絵師のKさんと来た京都、帰る日の朝食も済みました。錦市場と宇治で買い物をして帰りましょう。
というわけで錦市場が動き出す10時ちょっと前に来たところ、少ない人通りのなかでフシンな動きをしている人がいる・・ちょっと待て、猫耳ニットキャップをかぶっているということはもしかしてKさんか。何やってんだあの人。
「いやね、こちらのお店でずーっとだし巻き卵を焼いていてね、スッゲーうまそうなんだけどお店に並ぶ様子がないんすよ。いかにも食べたそうにじーっと見ながら通って、現在お店の前3往復目」
なるほど、トランペットが欲しい顔でヨダレをたらしていたわけだ。いやでもたしかにすんげ〜ウマそう。ここはのひら・・逆か。「錦平野」さんでいいのかな。。
「我慢できないから聞きましょう!すいません、この卵焼きっていつ買えます?」
職人さん「だし巻きだけですか?え〜と・・じゃあ今包みましょうか?一本千円です・・ところでお帰りはどのくらいかかります?」
「関東だから5・6時間はかかりますかねー」
職人さん「あー、それじゃ難しいなあ・・出汁がたっぷりなんで、焼き立ての熱いやつはすぐに悪くなっちゃうんですよ。しっかり冷ましてから保冷剤をつければ大丈夫なんですけど」
「そうですか〜、どうしよう、一本まるっと車の中で・・いけるかな?」
どうしましょうかね〜、半分ずつ頑張ってみる?とか言っていたら、お惣菜を並べてはじめていた店員さんがこっちに来ましたよ。
店員さん「4分の1に切ってあげようか?そしたら今ここで食べていけるでしょ。250円でいいよ」
「うほ〜い!お願いします!」
店員さん「じゃあ奥のテーブルで待っててね」
ランチタイムは満席になるであろうテーブル席に座らせてもらいます。
「まさかこんな展開になるとは〜。京都の人って冷たいイメージだけど超優しいんですな」
皮肉を言いながらぶぶ漬けを出しそうなイメージでしたが、よく考えたら京都の知人はみんないい人だな。
店員さん「はいお待たせ〜」
「きゃほ〜い。ありがとうございますありがとうございます」
うわ〜美しい。なんて艶かしいおハダでしょう。どうやったらこんなに綺麗に仕上がるのだ。
「しかも4つくらいいっぺんに焼いてましたからね、まさに職人ワザ」
「4分の1とは言ってもずいぶんありますな。1本いったらタマゴ何個分だったのやら」
さっき朝メシ食べちゃったからジャストサイズですよ。ではいただきましょう。
ざくっと割り箸で割ったら湯気がほわわ〜ん、タマゴと出汁の香りもほわわ〜ん。
「おいひぃ〜〜!めっちゃめちゃお出汁入って茶碗蒸し一歩手前みたい」
フワフワ感を想像していましたがトロっとに近い感じだ。タマゴの味を前に押し出したところをしっかりと出汁が支えて、こいつはたまらん。
「もしかして一本でもするる〜といけちゃったかも」
いや〜、甘くなくてタマゴが香って、これでもかと大根おろしをのせて酒を飲みたい。やっぱり持って帰りたい。
店員さん「ウチはお昼の天ぷらとかもおいしいからね、午後に戻ってきてくれてもいいよ」
ぜひともそうしたいところですが、午前で帰ってしまうんですよね〜。次回京都の時は午後に来てメシ食ってお土産タマゴを買いたい所存であります。
錦 平野 京都府京都市中京区錦小路通堺町東入ル中魚屋町489-1