いつものことですが、大変な量のお酒を飲んだので会話に関してはほとんど覚えておりません。食べ物に関しては写真によって記憶とつないでいるので、間違ったことは書いていないはずです。
「ウツボって食べたことないけど、白身でおいしいらしいから食べたいんだよねー」
‥いつでも難易度高めなお題を出してくる小間物屋のN又さん、また無茶なことを言ってきてくれましたね‥
ウツボって美ら海水族館で見た時は、確かこんな巨大でヘンテコな‥あれ?ぷっくり太って、にょろにょろ動く部分の筋肉なんて発達していてウマそうに見える。よし、行きましょう。
ウツボ料理ってどこで出すんだろ〜と思ったら、以前に岐阜の土佐料理屋さんで食べたじゃないですか。土佐の高知のはりまや橋で〜‥高知の料理、都内で調べると…おお、ここがいいかな?
そんなわけでやってまいりましたのは「高知料理 長宗我部 銀座」さん。銀座だけにすこし良いお値段らしいのですが、ウツボメニューが常時あるということでここに決定。最高峰カツオという看板が頼もしいですね。
N又「これはカツオも頼まないとだめかな〜」
だめでしょうね〜。
スケスケの暖簾からチラリと見える店内も高級そうです。恐る恐る入って予約した旨を伝えると、かわいらしい店員さんがニッコリと席に案内してくれました。いい感じじゃないですかーやだー。
カツオとウツボの予定ですから、とりあえず日本酒で行きましょうか。司牡丹の船中八策純米を二合で。
N又「辛口が好きなんだけど、こちらのお酒は?」
なんと土佐のお酒、ほぼ全てが辛口なのです。はーい、かんぱーい。
N又「どれどれ‥?ホントだ。これは好きな味。すごいスッキリ辛口!」
ラベルに「超辛口」と書いてあるくらいですからねー。実は近所の酒屋さんがよく持ってくるお酒。
料理メニューは本日のおすすめから。
店員さん「当店は初めてですか?オススメは鰹のタタキ、特に塩の方と、あとウツボのお料理になっております」
N又「う、うつぼぉ…!!でも鰹わら炙りタタキ塩ってすごくおいしそう…!」
やはりウツボとカツオ両成敗でいきましょう。
N又「そうしよう!そしてカツオがおいしかったらポン酢も頼む」
そうだ、大変よく食べる方だった‥あとはどうしようかな、日本海側のお店なら間違いなくのどぐろの塩焼きにいきましたが‥あっ、自家製炙りカラスミだって!
N又「\\\\٩( ‘ω’ )و ////」
はーい、来ましたよ!本日のド本命、ウツボ料理!刺身・タタキ・シャブシャブ・唐揚げと変幻自在です。
N又「ぜ、全部‥?」
いや、落ち着いて!まあ刺身は頼みましょう。あと唐揚げが美味しかったので、こちらも。
N又「ナマと火を通したもの食べ比べ。いいね」
あとは野菜も欲しいかな。白菜のお漬物 削りたて鰹節のっけも頼みましょうか。
N又「野菜はほしいね!あとはえーと‥どろめって何?」
いわゆる生しらすです。土佐の名物と西原理恵子氏が言っていたような気がします。
N又「じゃあおばけとチャンバラ貝は?」
うん、知りません。
N又「沖縄料理は名前が未知だけど、土佐料理も結構わからないね」
まあその辺は、メインの後に余力があれば頼みましょう。
そしてやってきたのは…なんだこれ、カツオ‥ですかね?
N又「少なくとも、私の知ってるカツオじゃないかな〜」
とにかく品名は「鰹藁炙りタタキ 塩」です。薬味はワサビとスライスニンニクですね。生姜でなくワサビなあたりが高知風なのかな?ワサビ好きだから嬉しいけど。
そしてニンニクがスライスなのはさすが!馬刺しでもカツオでも、おろしの3倍くらいおいしく感じます。1枚あたりが大きいので、翌日の臭さも3倍らしいですが…
N又「おいしいモノを前に、そんなの気にしちゃダメだ!」
そうですな!
というわけでワサビをのせて、スライスニンニクとともに塩タタキをパクリ…
・・・・
N又「・・・・」
・・ちょっと間違いがありましたかね。お互いもう一度パクリといきましょうか。ニンニクとミョウガと一緒にパクリ‥
N又「えーと‥これがカツオなら、私が今まで食べていたカツオのたたきってなんだったんだろ?」
なんだったんでしょう‥カツオそのものも素晴らしく生臭みのないウマさ溢れる味ですが、その上に表面の香ばしさがエラいことになっています。これがシン・藁焼きの実力か…!
ちょっと強めの燻香、火が通ったことで皮の裏の脂の旨味が花開いて、でも赤身の軽やかさはそのまんまという…絶対にマグロより日本酒に合うよ、カツオ!ご飯にはマグロ、酒にはカツオ!
日本酒に合うなんて話をしていたら、自家製炙りカラスミなんか来ちゃったよ!
N又「シェリーとスペイン産マグロのカラスミってすごく合うけど、国産カラスミと日本酒…?合いすぎじゃないの…?」
危険としか言えない恐ろしい組み合わせです。ではいきますかーッ!
カラスミの親友である大根とともにサクリといただくと、塩気と磯の旨味と細かい卵の滑らかな舌触りが怒涛のように押し寄せます。ちょっとクドく感じるくらいの旨味を全て受けとめる、大根の爽やかさはどうだ…!そこに日本酒をクイッと…
N又「ちょっと!ウツボを前にもう幸せなんだけど!」
これは困りました‥ずーーーっと飲むことができる酒テロつまみだ。ただ財布にもちょっとテロだ。
お待ちかねのウツボの唐揚げが来ましたよ。
N又「念願の!!わーい!あー、皮とその裏のプルプルがすごい、これは美味しいよ!やはりウマさは皮と身の間にあるよ!」
やっぱり魚の極意は皮の裏ですよね〜。白身部分ももちろんおいしいのですが、このクニュクニュ感と脂の旨味はたまりません。鳥でいうと皮かぼんじりのようだ。
勢いで頼んだ白菜の漬物・削りたてかつお節のっけですが…これはいかん。浅漬けの白菜に山ほどのっているのは‥リアル鰹節!こんなの気絶しない日本人はいませんよ!
N又「鰹節だけでずーっとお酒飲めちゃう!」
いつの間にか移行していた菊水 四万十川も空になりそうです。
N又「とか言ってるうちに主役のウツボ刺身がきましたーよ。早く写真撮ってくれないと」
あっ、お預け状態でしたか。すみません。パシャパシャ…はい、どうぞ!
N又「ウツボって見た目がかわいいけど、お刺身も綺麗‥!」
か、かわいかったかな‥?まあいただきましょうか。
ショウガ醤油か酢味噌で食べるみたいですね。
N又「醤油でいきましょー」
では私も。…ペロリと一枚いただくと、なんですかこれ‥
N又「すっごいキメ細かい白身…もっちりした歯ごたえとか、もうコレって高級なヒラメじゃない?」
ポン酢とあさつきで食べれば、フグと言ってもバレないくらい上等な白身ですね…!たまらなくウマい。ここまで上品なら、酢味噌はいらないかもしれない。もちろんソレが好きな方もいると思いますが。
そして通常の刺身にはないお楽しみ、皮!どう見てもプルップル‥食べてもやっぱりそうだ!そしてお約束、皮の裏の旨味‥!
あーそうだ、このウマさどこかでと思ったら、アンコウっぽさがあるよコレ!
N又「アンコウの刺身を食べたことないから伝わらないよ〜」
あれ、ヤブヘビ…?じゃあ、次の冬にでも行きますかね…
今まで日本酒で楽しみましたが、次のツマミに向けて焼酎スタンバイ!麦の空海と芋の龍馬、二大偉人で攻めましょう。
やってきたのはキジ肉の串焼き三点セットです。たぶんハツ・レバー・砂肝だったような。とにかくレバーの健康さあふれる旨味に参った記憶がございます。
N又「キジって初めてかな?すごく健康な味でおいしい!」
小ぶり、固めですが、これが養鶏場でブクブク太らせた鳥ではない、本当の鳥の味なのでしょう。
あ、ゴリの唐揚げがある!頼みましょう。
N又「あれ?ウツボだけじゃなくてゴリもお会いしたことないかも」
ちっちゃい淡水魚ですが、味が濃くて素敵ですよ!
N又「あっ、ホント!ちっちゃいのにものすごい旨味‥!」
自家漬けカリカリみょうががすごくさっぱりウマいのですが、みょうがと言えばカツオたたき‥やはり塩でないポン酢のタタキも食べたくなりますね。
N又「いきましょう!」
やって来たのはかつお藁たたき柚子ポン酢!思った以上にみょうがバッサーと来ました!
N又「薬味まみれでカツオが見えない!」
これがリアル土佐スタイルか!ではいただきましょう。
うん、やはりウマい!やはり皮目がたまらん‥!でも塩たたきの方が、ストレートなカツオのウマさがあった気も。
N又「カツオがすごすぎるから、シンプルな方がお酒に合うのかもしれないね」
結論としては、どっちも素晴らしくウマい!司牡丹を追加だ!
あ、そうだ。ポン酢の方はこうやって野菜や薬味をドチャーっとのせるのが正解なはず!ほーら、こうすると塩たたきにも負けない。
N又「ポン酢カツオはサラダだったのか!普通のサラダとちがうのはこのニンニクだね。明日は外に出ないようにしよう」
シメは土佐ジロー卵のプリンでいきましょう。これがまた、私の知っているプリンと違う卵の味の濃さとフルフル度合い。
N又「ちょっともらっていい?うわー、あまり甘くなくて、とにかくタマゴタマゴ!」
これ、めっちゃめちゃウマいですよね‥あれ?そういえばN又さん、シメは?
N又「土佐ジローのね、卵かけご飯を頼んじゃったんだよコレが」
ここでご飯にいっちゃうのね?
N又「横への成長期が止まらないけど、最高のタマゴでTKGの誘惑には勝てなかった‥!」
聞くも野暮ですが、一応‥お味はいかが?
N又「いやほんと、シメの炭水化物は背徳のおいしさ‥!」
シメと言いながら、すぐ近くの店でまた飲んだのでした‥病気だ。
高知料理 長宗我部 銀座 東京都中央区銀座8-2-13 コリドー通りJビル 2階