たま木亭さんでパンを買って、錦市場や大丸で漬物なり阿闍梨餅を買ったりして・・さて、「佳肴 岡もと」さんの予約時間が近づいてまいりました。前回より1ヶ月半、この日を待ちわびていました。
友人と待ち合わせてタクシーで到着。「馬町交差点をちょっと東」と言うのがコツです。カウンター8席だけのお店には一番乗り。奥側の2席をいただいて他のお客を待ちましょう。
土日は18時、平日は19時くらいのスタートがなんとなく暗黙の了解となっていますが、もちろん30分とかずれても全く問題ありません。だいたい3品目くらいで足並みが揃います。
メニューはおまかせコースのみ、15,000円でいいのかな。いつもお酒を入れて2万ちょっとくらいで、内訳はよく知りません。
まずはスカッとしたお酒で喉を開きますか。甲賀は神開の激辛+19。いや日本酒度19ってすごいね。アルコール度も19って醸しっぱなしじゃないか、蒸留酒じゃないんだから・・
びっくりして喉どころか胃まで開いた!結果オーライ、見事な食前酒でした。
まずは温かいもの、菜の花のすりながし、下には牛乳と葛の嶺岡豆腐、上にのるのはワサビ入り人口キャビア。のっけから手が込んでいて色鮮やかで大変なことになっている。
菜の花のアダルトなほろ苦さとワサビがいやが上にもお酒を呼びます。嶺岡豆腐と菜の花をあわせて食べると春の優しさに包まれるようだ。
ああうまい、岡もとさんちの最初の一皿は永遠に食べられるものばかりだなあ。
先ほどはドライというか醸しっぱなしだったので、今度はコメを感じるお酒がいいな。愛知の全量純米という尖り気味の蔵、山忠本家酒造さんの義侠・純米原酒の生酒をいただきましょう。
う〜むコメだ。でも生だから華やかさもあって・・これは貝とかの力とかクセのある肴が欲しくなる・・あれ、目の前で大将が切っているのは・・もしかしてデカい鮑?まさに今食べたいヤツ?
蒸し鮑とナマコの磯の王者たちの周りを粟麩や長芋の絵馬が固めます。トドメに味は鮑の肝醤油ときたもんだ。下に敷かれている長〜い松葉は大王松という最大の松のモノだそうです。そうか、1月だから門松なんだね。
どうしよう、肝醤油をつけた鮑なんて鉄板どころの話じゃないし、ナマコの鮮烈な風味もたまらない・・今年始まったばかりで最高の一皿決定?
友人「おいしい・・あの、イチゴみたいなお酒ください」
半瞬固まる大将とぼく。イ・・イチゴ?そりゃま、吟醸香はメロンとかよく言いますが。
大将「オッケーです」
オッケーなのか!
なんですか、この鍵とハートのラベルは・・ロックとハート・・ロックハート城・・お前、グンマだろ!
大将「群馬の尾瀬の雪どけ、愛の南京錠です」
こんなの出していたのか龍神さん〜!ちなみに龍神酒造さん、車で30分くらいのご近所です。
「愛の南京錠」つまり、ロックなお酒です。じゃないよ、何を言っているんだ。ハートは万華鏡ってどこの木野まことだよ、やめてよ。
友人「おいしい、イチゴ、イチゴ。おいしいお酒はイチゴの香りがする」
えっ、ホントに?ちょっとひと口・・あらやだ、あふれるイチゴの香り!大将恐ろしや、お店のお酒の風味を全部把握しちゃっているのか。
大将「開けないと味見できないんで、開いてないのからおすすめしていいですか?」
非常によろしいと思います。押忍。
煮物椀。明石のブランド魚「浦サワラ」でも体脂肪10%以上のみの「特上」ですって。豆腐と柚子が風味を添えます。
サワラって太っちょでも体脂肪10%くらいなのかうらやましい・・香り高い吸い地に染み出す豊かな旨味に酔いしれて・・その・・フレッシュな生酒を・・そうだ、他のお客さんにオススメしていたアレをください。
山形の白露垂珠・初しぼり純米吟醸!実はウチが主に仕入れている酒屋さんも取り扱っておりまして、実家で飲むかのような安心感。スッキリと芳醇を両立させていて、贔屓のお酒の一つです。
造りはまさに冬代表、なんとトラフグ!ブツの白子あんかけ!鉄皮は黄韮と九条ネギとマスタード和え!甘いオレンジ白菜はツマがわりの口直し用らしいです。
友人「どうしよう・・おいしくておいしいのに食べたらなくなっちゃう・・」
マスタード香る皮を楽しんでお酒、パリっと白菜をかじって味わい深い白子あんを楽しんでお酒、パリっと白菜・・永遠にループしたいのに残りわずかだ!なんで食べるとなくなるんだ!
今チラッと作のビンが見えました。ください。
言わずと知れた三重の佳醸、作 雅乃智のしかも中取りとは贅沢な。華やかかつ料理の味をふくらませる香り、素晴らしいなあ。作を飲むと伊勢海老を食べたくなるのが不思議だ。
八寸トップバッターはおなじみの鰯の辛煮。計5時間煮られたという鰯は骨もホロリと、酸味と鰹節の旨味がたまりません。ほんのひとカケごとにお酒が進んで困ります。
北海道産クジラの尾の身を白味噌仕立てで。京都〜!な甘い白味噌の中から鯨の尾が!これは面白いなあ。これほど京都な白味噌って2回目かな?甘〜いのにお酒を呼ぶんだね、不思議だね。
華やかで香り高いお酒ばかりだったと思うでしょう?本番はここから。まずは竹鶴ください!
友人「黄色いの出た〜」
くう〜、このヒネたような、力こそパワーな風味!これだ、これが醸しだ!
おや、大将が餅を炙っている・・正月だから?
直接手渡してくれたのは、なんとカラスミ餅!大変だ、大好物のカラスミと大好物の餅がドッキングだ!海苔の香り、ねっとりまったりと絡まる磯の塩気、そして日本人みんなのパワーの源、餅!
ぎゃーとかわーとか騒いでいたら、大将が小ぶりなヤツをもう一個ポンとお皿に置いてくれました。やったー!
これでは力強い醸し・第二の爆弾が必要だ。魯山人が愛飲した北近江の銘酒・七本鎗!コメの旨味と豊かな酸。しかもコレ搾りたて生原酒?フレッシュ感まであるじゃないですか〜やだ〜。
冬はいいものですね。カズノコたっぷりの松前漬けをなめつつ七本鎗の初しぼりだなんて。こういうところを母にひと目見せたかった。
(友人撮影)
ご不浄からあわてて戻ったので写真撮り忘れちゃった。たしか焼き物でレアに仕上げた寒ブリ、セリとイクラのみぞれ仕立て、だったかな。
セリよセリ、パクチーセロリに繋がる清々しさよ、君たちの芳しさは大好きだ。ブリの脂を綺麗に洗い流す爽やかさはどうだ。イクラまで入っちゃったらバチが当たりますよ?
そろそろお食事モードなのでお酒も芋に切り替えましょう。本日はやきいも焼酎・杜の妖精。焼き芋のコゲの香りまでするんだから乙類って面白いよなあ。
これまたおなじみの鯖寿司はすぐきと山椒の実入りの二つ。これをお弁当にして宇治川沿いのベンチでゆっくりするのが当面の夢です。
シャポーン・フカヒレ・玄米麺!去勢鶏シャポーンの豊かな旨味をフカヒレに吸わせてしまう無理無茶無謀な麺!最高だ!
酒粕ジェラートはいたこって言った気がする・・茨城県潮来の大吟醸ジェラートだろうか。それにイチゴとハート最中を添えたなんともかわええデザートです。イチゴ好きの友人は狂喜乱舞です。
友人「どうしよう・・これも食べたらなくなちゃう」
栗まんじゅうを目の前にしたのび太みたいなこと言わんでください。大変な結末が待っていますよ?
シメは目の前で包んで蒸かす、文字通り手作りのおまんじゅう。栗まんではない、抹茶生地に大納言の餡を包んだ王道的なモノです。卯の絵馬がかわええ。
美酒佳肴をこれでもかと楽しんだ後にできたてホカホカのまんじゅうとお茶・・これがまた素敵なひと時。ふう、うまかった〜!次はいつにしよう・・というわけで、また予約してしまったよ、どんだけ京都に来るんだよ・・次回は3月です。
佳肴 岡もと 京都府京都市東山区常盤町470-4