初夏です。何か夏っぽいものを食べたいです。季節を感じるモノを出してくれる店にでもいきたいところですが・・
母「じゅん亭の夏メニューを食べたいから予約しておいて。五人でね」
おお、変なところで波長が合いますね。さすが産みの母。電話くらい喜んでかけますとも。自分のお金ではないので5000円コースをお願いしておきましょう。
こちら「じゅん亭」さんはメニューというのは特になく(日替わり単品くらいはあるかもしれない)、3〜5千円程度で金額だけ指定すればお任せで出してくれるのです。
はーい、着きました。カウンター約10席、五人程度までのミニ座敷1つ、マスター一人のお店です。予約はほぼ必須かと。
ではドリンクメニューを・・・テーブルのセンターには月替わりっぽい日本酒メニューが置かれています。和食には日本酒だー!!飛露喜、白珠、出羽桜雪漫々をお願いします!
先付になるのかな?ナスとそうめんの煮こごり、枝豆、ミョウガ甘酢、つぶ貝、カボチャです。すでに夏度200%!
屈強なる軍勢が到着いたしました!ご覧の通り、こちらのお酒はどう見ても一合ではありません。母は?ああ、もちろんおビールですね。ご近所のおばさまたちは日本酒(まつもとと白珠)。これはあとで分け前が期待できそうな。
そして青織部の器と共に、造りの登場です!もはや絵画的な美しさ!
センターは赤貝ですね。マグロとかではなく赤貝!珍しい。
マスター「閖上(ゆりあげ)の赤貝です」
・・閖上の赤貝?マグロで言えば大間、ブリで言えば氷見といった感じのブランド赤貝じゃないですか!さっそくパクリと・・おおっ、磯臭さと甘みとコリコリ感が押し寄せてきます!うわー、普段の赤貝はなんなのでしょう?
母「ナスも美味しい!なにこれ!」
水ナスですが、こう造りとして出されても違和感ナシのウマさですね!
こちらは上が高級魚として名高いハタ、下がアオリイカ。ハタはどう食べてもウマい!刺身でも味が非常に濃い!
母「イカおいしい!くにゃくにゃの腐れイカじゃない!」
ほんとにイカ刺しがウマい店はすべてウマいです。が、腐れイカはひどいな。
太刀魚は漬けというほどではないですが味がついていますね。青魚の香りと白身魚の歯ごたえを併せ持つ、奇跡の魚です。
そしてマスターが切り出しコンロを持ってきましたよ。前はサワラの皮目を炭で炙るというタイガージェットシンばりの反則技を繰り出しましたが・・
う、おぉ!今回はなんと、ノドグロ!ノドグロを炭で軽く炙る!!もはや反則でもない、規格外なワザですよ!ゲーリーオブライトのフルネルソンスープレックスか?!
皮目の美しさと香ばしさ、身と皮の間の脂の甘さ、身の旨味・・・五人とも無言で二切れを愛おしそうに食べます。ああー、半泣きになりそう・・・
あれ?マスターが切り出しコンロで餅を焼いていますよ。このタイミングでモチ?
マスター「ちょっといいウニが入ったので、餅とウニの磯辺巻きです」
んがっ、あなた天才ですか!「海苔で飲む日本酒→ウマい・ウニで飲む日本酒→ウマい・餅で飲む日本酒→ウマい」・・つまりこうやって飲むと三倍ウマい・・?いや、三乗でした!これはもう大変!!
気絶しそうになっているとキンキの焼き物が!すみません、白珠をいただけますか・・
母「私はビールを・・」
マスター「赤城牛をすき焼き風に煮てみました」
ちょっとマスター、今日はノリすぎでは?このタイミングで肉とか人を喜ばせすぎですよ!
あまりの喜びのせいか、キノコしか撮ってありませんでしたよ!いやー、うれしいとメガネが落ちるんですよ。
酢の物ポジションに当たると思われる三品が登場。それにしても麗しい。じゅん亭キャンディーズですね。左から見ていきましょう。
母「あれ、ただの冷やしトマトなんだ」
マスター「こちらはここ太田市産の糖度9のトマト、ブリックスナインです」
群馬に奇跡のトマトがと聞いてはおりましたが、食べるのは初めてです。
母「あまーい!でもちゃんと昔のトマトみたいな味と匂いもある!おいしい!」
昔の人が言っているからそうなのでしょう。おお、確かに甘いけどトマト臭もしっかり!なぜか酒に合う!
こちらは最近山ほど買ってきた海ぶどう・・だけではないですね。あとじゅん菜と生湯葉!プチプチ、ヌルヌル、ピロピロを同時に楽しませようというのですね!
母「これ1日おきくらいに食べたいね」
まあ今まで出てきたもののほとんどがそうですけどね。
こちらは白桃の胡麻味噌かけ!えっ?と思いましたが、濃厚なゴマみそとモモが絡むとなぜか酒がすすむ!
近所のおばさま「私こんなに飲めないから残り飲んでいいよ」
あら、すみません!まつもとでしたっけ?サラリとした飲み口なので、ゴマ風味をきれいに洗ってくれます。
揚げ物が出てきたのでそろそろおしまいが近いですね。見事な姿で揚がった稚鮎と、こちらはコーンですか。
母「コーン甘い!おいしい!マネしてもこうはいかないよね」
いかないですね(断言)。
ああ、稚鮎の天ぷら・・京極さんだったら気絶しているところです。いや、私も気絶します。初夏最強の食べ物は鮎!異論は認めますが、私はそうなんです。
最後のご飯にあたる食事ものは稲庭・・かどうかはよく覚えていませんが、うどんです。さっぱりとしたゴマだれでさわやかに締めましょう。
母「あーおいしかった!やっぱりここはおいしいね」
少食なはずの母が私と同じ量をぺろりと平らげているではありませんか。
母「ノドグロとか分けてあげることはできないよ!あんなにおいしいもの」
私もよこせとは言いません。死ぬまで言われそうだ。
しかしこの店は日本酒好きが泣いて喜びそうなモノを、さらに面白い趣向をこらして出してくれますので、本当に太田市最強な気がします。では満足して帰りましょう。
そしてこの日は作務衣に雪駄で行ったのですが、間違えてマスターの雪駄をはいて帰ってきてしまいました。交換に行かなくては、ということで再訪フラグ。いつにしよう・・・
じゅん亭 群馬県太田市新井町516−1 GSEビル1F