いよいよ秋となってまいりましたが、今年は秋の味覚絶対王者であるサンマ様の調子が悪い。友人に送っていただいたものは奇跡的に素晴らしかったですが、店頭に並ぶのはやせ細ったサンマのみ‥どうしよう。秋が来ない‥
あ、秋限定じゃないけど秋冬の「er」が付く月にウマいヤツがいるじゃないですか。そう、牡蠣!よし、牡蠣食べよう。浅草にウマい牡蠣を食べさせる新店ができたと小耳にはさんだので行ってみましょう。
新店に特攻はいいですが、私は少食であります。一人では色々と頼むことができません。誰かいないかな‥
「浅草で牡蠣とお酒?」
おや、先日浅草で馬肉を食べたN又さん。たしかメチャメチャ飲んでメチャメチャ食べる方でしたね。これは適任だ。ぜひ手伝っていただきましょう。
ということでやってまいりました、雷門の近くにあります「かき屋 浅草だいまさ」さん。テーブル3卓とカウンター席という、小さめのお店です。このくらいのサイズ感は好みです。
では飲み物を頼みましょう。メニューはこれか。昼飲みの名所として名高いホッピー通りのすぐ近くなので、当然ホッピーもありますね。
N又さん「でもとりあえずハイボールかな」
とりあえずのハイボールを五秒で飲み干すわけですね。
私はどうしよう。牡蠣だからとりあえず日本酒にしましょうか。たぶんスッキリ辛口が合うと思うので、「くどき上手 ばくれん」でいきましょう。
N又「辛口いいですね〜」
あ、じゃあおちょこ2つで。
はい、緋色っぽい素敵なとっくりでお酒がやってまいりましたので、かんぱーい。
うん、超辛口を自称するだけある。まさに辛口だ!通常のくどき上手の方が好みですが、この淡麗スッキリ感が白身の魚とかに合うのでしょう。むろん牡蠣にも。
では食べ物を注文しましょう。かき屋さんですので、まずは‥
N又さん「生ガキ!生ガキ!生ガキ!生ガキ!」
ですね。なんだーかんだー言いまして、カキの華は生ガキです。こちらの牡蠣は仕入れにより何種類かあるとのことですが‥本日は北海道仙鳳趾産の真牡蠣と厚岸産のまるえもんですか。どっちがいいですか?
N又さん「両方!両方!両方!両方!」
どっちか片方なわけなかったですね。両方を4ピースずつお願いしましょう。
牡蠣の地獄車というか弥七というか魔人風車固めというか、とにかくかっこいい形状でやってまいりました!ハンドスピナー?なんですかそれは。
牡蠣には日本酒がよく似合う‥うむ、素晴らしい。これぞオッサンの中のインスタ映え。
N又さん「インスタやってないでしょ。撮影はまだ終わりませんか」
おお、これは失敬。さあいただきましょう!
えーと、仙鳳趾(せんぽうし)と厚岸(あっけし)の牡蠣でしたっけ?どっちも読めない‥と思うでしょう?いつ何時でも生ガキを食べているわたくし、ちゃーんと読めちゃう。書けないけど。
N又さん「独り言を言っている間にいただきまーすよ」
私もいただきましょう。えーと、どっちから行こう。まず手前側からかな。
まるエモン‥エモンの方がカタカナなのね。どこかの猫型ロボットとあべこべだ。
生ガキの王道、レモン攻撃!なぜか海原雄山は怒るけど、やはりレモンはうれしい。
N又さん「こっちはそのままで潮の味〜」
ふはー!こっ、これは・・!!
N又さん「すっごい濃厚でクリーミーだ。この牡蠣は好きなヤツ」
びっくりして酒がすっとんでいってしまいましたね。お次は山形の銘酒、大山の特別純米辛口を願いまーす。
N又さん「名前で選んだでしょ」
いや、まあ‥そうです。鳥取に大山(だいせん)という紛らわしい名前の山がありますが、このお酒はおおやまでいいそうです。超辛口の名に恥じない辛口。
N又さん「じゃあちょっともらいます」
普段は濃厚旨口な酒ばかり飲みますが、やはり牡蠣には淡麗辛口が合うなあ。
こっちは仙鳳跡の真牡蠣でしたっけ。どちらも生食用とは思えないプックリ具合ですね。
N又さん「今度はレモンにしようかな」
私はポン酢でいきましょう。タラリとすこーしだけたらして、パクリ!むわー、これまた素敵な磯の風味ですが、強いて言えばこっちの方がプリプリ感が強くて、後味がパッと消えるというか。
N又さん「まるエモンちゃんの方が強烈な牡蠣風味が後まで残りますかね。どっちもおいしいけど」
あとは他につまみを‥
N又さん「蟹みそ!」
お、おう‥
N又さん「蟹みそからの辛口日本酒がたまらない〜!」
そ、そうなんですね?
N又さん「え?日本酒ばっかり飲んでるのに知らないの?」
いや、人生の半分以上を蟹アレルギーで過ごしてきまして‥
N又さん「あれ、悪いもの頼んじゃったかな」
ところがなぜか治ってしまったので、私的にはだいたいオッケーです。ちょっとなめてみましょう。ペロリ。
・・・・くっそウメーなこんちくしょう!こんなウマいものを今まで口にする機会がほとんどなかったとか!アレルギーのみなさま、心中お察しいたします。
N又さん「アレルギーって治るのかな」
理由は全くわかりませんが、大人になってから食べてみたら何も起きなくなりました。でも絶対にマネしてはいけません。
N又さん「じゃあバンバンいきましょー。次は小芋のからあげ!」
こ、これはどう考えても熱いやつ!
N又さん「猫舌会議の私はちょっと様子を見ますので、お先にどうぞ」
生贄か‥パクリ。・・・(しばらくしゃべれない)やっぱりあっついよ!でも中はトロリとして‥いやちょっと待て、その前に外がウマい。出汁がバッチリ!
N又さん「そろそろ冷めたかな‥?はふはふ。あー、ホントだ。すごく上品な味がついてる。からあげだけど和風出汁」
N又さん「お次は銀杏の天ぷら!これこそ秋でーすよ」
まったく異議なしですが、猫舌会議のくせに熱そうなモノばかり頼みますね。
N又さん「すると銀杏はお嫌いでしたか」
そんなわけあるかっ!なんでしょう、この味があるようなそうでもないような‥キュコキュコの妙な食感と変な風味なのに、やけにウマいこの食材は‥
N又さん「マスターが京料理の人と聞いたので、次はフキのたきものでいきましょう」
ふはー、こんなのメニューにあるの?マスター、シブイねェ・・まったくおたくシブイぜ。
N又さん「ちょっと甘くてシャキシャキ感が残っていておいしい」
そして牡蠣の店に来た以上、避けては通れないのがカキフライ!正義の味方、カキフライ!
幸せっていうのはたとえばアレだ、サックサクに揚がったカキフライをおもむろにガブっとかじる!もうわかっただろう。そう、その幸せな瞬間とは、そのカキのジュースが舌の上に流れ出した
瞬間でしょー!
N又さん「そんな瞬間でしょー!おおむね意義なし!」
タルタルもつけて食べればいいじゃん!なぜかメニューの大半が揚げ物のこちらのお店、油も揚げ方も素晴らしいです。
ついでになんとなく頼んだ白ハマグリ焼きもおおむね意義なし!というか、ウマい!
N又さん「ハマグリ汁は先にすする派ですか後から派ですか」
私は後から派ですね。
N又さん「なんと!普通先じゃないですか?」
そうなの?サザエのつぼ焼きとか、先にすすったら変じゃない?やはり食べ物の流派は色々あるのですね。
そして焼きガキもやってきた!香川産の牡蠣ということですが、なんと1つ200円!バーゲンプライスにもほどがあります。
N又さん「焼いてコレってことは相当な大きさと思うのですが、やはり生食用ではないから安いのでしょうか」
加熱用の方が味自体はいいですしね。でも焼いてもやっぱりウマいぞ、カキ!
N又さん「揚げても焼いてもおいしいけど、やはり生にもう一回いっておきますか。まるエモーン!」
呼ばれてとびでた生ガキ、まるエモン!
N又さん「あー、やっぱり濃くていいわー、これ。ホントに生ガキ好きで、よく食べるんですよー」
ほんのり知っております。だから声をかけたと言うか、実は今回カキを選んだのがN又さんというか‥
N又さん「忘れたなあ」
あ。忘れたというえばそうだ、思い出した。
こちらのお店、モヒートとかサワーが自家製なんですってー。
N又さん「どうしてそういうこと先に言わないかなー。じゃあモヒート!」
私は漬け込みオレンジハイボールを頼んでみましょう。トマトサワーが飲みたかったけど、まだ漬けはじめで味がついていないそうなので。
N又さん「カウンターにあったトマト瓶の色が確かに漬けたてっぽい」
というわけで、両方味見してみましょう。あらやだ、オレンジハイボールはオレンジピールまで入っていて、むやみやたらと爽やか。これは美味しいが、しかし‥
N又さん「これはお酒‥かな?」
お互いアルコールを感じにくい体質だから困りますね‥まあモヒートもそうですが、飲みの合間にはもってこいの爽やかさです。あまりお酒に強くない方にとっては、適度にこなれたフルーツ感がものすごくウマいと思います。
そして爽やかな飲み物を頼むと、どうしてもほら‥ねえ。
N又さん「鳥から!鳥から!唐揚げ!唐揚げ!」
生ガキ屋さんに来たつもりが、揚げものがはなはだしくウマい!
N又さん「うう、こんなものばかり食べて‥横への成長が止まらない‥」
よく考えたら注文の品の7割はN又さんが食べていますからね。そこはもう諦めてください。
かき屋 浅草だいまさ 東京都台東区浅草1-17-8