不要不急にも程があるけど一人だから許して北陸ツアー、初日のメインイベントである夕食の時間が近づいてまいりました。
北陸でウマそうなお店はどこだろうと色々調べていたら、柏崎市でいかにも好みな料理写真を発見して早速予約。なんでもタイヤ屋さんのガイドブックにも掲載されたそうで、期待するなと言う方が無理です。
そのお店は柏崎駅より徒歩7分くらいにあります「和ノ食 てのひら」さん。かっこいい文字は掌を並べ直したのかしら。
お店に入ると7・8人は座れそうなカウンター席の右隅に座るよう促されます。そして左隅には同じく一人で来たらしい女性の方・・え、本日予約でいっぱいみたいな紙があったけど1日に2組だけなの?感染対策で確かにこっちは安心だけど、お店はたまったものではないですね。
予約の際は5千円か7千円のおまかせコースのみということで、7千円の方でお願いしました。飲み物はどうしようかな。ワインがいっぱいあって最近神の雫を読んでしまったから・・と言いつつ、例の如くスタートから日本酒メニューに見入るマン。
おお、見事に揃った新潟の銘酒佳酒。ユキノシタの720ml瓶を・・
大将「いきなり一本とはお強いんですね。でもメニュー外のお酒もありますから、色々少しずついかがですか?」
そうなんですか?どんなのがあるでしょう。
こんな感じかな〜とドンドン8本くらい置いてくれたので、まずはいかにも夏な鶴齢の爽醇をいただきましょう。
大将「今日入れたから冷えてるかな・・?」
おお、いきなりテイスティングを始めた。日本酒でやるお店は珍しい。
大将「12・3度くらいですね。大丈夫ですか?」
花冷え以上涼冷え未満、いい感じじゃないですか。
美しい片口とグラスでかんぱ〜い。夏向け低アルコールということで柳腰な当たり。いろいろな料理を優しく受け流してくれそうだぞ。
おおっと、最初から絵画のような皿が出た。ハモの梅と夕顔のあんかけ、上にのっているのはシソの花。のっけからハモ!そこに夕顔なんていやが上にも夏まっさかり。梅とシソの爽やかさが酒を呼ぶこと呼ぶこと、いきなり一合が蒸発してしまった。
油物は村上の鮎とトウモロコシ。モロコシはアワアワするほど甘く香ばしく、鮎はまさに香魚な清々しい風味。添えてあるタデ塩がね、コレだけで飲めるよね。
柏崎の鯛ともずくのお椀。へー、新潟でももずくって採れるのね。もっちりというよりシャキシャキ感があっていいじゃないか。これはアレだ、酒が進む汁だ・・ということで
なんかクマみたいなラベルのお酒がありましたね、お願いします。
大将「熊・・あったかな・・?ああこれですか、雪男。鶴齢と同じとこですね」
と言いつつまたテイスティングをしている大将。もしかしてお酒が大好きなのか。
新たな片口で現れた雪男。ちょいと飲むと甘味があるけど後味はスッキリ切れる。これは食中にもってこいだぞ。
お酒を追加するごとにスーッと和らぎ水が出てきたり、明日行く宿の話をしたら「載ってますかね?」なんてミシュランガイドを出してくれたり、なんて居心地の良い空間なんだ。住みたい。
大将「私もね、こっち側じゃなくてそちらに座ってお酒飲みたいですよ」
やっぱりお酒大好きか!大丈夫、ぼくが余計飲みますのでおいしいものの続きをお願いします。
造りは甘鯛・アラ・サザエの三種盛り。
大将「そこの絞ってもらって、ブレンドした塩をつけてもらえば。醤油もあるけどそこはお好みで」
アラだ!高級魚だ!いや、こりゃ柑橘と塩でバッチリですよ!甘鯛の皮目もうめえこと。そしてサザエは・・あれ、火が通っている感じ?
大将「生のサザエは濡れた犬みたいな匂いがして・・固いし。58度で30分やってみました」
へーホントだ、むっちりして磯の風味の良い部分だけ残ってコレはいい。マネしたいけどできないね。塩もやらたとウマいし。
大将「村上の右の方というのかな、阿賀町のうなぎを焼きました」
ウナギまで新潟産なのですか。山椒と塩をちょいちょいとつけて食べると皮がカリッと香ばしい!身がほどけるとウナギの香りがふあ〜と立ち上る!ふっくらとかトロリでなく、完全に焼き魚として仕上げてあるぞ。
日本酒に合わせるウナギとしては人生一番まちがいなしです。いや〜、蒲焼きってタレの力に甘んじすぎなんだな。
大将「ウナギというのはとにかく表面のヌメりを取らなきゃダメなんですよね。そこをちゃんとしないお店が多くて」
は〜驚いた。ウナギ観がすっかり変わりました。こんな食べ方を知ってしまっては、なにがなんでも絶滅を食い止めなくてはいかん。そしてたま〜に食べるの、ここで。
大将「次がちょっと時間かかりますんで、これで飲んでいてください」
さりげなく出されたジャコもうまくて一合もっていかれそうな勢い。
大将「お待たせしました。熊本の和牛を焼いて、地元のトマトソースと空芯菜をおつけしました」
ここでやっと他県ですか。しかし炭の塊を押し付けたりオーブンにちょいと入れたり、すごい焼き方でしたね。中心温度をうまいことアレしていたのでしょうか、この素晴らしい焼き色はどうですか。
とんでもなく香ばしい表面の香りを吸いつつトマトソースをのせて食べれば、ジューシーとかそういったアレではない。もっとも美味しい温度の汁がにじみ出る!今まさにニク食ってんなあ〜!!という気分。
この店はアレだ、包丁の冴えはもちろんのこと、お酒と料理の温度を完全に支配しているんだ・・!
シメの食事はカマスと新生姜の炊き込みご飯にしじみ汁。これまた飲みたくなる・・ので、芋を頼んじゃったよね。
どうしよう、スタートからゴールまでウマい、ウマすぎる・・!
大将「高級なジューサーを買っちゃったんで八色スイカのジュースを飲んでください。イタズラで巨峰も一粒入れちゃいました」
八色スイカ?初めて聞いたけど甘〜い!巨峰が出てきてこんにちはでおもしろ〜い!
夏の新潟をこれでもかと楽しませていただいたので、秋の新潟や春の新潟も味わいに来なくてはいけませんね・・!冬はちょっと雪が怖い・・というわけで、季節を変えてまた!絶対!しっかしミシュランの人、調査が行き届すぎ問題。
和ノ食 てのひら 新潟県柏崎市駅前2-3-51 興産ビル 1F