大手ゲーム会社勤務のKさんと行く愛知、名古屋を離れて北上します。
Kさん「名古屋城はおろか犬山城まで華麗にスルーしていますが、どこに向かっているのですか?」
実はですね、ここ犬山市は桃太郎生誕の地を自称しているのです。
Kさん「えっ?桃太郎って岡山の人じゃなかったんですか?」(※桃太郎電鉄調べ)
私もそう思っていたのですが、ほら。「桃太郎神社」まで作ってしまっている本気度です。
Kさん「ほ、本当だ・・・」
なお「犬山市」はオトモの犬から名付けられたとか、さすがに眉唾な情報も。
Kさん「それはともかく、よくできたコンクリ像ですね」
よく気がつきました。ここの像は鬼才・浅野祥雲先生(故人)の手による芸術作品なのです。
Kさん「誰ですか?」
関ヶ原ウォーランドとか五色園といった芸術的テーマパークのコンクリート像を作った、斯界の第一人者です。もっとも第二人者以降は知りません。
ちなみに関ヶ原ウォーランドはこんな感じ。戦場のあるあるな一コマをコミカルなタッチで活写したすばらしい作品ですね。
Kさん「コミカル・・ねえ」
そしてあちらが浅野先生の代表作!「桃太郎天上天下唯我独尊」!
Kさん「そういうタイトルなんですか?」
いや、たぶん本当は「桃から生まれた桃太郎」みたいな感じかと。
なんとなくAppleには児ポル認定されて審査で落とされそうですが、ここ桃太郎神社不動のセンターです!ちょっと0歳児に見えないのは秘密。
・・・誰が登るのでしょう、こんな像に。酔っ払ったYさんか・・・(前々回参照)
桃太郎がこの辺で生まれた証拠として、近くの川で発見されたおばあさんの足跡まであるのですよ!ここに移動させたとありますが、動かぬ証拠です。
Kさん「足跡って、イエティとかビッグフットじゃないんだから・・おばあさんはUMA?」
これを見てもそんなこと言えるか!・・・って、あれ?足跡はどこですか?
Kさん「こんな石ころ、長瀞の岩畳に行けば108個は転がってますよ」
でもほら、もう桃太郎誕生地であるうえに国定公園にまでなっていますよ!生誕地岡山説、はい消えた!
Kさん「おとぎ話主人公の生誕地の基準を問いただしてもらいたいですね。蓮舫さんあたりに。第二の生誕地じゃいけないのですか?とか」
まあ言ったもん勝ちなんでしょう。
しかしさすが浅野先生、本来悪役である鬼たちの生活も非常に楽しそうな像になっております。ほら、ご馳走を運んでいますよ。
Kさん「楽園の住人であった原住民(鬼)たちの生活を、列強国の侵略者(桃太郎とオトモ)が己の正義を振りかざして踏みにじったのですね」
そんな大航海時代以後の世界みたいに言わんでください。
そう言われると、柴刈り十段のおじいさんの顔まで悪者に見えてくるような。
Kさん「いや、実際この顔は会社で言えば感じ悪い人事部長ですよね?目が笑ってない」
桃太郎神社ですので、桃の鳥居もありました。しかも葉っぱがさりげなく座布団に!まさかこの鳥居も浅野先生の手によるものなのでしょうか。て、天才だ・・・
Kさん「とにかく入ってはいけない結界的なものはヒシヒシと感じます」
入ってはいけないといえば、そう、有料施設もございます。貴重この上もない民俗学的資料や、桃太郎がかっさらってきた(かもしれない)財宝が並ぶ宝物館がたったの200円!さあ入りますよ!
宝物館ゾーンに入ると、おおー、かの有名な泣いた青鬼が・・・あれ?青鬼って姿をくらました方で、泣いたのは赤鬼では?
Kさん「まあ『こらしめられた鬼』は青鬼ですから、いいんじゃないですか」
まあ、赤くないけどやさしい鬼もいますよ。お茶は沸かしてございませんが、背中に乗ってもいいそうです。
「た、高木ブーの雷さま・・?」
むむ、見える・・・とにかくせっかくだから乗せてもらいましょうか。
乗ろうと背後にまわったら、ウホッ!いいおケツ!!浅野先生、このプリケツはまずいんじゃないですか?
Kさん「これでは宝物館でなく秘宝館ですね!」
桃太郎サイドの像は乗ってはいけないそうです。やはり鬼たちの方がやさしいのですね。
Kさん「いつも思うのですが、一番力もちの桃太郎が犬や猿に荷車を引かせるのはいかがなものかと」
いいんですよ、きびだんごで雇用関係が結ばれているのですから。待遇としては少しブラックな気がしなくもない。
もちろんそのきびだんごを作っているの図もありますよ。
Kさん「こんなだんごで命を懸けた戦いについて行ってしまうあたり、やはりクスリ入りなのでしょうか」
うーん、他に説明がつかないですね。
お子様用にブランコなどもあります。まさに夢のレジャーランドですね!でも座面が地上10cmもありません。こんなモノで遊べる人がいるのでしょうか。立ちこぎ専用?
あまりにも迫真的にヤラレチャッタ鬼もいますね!浅野先生の表現力はどうだ・・!
Kさん「困ったことに、すごい人のような気がしてきました」
だからそうなんですってば!
では宝物館に入りましょう!おや、またずいぶんと生活感あふれる展示。
Kさん「もしかしたら田舎の神社にありがちな、地域の集会所なのでは?」
いや、やさしい赤鬼のお茶沸かし用施設と見るべきかもしれません。
平成8年に火災に遭い、貴重な宝物の多く(桃太郎が生まれた桃の干物・鬼の頭蓋骨等)が焼失してしまったということですが、「鬼が島で発見された鬼の珍宝」は健在です!うわー、まさに鬼!なサイズ。これって考古学・民俗学・生物学とかのいろいろな分野で貴重すぎる標本では?
そして「犬が噛み切ったと云ふ鬼の珍宝の化石」!!長さ15センチメートル・・・むむ、ちょっとこちらはどの辺が珍宝なのか、正直わかりかねます。しかし犬さんたらエグい攻撃しますね。
Kさん「ニセモノとかヤボなことは言いませんが、一言だけ・・やっぱり秘宝館じゃないか!」
うーむ、否定できない。でも他にも鬼灯様が持っていそうな鬼の金棒とか、なかなか素敵な展示物もあるので一見の価値はあるような、そうでもないような。
お帰りにはもちろん「レストラン桃太郎」で食事もとれます。ナガシマスパーランドも裸足で逃げ出す総合レジャーランドっぷり!もちろんきびだんごもありますよ!桃太郎印かどうかは聞かなかったので知らない。
ところでKさん、なんだかんだ言ってしっかりお守りを買っていたのは見逃しませんでしたよ。どんなのですか?
Kさん「桃型のえんむすびお守りですよ。これで僕にも彼女ができること疑いなしです」
おお、桃の中に男女二人が仲良く入っているのですか。もはや桃太郎でもなんでもない気がしますが、成就するといいですね。
ちなみにこちらの神社、木曽川の河川敷に広がる「桃太郎公園」と併設です。広々とした芝生の上でキャンプやバーベキューができますので、その際には一緒に参拝をどうぞ。
桃太郎神社(桃太郎公園) 愛知県犬山市栗栖大平853