「夏になったらコロナも落ち着くだろうからさ、お寿司とケーキ食べたいから加賀屋に連れてって」
さらっと謎かけみたいな希望を言ってくるのは母じゃないですか・・ああ〜なるほどなるほど、あの寿司屋とあのケーキ屋に寄って加賀屋に泊まるということですね。
「加賀屋はう〜んといい部屋じゃないとやだよ」
なんと恐ろしいことを言うのですか、いくらするんだ・・まあ私も行きたいし、いいと思いますよ・・なんて話をしていたのが春のこと。
春夏とダメぽだったけど、秋になったら旅に行けメシを食えってキャンペーンも始まったからそろそろいいのかな?というわけで、加賀屋を予約して車でGoTo北陸、北陸〜。
最初の目的地は富山は氷見市にあります「すし屋の城光」さん。前回の加賀屋さん宿泊の帰りに寄ってみたらそのおいしさにビックリ、握りながら寒ブリの高さをボヤく大将にビックリ、とにかく面白おいしいお店だったのでした。
「お前は一人でコッソリ行ったんでしょ、あの後も」
そうなんですよ。だってうまいんだもの。
11時半の開店ほぼ同時に着いたので一番乗り。二人ですがよろしいですかと聞くと手を消毒してからカウンターにどうぞということです。
メニューは地魚おまかせにぎり・富山湾寿司・寿司盛合わせとありますが、ここはもうね、おまかせ一択なんです。
おすすめ握りはそれぞれの寿司に味がついていて、こちらで醤油をつける必要がないのです。
ホワイトボードの本日のネタたちがどんな味で出てくるのか?楽しみだなぁ。
大将「アレルギーとか苦手なものとかはありますか?」
もうなんでも食べちゃいます。おまかせオブおまかせで。
お茶とおしぼりが出てきました。本当は冷えた地酒といきたいところですが、運転だからしかたない。あ、お茶もうめえ。
大将「まずはアオリイカですね〜。お味はついてますのでそのままどうぞ」
ピッカピカのイカは柑橘と塩でスッキリと。
母「最初からニコニコしちゃうね」
イカの握りって頼むことがあんまりないけれど、ウマいのはこんなにウマいものなのだなあ。
大将「こちらはオキアジですね。アジって名前だけど白身なんです。そのままどうぞ」
シャリ側に味がついているようで、白身の美しさが全開ですね。味も甘味と旨味が濃厚だ。もしかしてオキアジ、白身の裏番長なんじゃないか。
母「すごくおいしいのに聞かないよね、オキアジなんて」
水揚げした地元でのみ消費されるんでしょうね〜。何かの間違いで見つけたら頼むようにしよう。
大将「次はトラフグですね。そのままどうぞ」
フグ!しかもトラフグ!ポン酢と唐辛子の完璧なる組み合わせ!
大将「こちらは黒ムツですね」
ちょっとちょっと、3千円の握りなのに高級魚を連発してくれちゃうじゃないですか!皮の下ゾーンが限りなくウマい・・これは最後にもう1つ握ってもらっちゃおうかな。
母「来てよかったね〜。どれもすごくおいしい」
大将「はい、白エビと甘エビです。そのままどうぞ」
富山湾のお宝、白エビが降臨しましたよ!サービスエリアとか道の駅に寄るともうね、白エビせんべいに白エビおかきに白エビビーバー、とにかく白エビ加工に命をかける富山県。
母「でもきっとこのお寿司が一番おいしいよね」
なんと身も蓋もない。でも確かにそうだ、美しさを損なわない味つけが素晴らしいですもんね。
ここで味噌汁が登場です。つみれとみょうがですね。
母「みょうがって好きじゃないけどこれはおいしい。魚の出汁と合うんだね」
ふぁ〜、このみそ汁だけで二合飲めそうなくらい良い出汁だ。
ガリガリと音がしてきたぞ。次はまさか・・
大将「バイ貝です。胡椒がかかってますんでね、そのままどうぞ」
最初に来たとき寿司に胡椒!とそのウマさにと2度驚いたバイ貝さん!
母「これは絶対ビールに合うよね」
いやぁ、日本酒にも相当合うと思いますよ・・・ふわ〜、近くに宿をとって夜に来るぞ、絶対・・・
大将「こちらは昆布〆、今日は小鯛ですね」
さすが北前船が寄る富山、白エビと並んで昆布がアイデンティティなのか。余計な水分を吸って身が締まり、グルタミン酸をブーストしてプラスしかない。昆布ずるいよ昆布。
大将の包丁がシャシャシャーと素早く動いて出てきたのは・・
大将「アジですね〜。そのままどうぞ」
やったー!大好物の青魚!どうですこの包丁の冴えは。
母「ポン酢みたいなのがかかってるんだね。変わってるけどすごくおいしい」
アジにポン酢とは驚きましたがおいしいですね。今度やってみるか・・絶対こうはならんけど。
大将「はい、次は小肌です」
ピカピカ輝く光物が続いてうれしい。あれ、母はたしか小肌があまり好きではなかったような。くれてもいいんですよ。
母「こんなおいしい小肌があるんだね〜。あげないよ」
なんと、写真を撮っている間に一口で平らげていた。
母「おいしいものは全部食べないと」
大将「はい、こちらはカンパチという魚ですね」
まあ、ブリ軍団御三家のカンパチ先生!なんて麗しいお姿ざんしょ。甘味・酸味・旨味がすごいバランスでしっかりとした歯ごたえで・・寿司ネタ的に王様クラスじゃないのかしら。
大将「カツオ、ヒラソウダっていうんですけどね」
途中で寄った道の駅にちっちゃいカツオが売っていたけど同じヤツかな?やや、カツオらしい濃いウマさはそのままに、スッキリとした香りが鼻に抜ける。こいつはたまらん。刺身で一杯・・いや、五杯くらいやりたいじゃないか。
母「カツオって得意じゃないけど、こんなに軽い感じなら好きになっちゃう」
大将「はい、おすすめは以上で終わりですね」
母は本当に12貫食べてしまいましたね・・驚いたなあ。
母「全部おいしかった〜。でもさすがにお腹いっぱい。お前はどうするの?」
オキアジ・黒ムツ・カツオあたりをもう1つ握ってもらって締めようかな〜といった腹具合です。どれにしよう。ホワイトボードをもう一度拝見。
おすすめで出てこなかった氷見のサバがあるじゃないかー!ということで握っていただきました。これがもう、サバスキーのわたくし感涙、いや、むせび泣く。
母「食べたくなっちゃうけどもう入らない。そうだ、明日また来ればいいんだ」
えっ、何を言い出すんですか・・?
母「だってこんなにおいしくて安いんだよ。すみません、また明日も来ますので」
ほら、大将ったら苦笑いじゃないですか。冗談と思うでしょう?でもこの人本気なんで・・また来ます。
すし屋の城光 富山県氷見市間島1-50