なんとなくカツ丼が食べたくなったので地元のとんかつ屋さんへ・・あれれ、駐車場がいっぱいだ。とんかつシンクロニシティでもあったのかしら。
そしたらアレだ、そば屋さんにもカツ丼はあるよね。オッケーSiri、この辺のそば屋は?ふむふむ・・行ったことがないお店がいくつかあるな。よし、名前でここにしよう。
太田市の龍舞町というところにあります「めん処 ふるふる」さん。ちなみに近くに「ふるさと」さんというそば屋があってひっかけ問題です。
道路沿いに看板と駐車場はあるのですが、店舗はどこじゃろ・・のれんが出ているということは、もしかしてこの民家がお店?ホントに?だって普通のピンポンがあるよ?
さらにほら、白菜だって干してあるじゃないの。まさに一般的なグンマの一軒家だ・・まさかピンポンは鳴らさなくていいんだよな・・ガラガラガラ〜、こんにちは〜。
入ったらやっぱり普通の玄関、そして廊下の正面にガラスと障子ハーフの引き戸・・大丈夫か、ホントにお店か?とりあえず靴を脱いで上がって・・いいのだろうか。
「いらっしゃい〜。そこを開けてね、まずは手前の椅子に座ってくださいね」
あら、これはもうおばあちゃんとしか言いようのない方がニコニコと奥から出てこられましたよ。では障子を開けて失礼しま〜す。
お茶の間に無理やり背の低いテーブルと椅子をねじ込んだような斬新な造り、あのテレビはまさかブラウン管?そして近所の工務店にもらったみたいなカレンダー!
どうやら本当に普通のおウチの3部屋くらいに1・2卓ずつテーブルを置いて店舗化してしまったらしいです。帰省というものに縁はないけど、おばあちゃんちに帰るってこういう感覚なのかしら。
「消毒が終わったんでこっちに座ってね〜。そっちじゃテレビ見づらいでしょ」
テーブルの上どころか椅子の背もたれと座面までスプレーして拭きあげてくれました。なんてありがたい、座らせていただきましょう。
そしておばあさんは磨りガラスの戸の向こうに行ってしまった・・人んちの茶の間で天気予報を見ながら一人お茶をすするってどういう状況なんだこれは。仕方ない、とりあえずメニューを見よう。
さすが「めん処」、カツ丼のカの字もなかったぞ。でもこのお店がすでに気に入ってしまったので心をそばに切り替えます。
どんなそばがあるんだ?え〜と・・ふるふるそばにそばそばセット・・すみません、ちっともわかりません。
あ、写真があるのか。ふるふるそばは高級耳栓必須みたいな不穏な名前ですが、とろろこぶ・ごま・とろろ・おろしと様々なそばをぶっかけで楽しめるセットみたいですね。
そばそばセットはセンターが二八そば、そして十割の太打ちを大根とキャベツで・・えっ、大根そばってこの辺りのご当地メニューだけど、キャベツそばは初耳だな。そしてシメは「そばがきをゴマダレで」ですって。あらやだ、スゲ〜楽しそう。
ちなみに北関東の一部の隠れ名物・大根そばはおろしでなく細切りの大根でそばをカサ増ししたものです。ちょっと貧乏くさいけど大根とそばは合うに決まっているし胃に優しいし、飲みのシメに出すお店もあります。
三面セットはもりそば・おろしそば又はとろろそば・薄打ちうどんのセットですか。なるほど、セットメニューの3つともみんな違ってみんないいな。
ちなみに「めん処」だけにうどんもありますが、お店の推しは明らかにそば。そばにつきものの天ぷらはちくわのいそべ揚げだけみたいですね。
どれにしようかな〜・・・やっぱりそばそばセットが一番面白そうですよね、そばがき好きだし。すみませ〜ん、この・・
ふるふるそばをお願いしますと口が勝手に言った。なんでだろう?でもご覧の通り大変華やかなセットが出てきてこれは大成功の予感。持ってきてくださったのはおじいさんだ。
「おつゆをかけてぶっかけみたいに食べてくださいね」
なるほどなるほど。それではいただきましょう。
薬味はネギと・・おお、わさびがいかにもおろしたてだ。七味が置きっぱなしの瓶じゃないのも嬉しい。
芋と厚揚げの煮物、煮豆に野沢菜、そして縁側で干されていた白菜もご登場じゃないか。どれも口直しというにはウマすぎる。白菜なんて売ってほしいようだ。
「何もない真ん中からぶっかけで」とメニューに書いてあるのでセンターからいきましょう。自家製粉というそばは星入りで、角の切れと透明感が素敵ですね。
ズズっとすすると気持ちよく喉まで落ちていって、鄙びた香りが鼻に抜けます。江戸そばの喉ごしと田舎そばの風味が両立した見事なそばじゃないですか。
汁は昆布強めかな?少し甘味が勝ってもちろんカツオ出汁もばっちりで、今からそば湯が楽しみだ。
お次はすりごまと・・カニカマ?なんとも不思議な組み合わせ。そば自体の風味が強いのですりごまの香りが映える!うまい!そしてカニカマはクニクニ感が面白くてただの彩りではなかった。
とろろ昆布に揚げ玉の冷たいそばというのもあまり見ませんが、でもどちらもそばに合わないはずはない。汁を吸った昆布がそばに絡んでスルスルと喉に滑り落ちます。こりゃいいや。
滑り落ちることにかけてはこの方の右に出るものはいません、とろろそば!実はここ太田市、日本トップクラスの大和芋の産地だったりします。
ここはわさびが活躍するところですね。個室に一人だからツーンと来ても安心・・はくしょ〜ん!ホントに来た。さすがおろしたて、辛〜い。うま〜い。
少しずつ色々なそばが楽しめて割子そばみたいだぞ。楽しいなあ。
トリは大根おろしと鰹節、つまり越前おろしそばですね。昭和天皇がおかわりしたという福井の誇り!
汁をかけてからよ〜く混ぜてズズッと。そばにわさびもいいけど大根もね!こりゃ誰でもおかわりしたくなりますよ。
5つのそばで普通のもりそば2枚くらいのボリューム感でしょうか。小鉢も含めていい感じにお腹いっぱい。これまた好みの濃すぎないサラサラそば湯でサッパリと
締めようと思ったら、そば湯と一緒にデザートまで持ってきてくれちゃったんだな。コーヒーゼリーにキウイ・リンゴ・苺。ついでにみかんを丸ごとデンと置いていってくれました。これで税込千円ぽっきりは素晴らしいの一言です。
みかんがやたらと甘くてうまかった。どこのだろ。
すっかり満足してお会計・・どこで?しかし見れば見るほど普通のウチだな。各部屋に1組か2組しか入れないんだから密もへったくれもないし、バッチリ消毒してくれるし、最高に今向きじゃないか。
営業が金土日のみ。つまり週末はやっているわけだ。おおっぴらに旅行ができる日が来たら、グンマのゆっくり流れる時間を味わいたい方はぜひどうぞ。クルマ以外のアクセスが難しいのもグンマ的、ですが。
めん処 ふるふる 群馬県太田市龍舞町2024-1