フグ・アンコウ・クエと鍋のつわものたちが集う冬、忘れてはいけないのがそう、真鴨!マガモ!カナール・ソバージュ!
遥かシベリアより飛んできた彼らをいただくことができるのが、猟期である冬!まさに今だけのウマいもの、いただこうじゃありませんか。
というわけで、西浅草の「鳥輿」さんに「真鴨一羽を鍋に、ついでに串焼きもお願いします」と無理めなお願いをしてしまいました。
本来は焼鳥コースのお店ですが、昨今の情勢によりお弁当や単品メニュー中心の営業になっております。そんな中でも快く引き受けてくださいました。
一羽をまるごと仕入れるので3・4人分になるとのこと。じゃあちょうどいい、作曲家のSさんと絵師のKさんと3人で美術館に行く予定がある。その日にお願いしましょう。
予約していたオーヤマです〜と入店すると、2卓だけのテーブル席の1卓を占領して鍋セッティングは完了しています。手指を消毒して着席、真鴨鍋&串とメニューは決まっておりますので、飲み物をお願いしましょうか。
こちらに来たらまず松竹梅樽酒正一合、冷たいのがいいけど季節的にないので冷や(常温)でお願いしましょう。
K「俺はここに来たらザクロタンサン」
S「僕は青レモンですね」
だいたい同じメンバーで来ているので飲み物は決まっているようだ。
こちらが焼鳥単品メニューです。万が一足りなかった場合は頼みましょうか。極太の本ワサビをおろしたさび焼と、アイガモを味噌で漬けたというづけの相鴨はまさしく絶品なんです、はい。
K「壁にも気になるメニューがありますなぁ〜」
千住葱とトマトのサラダとか丸鳥一羽を煮込んだインドカレーって、ねえ。フラっと来ても幸せ直行疑いなしよね。
菊正宗樽酒の到着〜。ぶぉお〜、ぶぉお〜(ホラ貝)。あ、常温でも結構冷たいぞ。
大将「焼き3串分以外は全部鍋用に切っちゃいましたけど」
まさに望んでいたところです。ありがたいありがたい。
大将「今日の鴨は宮城でね、鉄砲じゃなくて網で獲れた鴨です」
おお、残り弾の心配がないから網の方がいいと聞いたことあります。そしてこの大皿がいわゆるロースに当たるメインのお肉ですね。
大将「この辺はしゃぶしゃぶみたいな感じで軽く出汁で泳がせるくらいが一番おいしいです」
こちらはホルモンみたいに見えますがそういったお宝ですか?
大将「今回はハツとかレバーが取れましたんでね。小さい皿のが内臓なんで、こちらはしっかり火を通してください。外側のは骨周りの肉ですけど、細かく骨は取ってないんで気をつけてください」
そりゃもう、骨の周りがゴリゴリするのは当然!そして骨周りと内臓こそ肉の真味!この皿は貴重すぎますって〜!
大将「めんどくさい時期なんで、鍋に入れたり取り分けたりする時はこっちの箸を使ってくださいね」
アレ対策もバッチリですね!了解しました!
大将「野菜はクレソンにしてみました。これもしゃぶしゃぶみたいな感じでザザッとやってもらえれば」
実はここで真鴨鍋をお願いするのは2度目でして、最初の時はセリの葉っぱと根っこがたっぷり入ったのでした。感染症だへったくれだで記事にするタイミングを失ったんです、はい。
一応供養で画像だけあげておきますか。セリの根っこ!マイルドなパクチーの根といった感じでまさに大地の味!真鴨にばっちり合うんですよ。
そして今回はクレソンしゃぶですか!クレソンをしょった鴨、はたして・・?
S「では野菜をザクザク入れちゃいましょうか!」
おお、焼肉となると網いっぱいに並べて迫力の焼きを見せるSさん、鍋でもナイス奉行っぷり!ざざざ〜とブルドーザーのようにザクを入れてくれます。でもお肉は待って、ロースの3切れほど入れて、各々が良い感じに育てましょうか。
おっ、キノコもネギもいい感じだ。そこにしゃぶったクレソンと鴨を・・ほい、完成〜!
なんでしょう、この明らかに血の風味なのに澄み渡って切れる味は。ワサビの強烈な辛さが一瞬で消え去るように、濃い血の風味がドーンと来たと思ったらサッと引いて、しつこさやクセをまるで感じさせない。ダメだよマガモ、こんなにウマくちゃ!滅びるよ!
骨周りはさらに深い旨味、ハツっぽい部分はコリコリと。あんまりうまくてホイホイ食べちゃう。一羽なんて食べきれるのかと思ったら足りない勢いです。
大将「そろそろ串を焼き始めていいですかね?」
そうか、串もお願いしていたとは2週間前のぼくナイスだ。お願いします!
鍋も終盤戦、取っておいた皮!極上の脂がみっちりついた、皮!これはそーっと置いて野菜で隠す。鍋は戦争だ!
クニュクニュっとした後どば〜っと旨味と共に溶ける脂がもう、なにこれ最高。樽酒の香りがえげつないほど合います。至福オブ至福、至福オブザイヤーだ!
大将「はいお待たせ、真鴨串です」
K「これはもう香りからすごいことになってない?」
もともと香り高い肉に炭火ブーストが入って、とんでもないことになってしまいました。どうしよう、至福オブザイヤーの保留玉連チャンですよ。つまりフィーバーパワフル、オールフルーツならぬオールカナールですよ。
K「パチンコ老人会は放っておいて、うううう、うんまぁ〜〜ーい!」
素晴らしいなあ、グンマから来た甲斐あったなあ。
大将「えっ?グンマからだったんですか?」
あれ、言ったことなかったかな。そうなんです、グンマから通うほどウマいんです。
大将「シメにはご飯を入れますんで、具のすくい残しは大丈夫ですか?」
K「えっ、このおダシにご飯!罪深いわ〜!うどんとか麺もいいけどやっぱご飯よね!」
刻みネギがドババ〜っと入った!生ネギの香りが伝わるくらい入った!こ、これは・・
K「カモネギの意味がわかりすぎちゃったよ・・!ネギがどっさり入って完成するんだね、カモおじや、おじやゴールドアワード確定!」
さすが白メシのプロ、良い選考をしますね。10点満点で12点、星で言えば6個の素敵なシメでした。
今回の真鴨鍋コースは1羽まるごと買いでお願いして2万ちょっとくらいの時価。10日以上前に予約して、しかも運悪く真鴨が入らなかったら気にせず普通の焼鳥をお願いするくらいの余裕が必要です。天然ものはお恵み次第なのでそこは仕方ない。
でもでも、通常メニューの焼鳥やおつまみで飲ってからのドライカレー締めもすこぶるウマいのでなんの心配もありません。一羽煮込んだというカレーも食べたいし。ちょっと怖そうな大将、実は優しいんだから。
鳥輿 東京都台東区西浅草2-10-4 あけぼのビル1F
鴨焼き付きのコース 現在はやっていませんがきっと復活します