「中華の汁そば」が食べたくなった。半チャーハンを従えて登場する町中華ではなく、クルクル回るテーブルで供されるような本格中華のソレ。例えば上品な鶏出汁で、細くたおやかな麺で、チンゲン菜がそっと横たわっているようなアレ。
近所にそんなお店あったかな・・よし、長らく行っていないあそこに行ってみよう。
太田市運動公園のすぐ近くにあります「幸蘭」さん。ただよう歴史と威厳、磨き抜かれたガラスに老舗の矜持が見えます。
実は昼に来るの初めて。美味しいのはわかっているし、駐車場も完備なのになぜだろう・・「開店が11時半にしては家から近すぎる」というと変ですが、昼メシを食べたくなるタイミングと行ったり来たりすれちがいなんです。
その開店時間2分前に着いてしまったけど営業中の札が出ている。他の車も入ってきたから急いで飛び込んで一番乗りだ。
白黒のシャツとベストで決まった店員さんに高級な雰囲気を感じます。メガネと結んだ髪がなんとなくサクラ大戦の李紅蘭風で、中華な雰囲気も感じます。
案内されたテーブル席には清潔感に満ち満ちた真っ白なクロス。ちなみにクルクル回るテーブルもありましたが、一人じゃ案内されないわな。
メニューを開くとまずは定食類ですか。トップは回鍋肉なんだ。そして酢豚やエビチリといったいかにも中華な品々、エビチリ落っことしたらクロス台無しだよな〜。
最安のチャーハンで1100円とやはり高級な価格帯ですが、カニ爪とか入ってほぼ五目チャーハンと呼べる品だった記憶があります。
麺はこのページか。こちらのトップも回鍋肉。麻婆豆腐もあったし、無理やり分類すれば四川が得意なのかしら。
さてどれにしよう。単勝1倍台の本命であろう回鍋肉麺、たぶんフチが赤いヤツが出てくれるチャーシュー麺、いつだって美味しい五目そばあたりが本線でしょうが、ここは惑星で行くか。あまり目にすることのないセロリーそばをお願いしてみましょう。
中華料理店ではジャスミン茶が嬉しい。大学の第二外国語は中国語を選びましたが、身についたのは茉莉花茶(もーりふぁーちゃ)の読みだけでした。というかほとんど学校行かなかったろお前。
10分ほどで登場したセロリーそば。なんと美しい・・食品サンプルもビックリの端正さに、なんとなく真上から撮ってしまったじゃないか。実は五目そば風のあんかけ塩味と勝手に想像していたけど違った。どんな味なんだろ。
スズ・・とすすると、オイスター的ウマさがじわわ〜んと沁みる。淡く上品な鶏出汁スープにオイスターソースとほんのり豆板醤、ウマさの素たちみんなが主張しすぎず、人という字のように支え合って美味しくなっている。
麺を引っぱりだしたらコレだ。あまりにも食べたかった麺そのまんまでニヤけてしまうじゃないか。
中華炒めのうまうまスープをまとった、ほのかに小麦が香る細麺。サッポロ一番なんかで作る「炒めてのっけちゃえ系ラーメン」がこの上なく洗練された、まさに最上級の中華汁そばがここにあった。
見事に火が入って歯ごたえと香りが引き立つセロリーのうめえこと。ネギとキノコで風味が、そしてタケノコで食感がさらに倍。のっけちゃう前のセロリー炒めでお酒を飲んでみたいもんだ。
細切り鶏肉で肉要素も補完!いやはや、汁そば欲が期待をはるかに超えて満たされてしまった。
ちょっと待ってください。この流れは回鍋肉麺やチンジャオロース丼あたりが激しく美味しいんじゃないですか?そして夏にはバンバンジー冷しそばなんてあるみたいじゃないですか?ず〜っと昼に来ないで損していた!通う!
幸蘭 群馬県太田市内ケ島町463-5