母が行きたいと言った和倉温泉・加賀屋さん。その圧倒的な規模とサービスで日本一の旅館の名を欲しいままにしているわけですが・・・さて、どの部屋を取ればいいのかな。
と言いますのも、巨大な建物がなんと4棟もあって、しかも各棟で部屋も料理も変わってくるのです。お値段が手頃な順から能登本陣・能登客殿・能登渚亭・雪月花となっています。
その中でも加賀屋さんのセンターたる雪月花の15〜17階は「雪月花特選階」、そして18〜20階が「特別階・浜離宮」となっていまして、この辺はもう目玉が飛び出しかねません。でも「うんといい部屋じゃないとやだよ」と言っていた母、前回が浜離宮19階の竹取の間だったから、同じクラスじゃないとダメかな・・たしか8部屋しかないんだよな・・
まてよ・・
私はコッソリ昭和天皇皇后両陛下も宿泊されたという最上階の「迎賓室・天游」に泊まったことがあるのでした。つまり今回同じく最上階の「迎賓室・白韻」に泊まれば、なんと浜離宮の3種の部屋をフルコン。なんかの実績が解除されるかもしれん。
天游・白韻はネット予約不可、予約センターに電話をしなくてはなりません。金額の記載もなし。聞くだけ聞いてみるか・・もしもし、白韻は2名1泊でいかほどでしょうか・・?
あ〜なるほどなるほど、やっぱり迫力のお値段ですね。ところで10月のこの日は空いていますか?あら、空いちゃっているのですか。じゃあお願いします・・って、あれれ、流れで予約しちゃったよ。
母「前よりいい部屋なの?やったー!」
そして出発の日。まずは氷見でお寿司を食べて、雑な観光をしたら一路和倉へ!
和倉ICから下りて和倉温泉にププーと向かうと大きな旅館が次々と現れます。高級温泉街なんだなあ・・とか思っているとさらに一際巨大な、ディズニーヴィランの一人や二人は潜んでいそうな圧倒的威容の建物が見えてきた。そう、温泉旅館界のラスボス、加賀屋さん!
車の窓越しに予約名を告げてバレーパーキンングなので車のキーを渡します。「お荷物をお持ちします」とこの道何年だろう、見るからに頼もしいベテラン女性がやって来ましたよ。
ビシッとスーツを着こなしていますが・・はて、過去2回とも荷物を運んでくれたのは和服の仲居さんだったような。まあいいか。
フロントで検温と消毒を済ませて、新型コロナ対策についての説明書きをもらって、そしてこいつは計算外だったGoToトラベルの地域共通クーポンまでもらいました。電話予約でも対象になるんだ。
母「二人で12000円分あるんだ。ケーキを買う足しができたね」
なんだ、もらったと同時に使い途が決められてしまった。
「それではお部屋にご案内します。館内の設備ですが・・よくご存知ですよね」とスーツの方がニッコリ。あら、4年くらい前に2回来ただけなのにそんな常連扱いしてくれちゃうんですか?
「群馬からわざわざ遠いところをお疲れ様でございました。荷物を部屋にお運びする間、こちらでお茶をどうぞ」
まず案内されたのは18階の雪月花倶楽部というラウンジです。
能登島大橋や和倉の街並みを見ながら一服。
母「抹茶もお菓子もおいしいね」
普段飲みませんけど、ウマいもんですねえ。しかしお盆まで立派な塗りだな。
すっかり落ち着いたところで部屋に案内していただきましょう。ダームの塔最上階に到達!エレベーターを出るといきなり豪華でかっこいい眺め、そして宿泊者以外ご遠慮くださいの注意書き。
20階は2室(あとお付きの人用が2室)のみ。向かって右側が以前泊まった迎賓室・天游です。20畳の和室に応接室に洋間が2つにトイレが3つ・・旅館の部屋の中で迷うという珍しい体験ができた思い出があります。
本日は左手にあります迎賓室・白韻!迎賓室、つまり貴賓を迎える部屋ですよ。誰が貴賓だ?誰だ?俺だ!
母「わたしも」
入るといきなり廊下、室内に廊下!(写真は玄関でなく部屋側から)タテに布団を敷けば3人くらい寝られるんじゃないだろうか。
そして中庭。え・・室内に中庭?ちょっと何を言っているのかわかりません。
「お荷物はこちらに置きましたので」と案内されたのがたっぷり15畳の和室です。綺麗な生花にとんでもない塗りのテーブル、そして殿様気分になれる二重の座布団と肘掛け。和室だけどテレビもある。やあ、オーシャンビューだぞ。
「身長は175くらいですかね。この浴衣で合うと思いますけど」
そうだそうだ、こちらは身体にピッタリの浴衣を持ってきてくれるのでした。私は176cmですからホントによくわかるんですね。
「お母様はこちらの白いのを寝る時に着ていただいて、館内を歩く時のはどれがよろしいですか?」
母「じゃあ紺のにしようかな。でも着方とかよくわからない」
「着付けもお手伝いしますよ。後で着るならお部屋の係りの者も承りますのでお申し付けください」
あ、部屋の仲居さんはまだなのですね。
「はい、出勤したらご挨拶にうかがいますので」
ちと早かったか。ロクに観光もしないで早々にチェックインしちゃいましたからね〜。
「こちらがキーとエレベーターのカードです」
人数分貸してくれるのって実はありがたいですよね。
「カードの使い方はおわかりですよね?」
母「カード?なにそれ。忘れちゃった」
エレベーターの18階から上のボタンはカードを挿さないと反応しないんですよ。よく覚えておいてください。
母「うん、たぶん覚えたよ」
「お茶を飲んでごゆっくり・・というところですけど、今ならお風呂が空いていると思いますよ」
それはありがたい、飲んだらすぐ入ります〜とお茶のフタを開けたところで名刺をいただきました。へー、浜離宮コンシェルジュの方なんですか。コンシェルジュだから着物でなくスーツなんですね〜・・ん?
最上級客室である浜離宮のコンシェルジュということは、つまり女将若女将に次ぐ接客係のトップの方?あわわわわ。
あれ、でも最初からウチの荷物を取りに来てくれましたよね。それって偶然なワケないよな・・車で名前を言った時点ですぐ伝わるようになっているのだろうか。
頭の中のハテナを追っているうちにいなくなってしまった。なんてかっこいい名刺の出し方だろう・・まあいいや、空いているうちに風呂に行こーっと。
3階構造、みなさん丸出しで乗るエレベーター付きというスーパーサイズの浴場は41〜39℃とぬるめなのにしっかり温まるナトリウム泉。コロポッポのせいで飲泉が休止だったのが残念ですが、お肌はつるつるでございます。
さて、部屋を探検しようか・・こちらがメインで過ごすことになりそうなリビング。
海が見えるテラスつきですね。この人間をダメにする座り心地のソファーはいかん、どうぶつの森なんか始めたら動けなくなるヤツだ。
テレビは加賀屋専用の館内案内チャンネルなどもあって面白いです。
こちらの部屋にもお花があるぞ。夕食時のドリンクメニューもあるので目を通しておこう。あとはお茶セットに・・
湯沸かしポットとペットボトルの水。天然水まで加賀屋ラベルでございます。
能登本陣とかはたぶん違うけど、こちらの冷蔵庫内はオールフリーということなのでさっそく加賀棒茶をいただきましょう。やあ、母が大好きなアサヒスーパードライもありますよ。
母「でもご飯のときのビールできっとお腹いっぱいになるよね」
そうですね〜。私もこのビールまでたどり着く自信はない。
ここは洋室というか寝室か。ここだけでいつもの東横インの部屋が2つ3つ入るな…
天游にはもう一つテーブルが置いてある洋室がありました。使わなかったけど。
母「ベッドがいいなー。わたしここに寝るからお前は和室とか廊下で寝るんだよ」
へいへい、ご自由に選んでください。
あれ、でもこの部屋が一番眺めがいいな。とにかくひたすら海!
母「雨予報だったけど途中でちょっと降っただけでよかったねえ」
基本的に天候に恵まれないマンなので、こんな曇り空でもありがたいですよ本当に。
洗面台は2人分、アメニティもこれでもかという充実。女性用セットはミキモトでお持ち帰り用手提げ袋まであるという。
さらにタオルは今治タオル、バスローブはジバンシーと至れり尽くせり行ったり来たり。
母「やだ、この鏡は後頭部まで見えちゃうね」
頭頂部に不安がある人には恐ろしいでしょうね。私は・・やあ、大丈夫そうだ。ちなみにこの鏡、自分の姿を映さず写真を撮るのが大変だったんですよ。褒めて。
檜風呂もありますけど、これは温泉ではないということなので使いませんでした。あとはトイレが2つ。リビング横と洋間の横なので、母は洋間の方を使ってください。
母「お腹がこわれるくらい食べても2つあれば大丈夫だね」
実際のところそのくらい食べるハメになると思いますからね。きっと役に立ちますよ。
軽く置いてある花瓶とかもお値打ちなんだろうなー。よし、部屋は一通り見たから館内を見てみましょうか。お土産屋とか。
母「そうだね、お土産買っていくメモを持っていこう」
エレベーターホールに出たところで美しい和服の女性が現れましたよ。どちらさま?
「本日担当させていただきますIと申します。どうぞよろしくお願いいたします」
あわわわわ、なんと綺麗な方が・・こりゃどうもよろしくとかなんとかモゴモゴ言いながら館内の探索に向かうのでした。 つづく
加賀屋 石川県七尾市和倉町ヨ部80番地