの話術でお酒が入る前から盛り上げてくれます。

そして登場、牡蠣鍋の具!すっごい大ぶりの牡蠣にすっごい太さと巻きが密なネギ!
仲居さん「ネギは深谷のいい物なんですよ」
おお、地元の産じゃないですか。なんだか嬉しいな。

そして六人で来た理由、六人以上なら同時に牛鍋も頼むことができるのだ!

いわゆる牡蠣の土手鍋なのですが、味噌は鍋のヘリに塗るのではなく、扇形にまとめられています。
牡蠣と牛で出汁の濃さが違うらしいので、鍋は二つ。牡蠣鍋と牛鍋の前にそれぞれ三人座り、両方の鍋の間に陣取った仲居さんが、調理から取り分けまで全部やってくれるスタイル。

煮えるまではイカのウニ和えと季節のカマボコで一杯‥いや、イカがうまくて一杯じゃ済まない。ガラスの徳利で来た冷酒は瞬く間に空っぽです。
大女将に「18歳」と大ウソをついたメンバーは「じゃあお酒は取り上げだ」とやっつけられていました。

大量の生姜ペーストを投下して、一際香り高くなった鍋。そろそろ完成か?

頃合いの所を仲居さんが器に取ってくれました。
生姜香る味噌出汁で煮た牡蠣に生卵を絡めて食べる、あまりにも独特のスタイル!
独特なんですが、しかし‥牡蠣の旨味をこれだけ膨らませ、磯の香りをこれだけ引き立たせる料理は他に思いつかないほど‥うまい!うますぎる!前回と同じ結論、牡蠣の最適解だ!

牛肉も盛ってくれました。肉が卵に浮かぶ様はまるですき焼きのようだけど、生姜でキリリと引き締まった味はまるで別物です。
すき焼きはご飯が欲しくなりますが、この鍋ではお酒が恋しくなりますねえ。冷酒ください、もう面倒だから2・3本。

味の染みた白滝がうまいのはお約束。生姜風味の深谷ネギなんて鉄板そのもので、本来メロンくらいあるとされる糖度が全力を発揮しちゃってうめえうめえ。すごいぞ深谷。
牡蠣とお肉の追加はいかがですか?というので、もちろんおかわり。

おお、特にでっかい牡蠣が入りましたね。本当にうまい、もともと牡蠣って大好物だけど、特別な大好物になりはべりぬ。
生麩が入ってくるのも加賀っぽくていいですね。これまた好物なんで嬉しい。

3ターン目くらいになったら、卵でなく甘酢で楽しむのもアリだそうです。なるほどすっきりさっぱりうまい。また酒が進んでしまいますな。
仲居さん「お餅は入れますか?」
この!牡蠣たちの旨味がたっぷり出た生姜スープへ!餅を?ぜひ入れてください!

こんなの極楽どころじゃないって!
ところが驚いたことに、本当のシメは餅ではないのだ。

真のシメ、牡蠣ご飯!
牡蠣の旨味たっぷりのご飯に海苔とワサビと紅生姜‥!これをご馳走と言わずに何とする。香の物もしっかりうまくて困っちゃう。

半分くらいご飯をいただいたら、なんと出汁茶漬けに。ここでワサビの存在価値がググッとあがっちゃうワケですね?酔っ払いの夢が具現化したみたいなシメですって!

選び抜かれたポンカン・大将季でごちそうさま。
いや〜、うまいを超えた大変な体験だった‥!六人ともみんな大満足の顔、和尚に届いているといいな。
次の予約も取れてしまいました‥やっぱり二年後ですが。もっとも一緒に来たM社長の名前で入れたので、二年後ぼくにお声がかかるかは謎です。万障繰り合わせて金沢に直行しますので、ぜひ呼んでね。
みふく 石川県金沢市尾張町2-16-37