「やった〜!今週はご飯一切作らないぞ!」
おや母上、いきなりどうしましたか。
母「父がマレーシアかどっかに行ってくれたからゴールデンウィークだよ!」
ああ、言われてみれば姿を見ない・・そうですね、いない間くらいはゆっくりしてください。私はいつものように勝手にうどんを打つなり馬刺しを買うなりしますけど、母はどうするのです?
母「せっかくだから毎晩おいしいもの食べに行こう」
なるほど、父は外食も嫌いだからまさに心の洗濯確変突入というところ。というわけで、3回くらい連続で地元の話です。
まずは中華飲みとしゃれ込みますか。地元のようなそうでもないような、県は違うけど隣町の足利市の「創菜酒家 角灯(ランタン)」さんにやってまいりました。
母「ここは来たことあるね」
中華料理屋さんで良いお酒が置いてあるところって少ないので、地元で中華飲みといえばここになります。とはいえ1年ぶりくらいかもしれん。
母「お前がグンマにいないから」
そうでしたっけ。まあいいや、入りましょう入りましょう。
こちらに来たら飲み物は悩む必要なし、栃木が誇る神の雫、鳳凰美田!二合の徳利で持ってきちゃってください。
おすすめは・・やあ、冬らしく鍋があるのか。でも今回は久しぶりだし一品料理をいろいろ楽しみましょう。この中からはもち米肉団子と豚バラ大根がいいかな。
海老とカシューナッツの辛し炒めが大変おいしかった記憶があります。頼みましょう。
前菜として春巻きは欲しいですね。揚げ物つながりで油淋鶏もお願いしておきましょうか。とりあえずこんな感じでいいかな。
母「お前と来ると注文が楽チンでいいね」
一番槍は春巻きでした。タレも付属してきましたが、下味しっかりでカラシだけでもおいしい。バリッと食べ応えのある皮もいいですね。
母「どうしてこんなにカリッとバリッと揚がるんだろうね」
そういえばたけのこの季節になると春巻き量産マシーンと化す母でした。そろそろだな・・
お次はもち米肉団子!
母「へ〜、中華にいがまんじゅうがあるんだ」
肉団子って言ったじゃないですか。そもそもいがまんじゅうなんて埼玉県北部のローカルフード、誰も知りませんからね?
母「ホントだ。お米の中はお肉だ。中も外ももちもちしておいしいね」
前菜的な2品のあとはいきなりメインの風格バッチリ、油淋鶏選手の入場です。
母「胸肉1枚全部揚がってるのかな。味はついてるの?」
カラリと香ばしい衣に軽快な甘酸っぱさのソースが軽く染みてうんまいですよ。中華で油淋鶏を見ると頼んでしまう。
母「ほんとだ。甘すぎなくておいしいね。ビールおかわり」
間違いなくこりゃビール殺しですよね。でも油が軽くて日本酒にも合うんですよ。
お次は海老とカシューナッツの辛し炒めです。辛しと言うほど辛くなくて、海老とカシューナッツの甘味と歯ごたえの対比がなんとも楽しい。
母「カシューナッツを炒めたのって美味しいね」
鶏肉とニンニクの芽と炒めたものなんてメシにも酒にも合って困ります。もちろん海老でもバッチリ酒に合うので鳳凰美田がなくなった。もう二合お願いしましょう。
豚バラ大根は八角が効いた中華風が来るかと思ったら、思いの外和風なスタイルだった。
母「お肉も大根もよく煮えてるよ」
これは日本酒がドンドン加速・・したのはいいけど、料理をお願いしたのはここまでですね。追加は何がいいでしょう。
母「酢豚好き、酢豚」
ああ、そういえばウチでもたまに作っているような。では酢豚と・・おおそうだ、頼み忘れていたものがあった。
まずはゴロゴロ野菜の健康的な酢豚が到着しました。
母「ここは油淋鶏とか甘酸っぱい味付けが上手だね。ちょうどいい」
豚肉の旨味も野菜の歯ごたえもバッチリ!こう野菜をおいしく大量に食べられるなんて、酢豚という料理を見直してしまった。
頼み忘れていたのがこちら、豆腐の貝柱餡かけです。麻婆豆腐もいいけれど、優しさ極まる貝柱餡がなんとも日本酒に合うのです。たまらん。
母「おいし〜い。でも父は絶対ダメだね」
茶色くて味が濃いものの世界にいる人ですからね・・貝柱の滋味など伝わらないでしょう。気の毒に。いや〜、二日酔いの朝に食べたいな、これ・・
いろいろ楽しんだので、そろそろシメに入りましょうか。その前に郷愁の一品、回鍋肉をお願いしましょう。
母「なんでこれが郷愁なの。四川に住んだことあった?」
学生時代によく行った町中華の回鍋肉にちょっと似た味なんですよ。ピーマンが多めに入ればソックリさん。味もよければ店員さんもかわええ良き店でした。
シメはジャスミンライス使用の特製炒飯・・と思ったけれど、現在麺打ちとダシ取りに絶賛ハマり中、研究のためにも鶏塩ラーメンをいただきましょう。
あ〜、こんなに美しく澄みわたって鶏の滋味が滲みでたスープを作りたい。蒸し鶏的な鶏チャーシューもマネしたい。
母「塩焼きそばもすごくおいしいよ。久しぶりに来たけどやっぱりいいお店だね」
厨房が一人だから出てくるペースがゆっくりなのと、味付けが繊細なので・・
母「父がいる時は絶対に来れないか」
そうなんです。中華を食べたくなったら父に旅行に行ってもらってください。できるだけ遠くへ。未知の旅へ〜〜〜。
角灯(ランタン) 栃木県足利市八幡町2-16-16