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グンマの平野部、前橋やら桐生やら太田あたりは「カツ丼といえばソースカツ丼」みたいなエリアです。もちろんうまいけど、どちらかと言えば玉子とじの方が好きなんですよね。
ところが利根川を渡ってサイタマに入るだけでソース率がグンと下がるから不思議なもんです。というわけでカツ丼気分なある日、サイタマに出発だ〜。
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やってきたのは深谷市。ネギで少し有名、そして渋沢栄一でもう少し有名になりそうな町。ミニ東京駅と言われる立派な駅舎はありますが、その駅前にはなにもない、そんな町。
新しいものはあまりない町、だからこんなナイス昭和なお店が残っていたりするのです。その名も昭和ライクな「ゑびすや食堂」さんに入店だ〜。
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開店はおおむね11時、でも前後することもあるらしいので11時15分に到着してみました。一番乗りだったらしく店主さんたらお座敷に片あぐらでテレビを見ている。なるほど恵比寿さまっぽい福々しい方ですが、眉毛は寿老人のように長く真っ白だ。
お座敷かテーブルを選べるならテーブルにしよう。靴をぬぐのが面倒ナリ。
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お冷やを置いてくれたタイミングで、メニューもよく見ないうちからカツ丼をお願いしちゃうぞ。すんなりオーダーが通ったからあるみたいだ。
注文してから店内を見回すと、店頭ののれんからお座敷の畳にテーブルからコップまで、お店の全てがピッカピカで驚いた。どれも古いけど、みんな洗われ拭われ磨かれている。こいつはすごいお店に来ちゃったみたいだぞ。
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心地よい調理音を聞きつつ、今さらだけどメニューを確認しましょうか。卓上にメニューはないので壁を見よう。ほうほう、全体的にお安いですね。特に日替り定食は500円ですって。
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こういう所は生でなく瓶ビールが似合うんだろうな。お酒はコップで常温なんだろうな。いいな。
単品で豚汁と納豆があるのも素敵なポイントじゃないか。
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ラーメンは480円…確実にあの手のラーメンと思われる。食べたい。隠れ好物のタンメンもあるじゃないか。ワカサギフライとか珍しいところもいいね。おっと危ない、ソースカツ丼もいた。
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ゑびすやさんなので店内のいたる所に恵比寿さまがいるのでキョロキョロ探してしまいます。
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半ば新聞置き場と化したピンクの電話!これは百円玉も使える少し新しいやつかな?どこを見ても見どころだわ〜。平成ジャンプして昭和なたたずまいだわ〜。
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昭和的見どころといえばこれ!「おてもと」が最高に美しい!欲しい!
こういったお店の調味料入れは使うのがためらわれることが多いですが、こちらは磨き抜かれていて安心です。
あ、厨房に座っていたおばあさまが料理を運んできてくれましたよ。
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「おう、蒸らすことを欲しているですね」とつぶやいてしまう水玉のフタ!ビューティフル…!
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まずはワカメと豆腐の味噌汁をひとすすり。
…なじむ!実になじむぞ。生まれる前から味わっていたかのようなほっこり味だ。
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勢いにまかせてオープン・ザ・フタ。ぱか。
またビューティフル…!生の黄身をセンターにのせてみたり向上心のあるカツ丼や親子丼が多い昨今ですが、そんなの関係ナシ。一切媚びない正しいカツ丼!
ぼくはずっとこんなカツ丼が食べたかったんだ…取調べで出てきたら、やっていない犯罪まで自白してしまいそう。
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衣と肉の厚みの黄金比も頼もしい。アツアツのところをかぶりつくと、ツユがしみ込んだ衣がスポンジのようにふわ〜っと歯を受けとめるぞ。そこから優しい甘辛味がじゅわ〜っと広がる。ぐはふは、うんめえ〜!
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タマネギはカツの下に敷き詰められた、いわばカツのお布団、下から支える補助役に徹しています。高校に出入りしていた弁当屋の半分以上タマネギ丼とはえらい違いだ。
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働く人たちを支えてきたであろう、しっかりした味の甘辛汁を吸い込んだ白メシ!タテに掘りながらガツガツむさぼってしまう。
…しかしむさぼってもむさぼってもなかなか終わりが見えないな。どんなにコメが詰まっているんだ。もしかしてフタ、蒸らしでなくてギッチリ詰め込む用アイテムだったか。
頑張って平らげてごちそうさまでした、お支払いを…あら嬉しやの税込表記で780円でした。心もお腹もすっかり満たされてしまった。次はカツカレーかな。きっとライスカレー的なソレが出てきてくれる、はず。
ゑびすや食堂 埼玉県深谷市原郷198