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所沢や入間といった中途半端な埼玉(失礼)の開拓を密かに続けています。
「入間に良さそうなところがあるから行ってみないかい」
お勧めしてくれるのは埼玉の友人じゃないですか。どれどれ・・?なるほど、これは良さそう・・いや、素晴らしそうだ。さっそく予約しましょう。
やって来たのは入間と飯能の境界くらい、トーベヤンソン公園の近くにあります「ウェロニカ・ペルシカ」さんです。意味は・・綺麗な青いお花です。和名は誰が考えたのか、ちょっとなんとかしてほしい。
大きな道路の一本手前の路地を入る隠れ家チックなところですが、曲がるべき所に看板があるから大丈夫かと。
この日のランチは11時45分開始でした。時間ぴったりに入店して、奥の個室に案内していただきます。
お皿には庭の木の葉っぱ、そして下のプレートは川越のコナラの木という、お出迎えから全速全開で埼玉モードですよ。
おまかせのコース5,800円(税別)でお願いしてあるので料理の心配はなし、飲み物の注文ですね。ワインのペアリングやテーブルワイン飲み放題といきたいところですが、運転手はぼくだ。ワイン用ブドウのモストを使ったジュースにしましょう。
友人「ハーブコーディアルってなんです?」
店員さん「ノンアルコールのハーブエキスを炭酸かお湯で割って飲んでいただきます。本日はバラですね。リラックスしてうつとかに良いんですよ」
友人「うつ!いいなあ、効いてほしいなあ。お湯割りでお願いします」
店員さん「こちらは使っている食材の地図なんですよ。元彫り師の方に描いていただきました」
友人「うずらとかめちゃめちゃ可愛いじゃないか。彫ってもらえば?」
いいねえ、このかわいさなら温泉もOKかもしれない。
食材マップをひっくり返すと本日の食材の出自が書いてある。坂戸の生ハムに青梅のチーズに庭の山桜皿に入間ののらぼう・・メインの肉以外ほぼ埼玉オールスターズ!自家製とか庭とか、もはや地産地消ってレベルじゃないぞ。
店員さん「メインのお肉だけ選んでいただいてよろしいですか?スペインの栗豚か群馬の黒毛和牛になります。おすすめは豚の方ですね」
えへへ、グンマの牛さんですか。そりゃちょいとやめておくかな。スペインの豚さんでお願いします。
まずは自家栽培琵琶茶でほっこり。オリジナル木製湯呑みもこの辺の木でできているのであろうか。きっとそうなんだろうな。
モストの見た目で己をだます。濃厚でブドウらしさがすごい、うまい。でもやっぱり発酵してほしい。
店員さん「こちらは坂戸のセラーノさんという所の生ハムです。坂戸の風土で熟成させるとお醤油のような風味が出てくるんですね」
さすが醤油処の埼玉、弓削田とか金笛の香りが大地に染みこんでいるのか、はたまた風に乗ってくるのか。発酵ってすごいぜ。
原木のお披露目の後にやって来たのはなんと四角い植木鉢。えっ、これはなんです?
店員さん「アミューズになります。手前は飯能のお酒・天覧山の酒粕を使ったポンデケージョです」
ポンデケージョ、チーズ入りのミニパンですよね。しっかりした歯ごたえからホントにお酒の香りが・・なんか酒饅頭のような、でもやっぱりパンだな・・不思議うまい!うまい!
店員さん「オリーブのマリネをオリーブの枝につるしました。引っかかっているだけなので外して食べてください」
友人「えへへ、演出じゃのう。いいのう」
ただオリーブを置かれるより楽しいね。こりゃワインが欲しくなるよ〜とモストをクイっ。
店員さん「先ほどの生ハムを味噌のパンと一緒に桜の枝に刺しました」
面白くて食べやすいとはなんということでしょう。この生ハム、ホントに醤油みたいな香りがする。下の味噌パンと合わせるとまたひとしお・・炭水化物にタンパク質をのっけた発酵食品・・もしかしてコレ、海なし県埼玉の逆転お寿司なのでは。
店員さん「イタリアンのカプレーゼをフレンチで解釈してみました。上の赤は今が最盛期である埼玉のハウストマトです。真ん中はパイ、下の緑は入間ののらぼうという野菜です。一番上はアラビアンナイトというお花になります。モッツァレラのソースと一緒に召し上がってください」
おいおいおい!トマトとモッツァレラ、つまり高森朝雄に対するちばてつやのあしたのジョー!な組み合わせに、のらぼう菜まで・・つまり出崎統まで加わって、アニメ版の2か!最高か!
友人「肩こりが治るほどおいしい!すごいね〜埼玉パワー」
パンがやって来ました。こちらのパンは埼玉の粉メインの自家製、なんと酵母も埼玉ですって。入っているカゴはこの辺特産の縞模様で覆われて・・埼玉フレンチにもほどがある!
バターには地元の弓削田醤油のもろみが入り、オリーブオイルにはヘーゼルナッツと飯能の工房のスパイスが入っているそうです。
まずオリーブオイルを試したら、なんですオリエンタルかつ雅やかな風味は。そば屋のモッタリカレーもこれをひと匙かければ途端にスパイスカレーっ!
友人「バターもすごいよ!どんなパンもバター醤油まぶしご飯になるよ!」
なんてことだ。持ち帰りたさ200%だ。
店員さん「日の出町の山で養殖されたアワビを秩父の鹿のコンソメに漬けました」
山でアワビ!聞けば人工海水とのことで。それを秩父の鹿のコンソメで煮アワビにするとはなんたる発想だ。
店員さん「このアワビを使ったお料理がこちらになります」
アワビの鹿コンソメ煮・地元産の米を使ったライスサラダだそうです。上にのるのは自家製マスタード・・ふは〜とため息しか出ない。
・・はわわ、むっちりした身からうまさがあふれ出すじゃないの。山で養殖したアワビから磯の旨味があふれるってどういうこと?鹿のスープってこんな上品なの?そんな磯と山の風味がマスタードで見事にドッキング!無性に日本酒が欲しくなる、まさにサイタマキュイジーヌ!
店員さん「新ジャガと玉ねぎのスープです。狭山のリーヨンというハムが入っています。上に散らしてある赤いのはメースです。下のお皿は埼玉のナラの木で作ってあります」
お皿まで埼玉の木ですか。ジャガイモと玉ねぎ、つまりみんな大好きヴィシソワーズ。リーヨンってなんじゃと思ったら脂アブラしくて力強いベーコンみたい。ず〜っとなめ続けられるスープだ。
第二のパンはバゲット、焼き立てのホカホカ!
店員さん「この後ミルクパンも出ますが、もしお腹がいっぱいになりそうでしたらお包みできますので」
そうですね、そっちは包んでもらって翌朝にでも・・(もちろん即母に食われた)
店員さん「奥多摩ヤマメを低温調理いたしました。ギリシャヨーグルトと入間の卵とピクルスのソースでお召し上がりください」
ヤマメ?切り身でコレってことは、もはやサクラマスとかサーモンのサイズじゃないですか。海なしの奥多摩でどういうこと?
店員さん「ヤマメの卵をぬるま湯につけることで、通常のヤマメよりはるかに大きく育つようになるんです」
ひえ〜、脅威の小宇宙、魚類!低温調理で圧倒的シットリ感でしょ、サーモンよりクリアな香りの脂でしょ。酸味が決まったソースで爽やかさがさらにアップ!たまらん!
店員さん「ガリシア豚のきのこソースになります。添えてあるのはキャベツフォンデュをサラダ菜で包んでチーズをのせたものです」
メインにふさわしい風格のブタさんが登場です。たっぷりと脂身があるけど、ものすごくあっさりとしている・・イベリコがドングリならガリシアは栗を食べさせるんでしたっけ。脂身だけでなく赤身まで甘味がある。すごいなあ。
つけあわせは脳内ライブラリにないお味ですが、簡単に言えばチーズがすごくうまい。語彙とか失います。困ります。
店員さん「バスク地方の唐辛子が香るチョコケーキに甘夏のマーマレードを添えました。唐辛子の刺激が楽しめると思います」
チョコに唐辛子ってものすごく南国パラダイスじゃないか。辛さはないけどなんと言うのか、熱さのような刺激がある不思議なチョコ味。
そしてコーヒータイムです。ホット用の砂糖に金平糖が混ざっていてかわええ。
友人「コーヒーもいいんだけど、薔薇のコーディアルがおいしすぎるぞ。すみません、これってテイクアウトとかできないですか?」
店員さん「本日お出ししたのは生活の木というところの物で・・この辺だと飯能にお店があります」
ハーブのインストラクター資格も持つという店員さんおすすめのコーディアル、この後に買いに行ったのは言うまでもないのでした。
もちろんアイスコーヒーもおいしゅうございます。吾野の工房のコーヒーだそうで、市町村で言えばこちらも飯能だな。飲み物首都か、飯能。
締めは再び植木鉢。抹茶生キャラメルにホワイトチョコのお花ですって。これも包んでもらってウチで焼酎をキメようと思ったら、やはり母に食われた。
友人「めちゃめちゃオシャレで美味しいお料理ばかりだったね〜。ホントに埼玉か?」
埼玉の素材ばっかりだったし、このフルコースで5,800円なんだからやっぱり埼玉でしょう。都内じゃぶっちぎりでマンを超える内容ですよ。
年に12回、つまり毎月コースメニューが変わるそうだし、こいつはまた来ないと・・しかし・・
友人「ワイン飲みたそうな顔してる」
そうなのよ、クルマでないと難しい立地なのが悩ましい・・飯能あたりにホテル取ってタクシーかな・・
ウェロニカ ペルシカ 埼玉県入間市野田653