父不在による母のゴールデンウィーク、最終夜となってしまいました。最後の晩餐はやはりあそこですかね。
母「そうだよ。いっつもグンマにいないからめったに来れないんだから」
まあまあ、今回はしっかり予約しておきましたから。
やって来たのは私と母が地元で最も愛するお店「じゅん亭」さんです。大将一人で全てをまかなうお店なので予約はほぼ必須かと。
基本的に予算を伝えてのおまかせコースのみです。今回、というか毎回6000円でお願いしています。
カウンター数席と5人くらい座れる座敷席がひとつ。予約済みの座敷席にはすでに美しい前菜が並んでいますよ。
菜の花酢味噌にひと足早く春を感じて、しらすとあおさ入りの玉子焼きがグンマに磯の香りを呼びよせます。そしてかますの幽庵が酒を呼び・・そうだ、お酒を頼まないとっ!
いずれも一騎当千の将星たちから、まずは京都のまつもと守破離をいただきましょうか。
大将「まつもとが一杯分でおしまいなんです」
なぬっ、では長野の勢起も一緒にいただきましょう。たぶん「せき」と読む。
グラス・マス・皿の三段こぼしの計でたっぷり。わ〜い。勢起って初めて飲んだかもしれませんが、果物感が強くて切れ味スッキリ。すい〜っと入ってしまうお酒ですね。
大将「あん肝のみそ汁ですね〜。寒いんで。温まると思いますよ」
いきなり!みそ汁、しかもあん肝!ビックリな組み立てじゃありませんか。
母「アツアツだ!わ〜、あん肝ってこってりおいしいんだね〜」
そりゃキモですもの。具にあんこうの身と豆腐が入ってミニミニあんこう鍋といった塩梅。アチアチとすすってはお酒をくいっと。ふ〜温まる。胃の暖機運転、完了!
大将「ボタンエビとメジナの造りですね〜。塩も醤油もどちらもいいと思いますので」
ボタンエビは柚子が軽く効いて、塩でいただくと甘味がはじけるじゃないの。稲庭うどんのようなもっちり感もたまらない。
母「メジナってあまり食べたことないけど見た目が綺麗だし脂の味も上品でおいしいね!」
タイと比べてほんのり磯っぽい香りがするのも面白いですね。こりゃ釣り師に人気があるわけだ。
おっと、七輪が登場ですよ。サカナの脂がじゅっと焼ける香りが店内に広がって、待っている側はヨダレのガマン大会です。
ぎゃ〜!好物のサワラの皮目をあぶるなんて・・!なんということでしょう、好物が大好物に昇格した!
母「サワラって西京焼きばっかりだけど、お刺身でもこんなにおいしいんだね」
いや〜、西側では刺身でもなんでもよく食べるみたいですよ。最近淡路島でおいしくいただきました。
母「連れてってもらってないからわからない」
大将「アナゴの炙り鮨です。葉ワサビで巻いてどうぞ」
香ばしくて爽やかで美味くてどうしましょう。困ったから雪の茅舎をください。山廃のしっかりした旨味と甘味がきっとピッタリ。クイっと飲んだらほら、ピッタリ。
お次はまながつおの蟹あんかけ・・っていうのかしら?高級魚たるまながつおに旨味たっぷりの蟹入りだしあんをかけて、下にはトロトロの湯葉が敷いてあるというとんでもない一皿です。
母「これは上から下まで最高だね〜。あれ、蟹のアレルギーじゃなかった?食べてあげようか」
いつのまにやら完治したのでご心配なく。参ったな、まだ1月だというのに今年一番日本酒に合う一皿に出逢ってしまったかもしれん…
大将「天ぷらは右が太刀魚、海苔が巻いてあるのはホタテとからすみです」
ちょっと待ってくださいよ・・ご立派な貝柱に切り込みを入れてからすみをはさんで天ぷらにするとか美味しすぎるんですけど!今年一番日本酒に合う一皿にまた出逢った!なんだよここ、優良サイトかよ!
母「からすみって高いばっかりと思ったらおいしいんだね〜」
タマゴとか内臓と聞いただけで食べませんもんね。しかし美味しさに気づかれたのは困ったな・・
母「そういえばたまにからすみを買ってきて一人で食べてるよね」
いや、気のせいです。タラコとかそういったアレです。
シメの食事はなめこたっぷりの館林うどん!最後の最後にグンマらしいもの・・すっかり忘れていましたが、グンマは海なし、キノコと小麦の文化圏でした。ズルズルっと懐かしの味で綺麗に締まりました!
母「今日も全部悔しいくらい美味しかったね〜」
本当になんだか悔しいですね。また大将の手のひらで転がされた。
母「次はいつ来れるのかな〜。ねえ」
いつ…でしょうね。春かなあ…
じゅん亭 群馬県太田市新井町516-1 GSEビル 1F