【画像注意】昆虫や大ヤモリの料理画像が大量に出てきます。冒頭の画像以外ボカシ等の処理は一切しておりません。苦手なのにリンクを踏んでしまった方は今のうちに閉じてください。
「やっぱり食べたいよね‥虫‥」
酒を飲みながらそう呟いたのは小間物屋のN又さん‥なんて返事したらいいんだろう。「ウン、イイデスネ」とボカロ調の棒読みで答えてみましょう。
N又「やっぱり!?実はね、住吉と錦糸町に虫を出してくれるお店があるんだよ〜!どっちか行こうか!」
おっと!もうお店まで調査済みでしたか。実は私も嫌いではない‥いや、むしろ好き。ぜひ行きましょう。そうだ、虫を食べるなら横浜の金髪開発者Zぼさまも呼ばないと。
Zぼ「なんで俺を呼ぶのよ!虫好きなんて言ったことないよ!」
以前横浜の珍獣屋さんで異物混入プリンを食べたではないですか‥そこで会えなかったウーパールーパーさんがいるかもしれませんよ。
Zぼ「‥うーぱーさん?じゃあ行くよ!」
錦糸町WINS裏、誰が呼んだかダービー通り。競馬の時間は終わったので、路上でワンカップを飲んでいたおじさまたちもいなくなりました。これから赤提灯で反省会が始まるのでしょう。
そんな渋い通りで異彩を放つ、やけに新しい店舗が「米とサーカス ダービー通り店」さん。この通りのお店全てがそうですが、カウンター7・8席の小さいお店です。
新しいもなにも、昨年12月にできたばかりだそうです。
店内に足を踏み入れると、壁一面が麻雀牌。なんだこれ、ダービー通りだから?パチンコ屋さんも多いしね。
巻物になっているメニューをクルクルと広げましょう。まずは串焼き。
Zぼ「鹿・猪・熊はいいとして‥カンガルーに駱駝って!鰐舌ってワニのタンか!うわー!」
N又「最近ナマズよく食べるんだけど、揚げてばかりで焼いたのって食べたことないなあ」
Zぼ「よく食べるの?ナマズを?」
ちなみに海なし県群馬では、ほっかほっか亭の季節メニューにナマズ天丼がありますよ(本当)。
Zぼ「そんなメジャーな食材なの?君たちどこに住んでるんだ?」
こちらは肉刺しと揚物。みんな大好き馬刺しはもちろんのこと、なんと山羊、つまりヒージャー刺しと、希少な山羊の金玉もある!
マスター「すみません、ヤギのタマは今入荷がないんですよ。食べたことおありですか?」
はい、本場沖縄で食べてまいりました。
Zぼ「あっ、うーぱーがいるよ!」
マスター「ウーパールーパーも今、養殖の業者さんが休んでて‥」
Zぼ「珍獣屋さんもそう言ってたから、本当に業者さんって一人しかいないんだね!」
マスター「珍獣屋さん行かれたんですか?ライバルですよ〜。負けません!」
Zぼ「出た。珍味・虫‥しかもすぐでますって!虫が冷やしトマトみたいなお手軽おつまみかよ!」
N又「む、虫ぃいい!」
そうですね、何をおいても六種の昆虫食べ比べセットは注文しないといけません。とりあえずそれと、あと馬鹿メー刺しをいただきましょう。
飲み物も頼まないと。真ん中の薬膳種に目を奪われる‥
Zぼ「とりあえず生!」
N又「とりあえずハイボールかな」
では私はとりあえずスズメバチ酒で!
N又「いきなりいくねえ」
食前酒‥かな?
はーい、かんぱーい。
マスター「スズメバチ酒のビン、ご覧になります?」
そんなの見ますよ!いいんですかーやだー。
N又「うわー、スズメバチがたくさん!これはゼイタクな一杯だね」
ちなみにお酒はほんのり甘くて、本当に食前酒にもってこい。まるで蜂蜜が溶け出したよう‥って、あれ?スズメバチって蜂蜜採らないよね?
マスター「肉食だから採りませんね。これは飲みやすいよう蜂蜜を入れました」
なるほど〜。ブラインドで飲ませたら、いわゆる女子ウケしそうです。本気で。
Zぼ「ビールが終わったから、Twitterで人気の金魚酎いくよ!」
マスター「あ、ウチのは本当にすごく辛いですよ‥!」
Zぼ「またまたー。唐辛子がちょっと入ってるだけでしょ?スゲー!本当に金魚だ」
N又「再現度高いなー。これがインスタ映えってやつだ!やってないけど」
‥Zぼさまどうしました?一口飲んだら固まってしまいましたが。
Zぼ「かっ、辛いよ!スゲーよ!なんだよこれ!」
N又「ちょっともらいます‥うわっ、ピリピリどころかビリビリ!」
マスター「唐辛子を漬け込んだ焼酎を使ってますので‥」
Zぼ「ファッション金魚酎じゃなくてホンモノなのね?あ、でもウマく感じてきた!」
ちなみに普通の焼酎ロックを頼むと、こんな素敵な木の器で来ます。このお店、器がどれもいい感じ。
そして食べ物、まずは馬鹿メー刺し。馬と鹿と山羊で馬鹿メーだそうです。
Zぼ「メーって羊じゃないの?」
羊さんはバーとかベーではないですかね?
N又「誰かのせいで馬刺しはすごい勢いで食べてるけど、ヤギは初めてかなー」
あれ、馬刺しばっかり食わせるヤツなんかいるのですか‥困ったもんですね‥
N又「ヤギ美味しい!臭いって聞いてたけど少しも臭くない!塩が合うかな」
あら、ポン酢でしか食べたことないや。どれどれ‥?やあ、完璧な下処理で臭みのくの字もない。塩で肉の甘みが引き立ちますね!ねっとりした食感も素敵。
Zぼ「鹿をニンニク醤油で食べてもたまらないね!」
マスター「次は虫六種盛りなんですが、タガメって食べたことあります?」
冷凍タガメは目にしましたが、食べたことはございません。
マスター「じゃあ解体のやり方がこちらにありますので、こんな感じでやってみてください」
N又「なにこの素敵な冊子!ください!」
マスター「えっ‥?あ、はい。たくさんあるんでどうぞ!」
※ここより虫画像が連続するので、大丈夫と思う方は下へどうぞ
マスター「はい、お待たせしました。1時方向から時計回りに蜂の子、カイコ、イナゴ。6時あたりがゲンゴロウ、そして大きいのがタガメ。中央はGKBRです。
Zぼ「うわあぁぁぁぁ」
N又「おぉぉおいしそうぅぅぅ」
Gさんが思ったより小ぶりですね。食用は大きいイメージでしたが。
マスター「ああ、それはマダガスカルゴキブリですね。今日のはアルゼンチンモリゴキブリなんです」
なるほど〜。食用Gにも色々いるのね。
とりあえずカイコからいきますか。
Zぼ「ウチのオヤジがね!昔カイコをテキトーにフライパンで炒めたんだけど、この世の終わりくらい臭くてマズかったんだよ!」
N又「素人が衛生的に問題ある処理をしたモノと、正しい料理を一緒にしてはダメだー!ほら、食べてみて!」
Zぼ「あっ‥信じられない。草っぽい後味だけど、ちょっと美味しいかもしれない味‥!」
N又「主食の桑そのものにクセがあるからねー。このちょっと残る草っぽさがまたおいしいよね!」
Zぼ「俺は今、カイコのトラウマと父を超えた‥!」
ゲンゴロウ2匹、Gが1匹なんで、どう分けましょうね?
N又「やっぱりGさん食べたいな‥」
では私とZぼさまはゲンゴロウをいただきましょう。昔食べたカナブンは羽根を取って食べるものでしたが、ゲンゴロウはどうなんでしょ。
マスター「取った方が食べやすいですが、エビフライの尻尾を食べる人なら、羽根ごとでもイケると思います」
Zぼ「それって俺じゃん!じゃあ丸ごとガブリ!」
おっ、香ばしい表面にほんのりエビっぽい味‥うむ、後味がなんとなーく肉食動物っぽい不思議な…言ってしまえば臭みだけど、風味と言えばそうなのかもしれない。とにかくゲンゴロウ固有の味なので尊い。
Zぼ「飲み込む直前までは、エビのしっぽそのまんまでウマいかもしれないよ!羽根はちょっと歯にはさまるね」
イナゴと蜂の子は昆虫食界ではメジャーですね。蜂の子が大ぶりで、味が甘すぎなくておいしい。混ぜご飯にして食べたい。
N又「そしてGさん、いっちゃいますよ」
アルゼンチンGKBRさん、羽根がないからメスでしたっけ?見た目から柔らかくて美味しそう。
N又「あー、こちらもエビ味!でもエビの尻尾ほど口に残らないから、上位互換かな!」
Zぼ「そそそそ、そうなの‥?」
N又「この後に焼酎を飲むと‥クーっ、たまらないね!」
N又「タガメさんはハサミでうまいこと解体するんだよねー。パチン、パチン‥こうかな」
嬉々として解体している…そして初めてなのに上手ですね。
N又「インスタ映えするよう慎重に‥ほーら、中身がバッチリ出たよ!‥あれ、これって卵?つまりこの子はメスかな?」
マスター「そうです。卵たっぷりありました?こうやって食べるなら、メスの方が食べるところが多いです」
N又「オスとメスでそんなに違うんですか?」
マスター「オスは洋ナシの香りがするんですよ。いわゆるフェロモンですね。でもお腹の中は空っぽなんで、食べるところがほとんどないんですよ」
N又「オスはどう食べるの?」
マスター「そのまま食べるというよりは、ナンプラーに漬けたりして調味料にするとか‥あとお酒に漬けるとすごく美味しいんですよ。お酒はウチにもあるけど、ご興味あります?」
N又「ありますよっ!飲ませて!!」
お酒の前に、とりあえず卵や内臓をいただきましょう。しっかりした歯ごたえと肉々しい味。というより、もはやこれは肉では。
N又「肉食だからかなー、ほんと肉。高級食材だよこれ。やっぱり何を食べるかで味が決まるんだね〜」
Zぼ「すると一番マズいのは?」
N又「ニンゲンだよね〜、たぶん」
そしてタガメ酒。パカっとフタを開けると、ほわわ〜んと甘い香りがたちこめます。
N又「本当に洋ナシだ!」
すっごく良い香り‥飲んでもほんのり甘い風味で、これは素晴らしいリキュールですよ!
N又「ビンごともらって帰りたいほどおいしい‥」
マスター「お酒といえば、海馬酒‥つまりタツノオトシゴ酒なんかもあります」
Zぼ「それいいね!飲むよ!」
3人で味見をしたところ、感想はほぼ一致。
Zぼ「磯の味‥昆布ダシだね‥!」
動物なのに、こんなに昆布的な味になるのですね‥!海って偉大だなあ。
この辺で普通っぽいおつまみ、「大人のポテサラ」を注文。ゆで卵の他に、なんといぶりがっこがトッピング。これは大人だ。
N又「撮影した?混ぜちゃうよ〜」
どうぞ!
N又「えい、えいっ!このくらい混ぜればいいかな‥」
Zぼ「いぶりがっこが入るとスゲーうんめえ〜!!ポテサラ革命!」
ばくらいもあるし、珍しい食材だけでなくて、飲み屋としても秀逸ですよね。
N又「ばくらいって知らないけど、見た目すごくおいしそう」
なんとこの世で一番日本酒に合うホヤと、この世で2番目に日本酒に合うこのわた(ナマコの内臓の塩辛)を混ぜてしまった凶悪な塩辛です。スッゲー高いので、これで460円はサプライズ特価。
N又「‥うわー!全力で磯風味!」
そうでしょう?最高なんですよ、コレ。基本冷凍ですが、溶けてくるとさらに磯風味がアップ!ツマミ指数さらに倍!でも不思議なことに、ご飯には全く合わない。
こちらはカンガルーとラクダの串焼きです。
Zぼ「串焼きになると何かわからんね!」
でもどちらも初めてなのでいただきましょう。まずはカンガルー。結構なケモノの香りがするので、ジンギスカンが苦手な人はダメかもれない。ふむ、見た目よりワイルドな風味なんだな。嫌いじゃないぞ。
N又「あ、ラクダ食べてみて!」
どれどれ‥?ふはっ、めちゃめちゃウメぇ‥!どこの部位なんだろ?適度な脂と清々しい香り‥もしかしたら馬肉よりすごいのでは?中国の一部では、最高のもてなしはラクダ肉と言われているそうですが、ものすごく納得しました。
Zぼ「ラクダウマいね!牛ばっか食べてる場合じゃないよ!」
マスター「お客さん‥特に真ん中の方(N又さん)、すごく虫がお好きそうですよね。実はカイコの煮てないモノがあるんですよ。串焼きにしましょうか?」
N又「*:.。☆..。.(´∀`人)」
マスター「はい、どうぞ!プリプリ感残し!」
N又「うわー、うわー‥!‥‥お、お〜い〜し〜!」
表面がプツンときて、中がトロリ‥不思議だ、あの草の匂いがない。コッテリながらも清々しい旨味‥!
Zぼ「コレはウマいよ!全部の虫がコレなら、虫は流行るよ!あと見た目ががが」
うーん、見ようによってはウマそうなんだけどな。とにかく虫は甘露煮でなく焼くべきです!たぶん。
うっとりしたところで、冬虫夏草酒をいただきます。あまり漢方くさくなく、シイタケ出汁のような日向的な旨味‥いや、シイタケほど美味しくはないですが。ミスター味っ子で冬虫夏草鶏スープが至上の美味とあったな。アレはウソだ。
Zぼ「あのマンガはウソでしょ」
まあそうなんですけど。
マスター「天然のスッポンを最近お酒に入れましたんで、もうちょっと経つとおいしいスッポン酒ができますよ」
N又「えっ、それは飲みに来ないと‥!」
お次の串焼きはワニのタンとナマズです。
N又「ワニのタン、なにこれ!タンといったらコリコリなはずなのに」
Zぼ「ホルモンとか腸系の味とプルプル食感だね!面白くてすごくウマい!気に入った!」
驚きました。上ホルモンとか言って焼肉屋で出してもバレないけど、よく考えたら上ホルモンより高いのか。
Zぼ「ナマズはフッカフカだね!最高の白身魚の味」
N又「ああ、イ◯ンで安売りになってるカタカナのナマズ、パンガシウスと違う‥!」
地元の雷魚モドキとも違います!フカフカでしっとりな身をかじると、ほんのりウマ汁が‥これがリアルナマズか!
マスター「いろいろなお酒を飲んでいただきましたが、大ヤモリ酒なんてのもあります」
それはもう飲みますとも。
Zぼ「決して‥おいしくは‥ないね‥」
うーん、なんと言うのだろう。魚の干物で取ったダシから生臭さが消えていない的な‥滋養強壮は間違いなさそう。
マスター「で、その大ヤモリが丸ごと入荷してるんですけど‥揚げます?」
N又「わー、すごい!お願いします!!」
返事早いな!でも確かに食べたい。願いま〜す!
Zぼ「ぉ、ぉぅ‥(小声)」
マスター「ちなみにこちらの大ヤモリですが、ご存知ですか?」
タイのトッケイちゃんですよね。一回焼いて食べたことはあります。
マスター「お客さん3人とも、ちょっとレベル高いというか、少し変わってますよね‥お酒のペースもすごいし」
N又「否定ができない‥」
マスター「お待たせしました!大ヤモリの姿揚げです!」
N又「うわー、かわいい!」
マスター「口が開いていた方が喜ぶお客様が多いので、開けてみました。インスタ映えかと」
なんて素敵なサービスなんですか!でもインスタはおろかTwitterにすら出せませんよ、このビジュアル!
N又「一発でフォロワーが半分になるね」
切り分けてもらって、いただきましょう。
Zぼ「うーん‥脂がのってないホッケ‥?」
爬虫類だから鶏っぽい味かと思っていたのですが、まさかの魚類寄りでした。開き状態だったから、すこし干物っぽい味になったのかな‥?ホッケ7・鶏2・ビーフジャーキー1みたいな味というのかしら。
Zぼ「小骨の多さもサカナ的だね。いや、味はいいんだけど。あとやっぱり見た目ががが」
N又「色々食べたけど、お肉って全部味が違うからすごいよね。どれもみんな個性。そして虫はやっぱり美味しい!」
マスター「そう言っていただけると嬉しいです。もっと春っぽくなるとサクラケムシがおいしくなるので、ぜひその頃に来てください」
N又「サクラケムシって美味しいって聞いたけど、仕入れるの?また来ちゃうよ絶対!」
Zぼ「‥もしかして俺も?」
もう虫大好きキャラに決定です。あきらめてください。
米とサーカス ダービー通り店 東京都墨田区江東橋3-9-21 ニュー錦糸町ビル 1F