星野リゾートに泊まりたい等の目的は多々ありましたが、今回の京都旅行の真の目的は・・
例の星もお持ちである京都の名店「佳肴岡もと」さん!前回の初来店でこれでもかと佳肴をいただきまして、いっぺんで大ファンになってしまった次第。
一人で食べるのはもったいない気がして、神戸の友人を呼び寄せての再来店です。
8席のカウンターはもちろん予約でいっぱい。佳い肴ですからお酒を頼まないと始まらない。フレッシュ感のあるお酒をと曖昧なオーダーをしたところ、広島の賀茂金秀・純米しぼりたて生が出てきました。パーフェクトっ!
友人は熱いお茶(すごくうまかったらしい)なのでその分も、いや、4人分くらい飲まなくちゃな〜。いや〜大変だな〜。
店主さん「まずは温かいものから、クルミ豆腐の田芹餡かけ、上の赤いのは金時にんじんです」
クルミ豆腐って初めてだけど、本当にクルミの風味だ。おもしろ〜い。
友人「セリのあんの優しさが染みるわ〜。おいひぃ〜」
うっとりしていると、店主さんが大きな大きな牡蠣を取り出しました。目の前でのライブ調理が楽しいですねえ。
友人「柚子の香りもするけどなんだろう」
(友人撮影)
蒸し器から丸ごとの柚子を取り出して、カニさんの甲羅とハサミを置いて・・あれ、牡蠣じゃなくてカニ?
店主さん「セコガニの柚子釜ですね。年内でおしまいなんで今のうちに。甲羅の下には内子があります」
友人「こりゃかわええ〜」
(友人撮影)
友人「柚子のフタを絞るととんでもなく美味しい!飲めないけど日本酒が欲しくなる!」
くう〜、11月と12月、たった2ヶ月の贅沢よのう。でもカニNGを伝えちゃったからぼくにはナシ・・あれ?するとあの牡蠣ってばもしかして?
店主さん「ダメなのはカニだけですよね、牡蠣は大丈夫ですか?」
ええもう、むしろ大好物です。やった〜、ぼくだけ牡蠣だ!
店主さん「カニのかわりにこちら、仙鳳趾の牡蠣です。あ、せめてハサミだけでも」
ああああ、岩ガキのように巨大だけど冬の牡蠣なのか。こんなデカいのいるのか。軽く炙って旨味がアップした牡蠣に甘〜い金時にんじん、まさに佳肴〜!予約時に苦手な食材を伝えておけば、このようにバッチリ対応していただけます。
他のお客さんにおすすめしていたビンに天吹の文字を発見、それください!面白酵母で醸す天吹さん、こちら初雪は月下美人の花酵母だそうです。後に残る酸味がたぶんソレの効果、かもしれない。
店主さん「長崎の天然車海老に丸大根です。お椀の柄もエビにしてみました」
フタを開ければ立ち昇る柚子と出汁の香り、そして姿を現すあまりに美しいエビ!これだ、これが日本料理の華だ!
色鮮やかなエビは生きている時より活きが良い。出汁は鰹も昆布もいばらず、みんなが仲良く旨味を出し切っている・・うう、こんなお椀をいただいては・・
飲まずにはいられない。なぜか知らんけど山口県のお酒が飲みたくなりました。
店主さん「ではこちら、Ohmineってお酒ですが」
山口と言ったらサーっと出てきちゃうんだ。コメの旨味を残したOhmine、アルコール度数低めで口当たりがいいので結局飲みすぎちゃうヤツだ。
店主さん「造りは明石の天然カワハギの炙りで、上にのっているのは肝ポン酢、添えてあるのは青味大根という京野菜ですね」
カワハギに肝ポン酢なんて優勝間違いナシじゃありませんか。一切れでOhmineが一杯消えるじゃないですか。しかしカワハギの肝が「黒い刺身」はちょいと無理がありますよね。なんの話だ。
必ず出ると思われるイワシの辛煮は酸味と塩味、表面の鰹節まで計算され尽くしたリアル・サケノサカナ。
友人「白メシをワッシャーもありだね!」
日本酒と白メシは表裏一体!その通り!コレ5・6本持ってかえって酒と飯をやりたい。
この辺でグンマのお酒も飲んでおきましょう。大盃さんはマッチョシリーズとかラベルが個性的に過ぎますが、イロモノではなくしっかり美味しいんですよ。
店主さん「くもこの玉子蒸しです」
くもこ、つまりタラの白子!冬にウマい白子シリーズの急先鋒!スなど0.1ミリも入らぬ完全無欠のタマゴにかこまれてアツアツのウマウマです。
店主さん「アコヤガイ、真珠を取る貝を漬けにしてみました。上の黄色いのは人工キャビアです」
ヤマメのイクラかと思ったら人工キャビアですか!
友人「プツっといくとごま油が出てくる!面白い!」
あっさりこの上なしのアコヤガイにごま油の風味がピッタリ、面白おいしいとはこのことだ。
店主さん「汲みあげ湯葉とハガツオの酒盗を合わせてみました」
そんなとんでもないものを合わせんでください。どうやったら日本酒が欲しくなるかを分かりつくしておられます。
1キロものの明石産伝助穴子はデカすぎて骨切りをしないと食べられないシロモノ。目の前で見事な包丁さばきを披露してくれます。
大将「ハモほど細かくやらなくて大丈夫なんで、そこそこ気楽にできます」
気楽でその手練ですか。そもそも包丁の手入れ、なんですかそれ。博物館で見る日本刀のような輝き。
伝助穴子の下に敷かれているのは九条ねぎと安土信長ねぎのペースト。さらに上には佐賀産の海苔が散らされます。
香味と風味に包まれたふっくら穴子。デカくても大味になるということを知らない伝助穴子よ。こいつはメインディッシュの風格バッチリだなあ。
肴がドカンと来たならお酒も好物でいこう。たしか大信州のビンを見ました。くださ〜い!
この辺でシメの食事モードに入りますが、鯖寿司なら余裕でツマミ判定でしょう。ほら、スグキ入りと山椒の実入りの二種でどうしたってお酒を呼ぶんだから。
友人「山椒の実のゴリっとした感じが苦手なはずだったけど、これはたまらなく美味しいわ〜。丸ごと持ってかえりたい」
店主さん「そろそろ焼酎モードですか。こんなのありますけど」
最後の1・2杯は芋のロックという変なクセを覚えていてくれたのですね。熟成させて糖度を上げた芋を泡盛麹で仕込んだマルニシ・ベニハルカ!初めて飲むけどトロリとした甘味がたまらんですね。ラベルもかっこええ。
フカヒレと玄米麺が入る鹿児島シャポーンのスープの後をベニハルカで追えば、トロリとトロリの競演です。シメにひとくち麺ってたまらんですよね。
デザートはガラッと洋風。とちおとめと洋酒のペーストには青森の蜜入りりんごであるこみつと宮崎の完熟金柑を添えて。
友人「コレと紅茶があれば1日のしわわせは確定だ!」
濃く入れた紅茶でこのイチゴをなめて、ボーッと船でも眺めたりしたらいいだろうねえ。
目の前で包んで蒸してくれる饅頭でフィニッシュ。本日は白インゲン餡の柚子まんじゅうです。
最後の一切れをパコっと口に含んだ時にベニハルカ残り一口!完璧な配分でフィニッシュだ〜!
友人「京都まで来いと言われた時にはビックリしたけど、これは来る、来ちゃうね!」
そうだろうとも。また来る時は呼ぶ!大丈夫、お酒はぼくが5人分飲む!
これだけ美味しく品数も出て、お料理は一人14000円くらい。そしてお酒をアホほど飲んでも合計2万程度です。幸福度からすると安い、安すぎるというわけで、次は春ごろ予約しようっと。
佳肴岡もと 京都府京都市東山区常盤町470-4