三月末、さわらびの萌え出づる春。淡い緑の若芽で一杯やりたい。でもそれだけでは頼りないのでサカナも食べたい。そんなワガママがまかり通るお店は‥あそこだな。
場所は宇都宮。ホテルニューイタヤの南にあります大谷石の蔵、「寿司天ぷら 牡丹」さんにやってまいりました。
駐車場はありませんが、周辺にコインパーキングが多数あります。
店内はカウンター7席のみなので予約推奨。夜の部一番乗りだったようで、好きな2席を選んでいいらしい。パチカス時代のクセでカドをいただきます。
まず刺身を切ってもらおうかな。え〜と本日の魚は、イシダイにサヨリに‥
店主さん「最初に悪いお知らせがあります」
えっ何それ怖い。なんです?
店主さん「今日は関サバが入ったんですけど、ランチで全部出てしまいました」
うわ〜、こんな悪い知らせ聞いたことねえ〜!
‥が、出てしまったものは仕方ない。気を取り直して‥それではシマアジとキンメを入れた刺し盛りを作ってください。
店主さん「はい!何点くらいがよろしいですか?」
そうですね、五点でお願いします。
関サバは実に無念でしたが、海なし栃木でわがまま刺し盛りをお願いできるだけでもありがたいじゃありませんか。切ってもらっている間にお酒を頼みましょう。
女将さん「鳳凰美田の春酒が入ってますよ」
そんなのいただきます!ほぼ一年ぶりの来店と思うのですが、美田が好きなところまで覚えていてくれたんですね。
友人「外見と飲み方で忘れる方が難しいのでは‥」
みなまで言ってはいけません。はいかんぱ〜い。
お通しは卯の花とツブガイ。丁寧に炊かれた卯の花が素敵においしい。このオカラなら、からくれないので水をくぐってしまう気持ちも分かるようだ。
うわ〜と声が出てしまう刺身五点盛り!左上より時計回りに生の天然ホンマグロ・シマアジ・キンメ・甘エビ・トリガイ。
炙ったキンメは罪の味。大日エレクトロンの社長に食べさせてあげたい活きたシマアジ。マグロは‥これは後で握ってもらおう、絶対に。
刺身が終わる頃合いで春先取り天ぷらをお願いしましょう。
香り高い油から次々と引き上げられるのは田ゼリ・アスパラ・そら豆・菜の花・タラの芽・ふきのとう。
ほろ苦くてほんのり甘い淡緑たちの競演!春だ、爛漫だ!ノビル摘みに行かなきゃ。
アスパラは丁寧に皮まで取り去られ、優しい歯ざわりがたまらない。ウチで揚げる時マネしよう。
ライブ天ぷらってうまいな〜!何か追加で揚げてもらおう。レギュラー天ぷらメニューと本日の一品を見て‥お、いかにも春らしい品がいらっしゃいますよ。
桜エビかき揚げも鉄板でしょうが、天ぷらとして食べるならホタルイカの方が珍しい気がする。刺身のようにシャキシャキな身を噛み破ると、熱々の肝があふれ出る!うめえ〜、酒ホイホイだよこんなの!
思い出してみると昨年も食べていた。仕方ないよね、春だもんね。
花満開の確変みたいな春連チャン、お次は生シラスと大葉の天ぷら!生シラスを揚げるとこんなフッカフカな‥よくできたハンペンと油揚げのハーフみたいになるのか!そこに大葉がふわりと香り、永遠に飲めてしまうモストデンジャラス天ぷらじゃないの。
それでは満を持して握っていただきましょう。時価なし、全て一貫の値段が決まっている明朗会計。ウニとか高騰しやすい物は赤字の時もあるかもしれない。
友人はお腹の具合はどうです?ふむ、五つくらい行けそうですか。ではホンマグロの中トロを入れてもらって、おすすめ五貫を願いま〜す。
ついでにお酒の追加をお願いしたら、今まで頼んだお酒の瓶を並べてくれました。鳳凰美田の春酒・新政No.6・楽器政宗・うまからまんさく。春は華やかとかフレッシュとかいった感じのお酒を選んでしまうね。
握りの先鋒はイシダイ。あらいその王者だ〜!たっぷりの脂、感じるかどうかギリギリの磯風味。ぼくは今‥サカナを食べているんだなあと実感します。
お次はメタリックな質感が美しい金太郎イワシ!あなたって梅雨頃から本気出す方じゃなかったんですか?なんで春からそんなに丸々と!
もちろんでっぷり肥えて脂は満載。青魚、特にイワシ独特のクセの良い側だけが出てひたすらうまい。関サバへの未練は綺麗さっぱり断ち切れました。
刺身であれだけうまかったホンマグロを握りにしちゃえば、それは事件ですよ。
牡丹さんのお寿司。小ぶりでふわっとしたご飯と長めに切られたタネのバランスがツマミに最適化されている気がして、非常に好みです。
ウニ!赤字じゃないかと心配していたウニさん出ちゃった。シメのかんぴょう巻きかトロたくまでたどり着く自信がなかったので、ここで海苔の補給は願ったりです。天ぷらってお腹にたまるんだね。
トリを飾るのは煮穴子。メインとデザート両方の属性でまさにシメにもってこい。ちょうど満腹、なんたる幸せ。
お寿司屋さんで絶対おいしいコンビ、お茶とあら汁で真のシメ。ごちそうさま!
静かな蔵のカウンターでサカナと天ぷらを楽しみつつ杯を重ねる‥なんと素晴らしいひとときでしょう。日本酒好きにとってこんな極楽ってある?
どうして一年近く間を空けてしまったんだぼくってやつは。次は光り物が本気を出す夏に来なくては。金太郎イワシはもちろん、今度こそ関サバ関アジの在籍を期待、期待〜。
寿司天ぷら 牡丹 栃木県宇都宮市一番町3-1