「フォアグラ鍋、食べに行かない?」
突然の連絡はゲーム開発界のアークビショップ、O尚さん。フォアグラ鍋‥なんです?その小粋なパリジャンと江戸っ子のハーフみたいな魅惑的な単語は。
O尚「予約必須なんだけど電話番号非公開というすごい焼き鳥屋さんが練馬にあるの。そこに冬期のみ、1日2組限定のフォアグラ鍋コースがあって、予約が取れたんでどうかな〜って。あ、四月で終わりだから今期最後ね」
予約必須なのに電話番号非公開?そこのさらに限定コース?レアとかそんなレベルじゃないですね!行きます行きます。女房を質に入れても行きます。いないけど。
しかし完全会員制の29ONとか、予約困難店の予約をホイホイとる方だなぁ‥
練馬駅から徒歩10分くらいの距離でしょうか(バスで来た)、看板を植木で隠しているこちらがそのお店「鳥長」さんです。やあ、O尚さんと奥様のTまんぼうさんも来たぞ。お久しぶり‥でもないですね。
もう1人来た若い方は初めましてですよね。
「Yブザキです。え〜と、こんなゲーム作ってます」
どんなゲーム?‥はぇ〜、スーパーメガヒットゲームどうぶつタワーバトルじゃないですか!あとで爪の垢をください。
O尚「あと2人来るから中で待ちましょう」
しばらくしてやって来たのは29ONでご一緒した声優Sあやさんと、O尚の美食仲間という謎の美女Sろうずさん‥美女3名とスーパー開発者2名の酒宴に、なぜ私が紛れ込んでいるのでしょう。よくわかりません。
さて、飲み物はみなさんビールかな?あ、Sろうずさんはいきなり三岳のロックですか、お強い。私はそうだな‥新政各種3800円よりということですけど、各種ってどんなでしょう。
店員さん「今日はナンバー6のXタイプがありますよ。四合瓶で5800円です」
Xタイプがその値段って‥ちょっと安すぎませんか?ぜひお願いします!
は〜い、かんぱ〜い。秋田の銘酒・新政No.6、しかも精米歩合30%のX -Type!ネット通販ではとんでもないプレミア価格となっています。お店で出すのに1本5800円という値段設定、良心的なんてもんじゃありません。
白ワインと勘違いしそうなマスカットの香り‥うわ〜、これは清々しい。
Tまんぼう「か、香りだけください〜」
日本酒がお好きなはずなのに、なぜか車で来てしまったのでしたね。どうぞ。
Tまんぼう「うう、これはもう香りでおいしい‥」
お通しなのか口直しなのか、最初に置かれていた漬物がほんのり甘くておいしい。コリコリ。そういえば今日はコースでしたか。
O尚「鍋メインのおまかせコースだけど、鍋の前にも結構な量が出るからね!ちゃんとお腹すかせてある?」
それはもう、昼メシを11時に済ませましたから。今は20時‥腹ヘリのピークであります。
O尚「そう言う俺はなぜかビッグマックを食べちゃって、まだ胃にいるような‥」
Sろうず「ダメだったら残りは引き受けますよ!」
O尚「いや、ここは全部美味しいから食べちゃう!大丈夫!」
まず出てきたお皿はとんでもなく美しいですが、これは?
O尚「こちらの名物、生つくね!食べてみて」
あやや、すごくきめ細かい滑らかなつくね‥うわ〜ん、しっかりと味つけされたつくねがねっとり絡みついてくるよ〜。食感で旨味が増幅するのですねえ。これは好きどころじゃない。泣ける。
こちら側はレバー・ハツ・砂肝の刺身!そしてびっくり、胸肉のづけ!
Tまんぼう「このレバーのタレがすごい好きで、もらって帰りたいくらいです」
あわあわ、本当だ‥新鮮きわまりない内臓を鬼のようにウマいタレで食す‥たまらん!Tまんぼうさんったらどんだけこのタレが好きなんだ、タクアンにつけて食べていた。
胸肉のづけは「しっとりとした食感」というのはこのメニューのためにある言葉でしょうか…生肉信者のわたくし、この皿をひたすらお替りしてお酒を飲み続けても一向に構わんっ!!
お次はもも肉のタタキです。おおぅ、なんと‥ビューティフル‥‥
O尚「ここのマスターは料理も目利きも最高だから!マスターが出せば、例えばただのグミでも喜んで食べる!そしてきっと美味しい!」
Sろうず「なんでそこでグミなんです?」
O尚「ケミカル駄菓子っぽいでしょ?でもここのマスターなら最高のグミを出してくれるはず!」
このもも肉の圧倒的タタキ具合、ジュスト・キュイっぷりはどうだ‥!モモのコリコリ感と脂ゾーンの旨味を完璧に引き出しているんですよ‥
どこ地鶏とか聞かなかったけど、広い大地を駆け回るトリさんの姿が目に浮かぶようです。たしかにこちらのマスターなら、グミでも最高のものを出してくれそう。
O尚「そうでしょ。ホント目利きも調理も完璧なんだから!」
お次はむね肉のタタキ!香ばしく焼かれた皮に、先ほどのづけと同じようにしっとりとしたたまらない食感。私の知っているむね肉と違う。
Yブザキ「いつもサトウのごはんしか食べない僕には全て未知の食材です」
そうなんですか?まあサトウのごはんも美味しいですけど。
こちらはなんです?ハンバーグ?
O尚「なんとね、レンコンつくね!これも名物ですごくおいしいから!」
あっ、レンコンの穴と表面をトリのひき肉で‥辛子蓮根ならぬトリ蓮根!
ゴリリっ!とたくましいレンコンの食感に、旨味がぶっちぎりに詰まったつくね!
Sあや「コレはここに来るたびにヤられてます‥最高!」
喜びの声も通りまくりますね〜。さすが声優さん!しかしほんと、とんでもなくウマいな‥!辛子蓮根が大好物であるわたくし、歓喜。レンコンそのものが上質というか‥こんなに差があるもんなんだなあ。
焼き鳥屋の定番である銀杏も、銀杏そのもの、焼き加減、塩加減すべて最高。
O尚「銀杏ってウチで焼いてもこんなに綺麗に塩がのらないじゃない。このバッチリな塩加減はどういうことなの」
Sろうず「表面にお酒を吹いてたりするんですかね?よくわからないけど」
お次はまたつくねが来た!生・レンコン・串の三連つくね!!
しかもこちら、つくねのタタキってことになるのでしょうか…ものすごくレア寄りなミディアムレアつくねなんです。ボソボソ感ゼロ、鶏肉のさわやかハンバーグじゃー!
O尚「まださわやか行けてないのよ」
Yブザキ「僕は静岡にいたんで、子供の時のさわやかは本当に楽しみでした。その頃はあまり混まなかったんですけどね」
O尚「やっぱり美味しいのか〜。行かないと!」
あれっ、鍋前にまた何か‥おおっと、ささみカツ!これまたレア寄りにカラリと揚げられたカツは、山椒と塩という極めてシンプルな味付けですが‥
Sろうず「これは‥もう‥陶酔ですね」
O尚「レンコンとこのカツが大好きで、もう一生食べていたいよ!」
驚きました。サクサク衣にしっとりササミ‥チキンカツの極みだ‥!
この辺でみなさんが飲んでいるのはサンペレグリノ!なるほど、ささみカツに絶対的な相性を見せてくれることでしょう。
あとO尚さんが良さそうなワインを頼んでいましたが、バッチリ写真を撮り忘れました。
Sろうず「ところでオーヤマさん、おちょこをもらえば私にも新政を分けてもらえたりします?」
ふぉっ?え、ええ‥まあ‥少しなら‥
Sあや「わーい!私もいいですか?」
ええ、もちろんですとも‥
さらにさらにレバー串が来た!しかしレバー…なのか?これ。なんでこんな澄み切ったウマさと濡れ濡れしい食感なの?焼いたレバーのクセとパサつき感はどこに行ったんだろう。
レバーには日本酒より焼酎かな〜という気がしたので、この辺で山ねこの前割りをいただきましょう。前割り焼酎のビンがずら〜っと並んでいて、好きなものを持っていくスタイルです。前割りがこんなに充実しているお店も初めて。
最後の串は手羽ですね。今までのミディアムレアとは一転、しっかり香ばしく焼き上げられた皮目がたまらん‥うまい、うますぎる!
なんとここまでですでに2時間。素晴らしい時間が流れておりますが‥
O尚「そしてとうとう来るよ!」
マスターがコンロを持ってきた‥ついに始まります、メインのフォアグラ鍋!
ネギをぐるりと並べた鍋の中央に「ウソォ!」「ヤメテェ!」という量のフレッシュなフォアグラがドサドサ!ひぇ〜。
じゅじゅーんと焼かれるフォアグラ!
Sあや「すっごいいい香り〜!香りでお酒飲めちゃいますね」
フォアグラってこんなにいい香りがするのですね〜。こりゃたまらん。
まずはフォアグラそのものを特製のタレにつけていただきます。
‥これはなかなか言葉にならない‥というか、口を開けると香りと味がこぼれる気がしてもったいない。みんな考えることは同じなのか、ただほわ〜んとした顔をするのみです。
たっぷりとフォアグラの脂が出た鍋にさらに鶏肉を投入!これまた脂をたっぷり吸ったネギと合わせる!ほぇ〜、またまた素晴らしい香りなんじゃ〜!
‥あれ、そういえばSあやさんってネギが苦手でしたよね。
Sあや「そうなんですけど、このお鍋のネギはおいしすぎて大丈夫なんです」
なんと!好き嫌いを超越するほどの美味しさなのですね!
鶏肉にある程度火が通ったところで、どさどさとキノコが入ります。フォアグラの香りにキノコの香りがプラス!反則だっ!
鶏のスープが入って、軽く煮たら完成です。フォアグラ脂たっぷりのトリネギキノコ鍋!とにかく食べる前からこんなに香り高い鍋物は初めてだ。
おや、ここで大量の葉っぱが。
O尚「クレソンを少しずつ入れながら食べるんだよ」
なるほど。タタキにも添えられていたし、たぶん本日、人生最大量のクレソンをいただくことになりそうです。
少しというとこのくらいですかね?ではクレソンが軽くへたった頃合いでいただきましょうか。
ああ、これはもう‥ため息しか出ませんよ。そうか、ネギもキノコも香り豊かなうえ、フォアグラの脂を吸い取るのが得意な具材なんですね‥!特製の鶏スープと合わせて‥もうダメだ、陶然となるほかない。
O尚「ホントおいしい‥コレをいただくとまた開発をがんばれるんだ」
このトンデモスープになんとうどんが投入された‥!どこまで人を喜ばせる気なんでしょう。
O尚「でもさすがにお腹にたまるね!少しだけいただこうかな」
なんだかんだ3時間食べっぱなしですからね!私もひとすすり分くらいで‥すすらないという選択肢はあり得ませんが。
Yブザキ「僕はまだいけます!」
Sろうず「まかせてください!」
おお、なんと頼りがいのあるメンバーだろう。
たっぷりスープを吸ったうどんを、見事に盛り上がった新鮮きわまりない卵黄とからめて‥
うわわー、こんなの最高じゃろ!フォアグラ風味がうどんにばっちり染み込んでいる〜。フォアグラの真価は、全てをフォアグラ色に染め上げる脂の風味にあったのですね。知らなかった〜。
デザートには糖度いくつなのかもわからない甘さのアメーラトマト。うう、なんて素晴らしい黄金体験だったのでしょう。しかもボトルでお酒を頼んだO尚さんと私以外の方は、飲み物まで合わせて8000円程度。安すぎやしませんかね‥
O尚「これで冬までフォアグラ鍋はおあずけか〜!でも焼き鳥コースもすごく美味しいんだよね。毎月来てるんだよ」
どうやって毎月予約を取っているのやら。ちょっと幸せすぎたので、ぜひまた数回に1回くらいは声をおかけください。
鳥長 東京都練馬区豊玉北4-31-8