夏のある日のこと、都内に行くため車で籠原駅に向かいます。11時くらいだし、こっちで軽く何か入れておくか。
軽くとなると、やはり「うどんそば」になるのかな〜。冷やしたぬきが恋しい季節、この辺にお店あったかな〜。
県道256号、籠原駅に向かうY字路のちょっと手前にそば屋さんがあったな。何度も前を通過しているのに、なぜか入ったことがない。やたらと広い駐車場の奥にのれんが・・出ているじゃないか、よしよし。
立派な店構えに少しドキドキしてしまう「辻九 別府店」さんに入店です。別府店ということは暖簾分けか何かなのか、そういえば同じ名前のお店を2軒ほど見たことある。どこにも入ったことないけど。
建物から察するにさぞかしお高いのでは・・?やあ、店頭にメニューがあった。ふむふむ、天おろしや桜エビと長ネギかき揚げ天せいろが900円に定食が600円・・どうやら良心的な町のおそば屋さん価格のようですね。
入店すると小上がりやテーブル多数の広めな店内、目の前のテーブル席にうながされました。座敷ではさっそくビールを決めている御仁がいてうらやましい。
まずはもちろんうどんそばメニュー。熱い種モノはナナメに見るだけで、え〜と、冷やしたぬきはいずこ。
「冷たい」コーナーにたぬきの姿はナシ。かわりと言ってはなんですが、おろし・桜エビと長ネギのかきあげ天せいろ・かも汁せいろあたりが目に引っかかります。
定食は600円よりでなく、まさかのオール600円だった。せいろよりカツ丼や鉄火丼が安い世界観。
カキフライ定食にお刺身定食まで600円なのか。定食にプラス300円でミニうどんを頼むのがこちらの本線なのかもしれません。
「カツ丼とミニもりそばを願います」と言いかけて、ちっとも軽くないじゃんと自らストップ。
壁にもメニューがあるじゃないか。親子丼と玉子丼が900円って、これまたカツ丼の方が安いのはどういう価格設定なんだろう。SF (すこしふしぎ)そば屋さんだなあ。
やや、すみっこに冷しタヌキそばの文字を発見。よしよし、店員さんを呼んで・・
「かも汁せいろをそばでお願いします」
・・・また口が勝手に注文した!お前カモ好きすぎだろ!
まずはミニサラダとなぜかとうもろこしが来た。季節の小鉢というやつでしょうか。サラダはトマト・コーン・キャベツときて、上の青い葉が大葉でちょっとビックリ。でも青じそドレッシングがあるんだから、本物の葉っぱがのってもいいよね。
かも汁せいろそばも到着、お昼の膳がととのいました。せいろというか一枚板の・・ざる?皿?とにかく器がかっこいい。
つけ汁はわかめとおあげさんに一面を覆われて、一見して鴨汁とは分かりません。鴨にわかめって珍しいな。
白っぽくて平たいそばは手打ち感たっぷり。大盛りコールなしでもなかなかの量です。細ネギ・おろし・ワサビがつきます。
まずはそばだけひとすすり。短めのそばは見た目うどんライクだけど、口の中でだんだんそばの風味が立ってくる。すするというより噛みしめて楽しむそばみたい。
お次は汁につけて。汁も当たりが柔らかいので、やはり「ちょっとつけてすする」ではなく「汁にたっぷりひたしてもぐもぐ食べる」が正解なのかな。一緒に入ってくるおあげさんが妙にうまい。
別皿で来た薬味は追加ネギ・ゴマ・生姜という肉汁うどんっぽい組み合わせ。鴨汁そばとしては珍しいけど、油揚げと肉が入った汁と考えればピッタリかもしれん。
ざざーと全量投下して、そばをグルグル回して汁と薬味をたっぷり絡ませればこりゃいいや。特に生姜がピリッと効くねえ。でっかいネギも出てきて盛り上がってまいりました。
ネギが来たらもちろん主賓たるこの方にもお出まし願わないと。実は底の方に結構な数がいらっしゃいます。
出汁も鴨の脂も穏やかな風味で、ひと口でこりゃウマい!って感じではない。でもそばと具と薬味と全部あわせて食べているうちに美味しくなる面白い汁だ。今まで知らなかった鴨汁そばの世界、いいぞいいぞ。
そばを食べ終えてもネギにゴマにわかめが残って、そば湯というよりスープのようだ。ここでもおあげさんがいい仕事をしてくれますね。
結局全部飲んでしまった・・そばも多めだし小鉢もあるし、なんだか軽めでもなかったけど美味しいからヨシ!
具や薬味が面白いお店みたいだから、温かいコーナーにあった和風ちゃんぽんなんて試してみたいものです。何年も素通りしていて失敗だったな、今後は昼時に通りかかることにしよう。
辻九 埼玉県熊谷市別府3-113