氷見で富山湾のキトキトなお魚さんたちをいただいた後は、珍しく名所旧跡に行ってみましょう。実は超メジャー観光地の兼六園、近くのケーキ屋までしか行ったことない。
母「そういえばないんだよね」
え、バスツアーの鬼である母が?それは意外でした。なおさら行かなきゃいけませんね。
雨に煙る兼六園も乙なもの・・と言いたいところですが、湿気とマスクでメガネが曇ってよく見えない。でも後で写真を見たらちゃんと綺麗でした。
母「広いし綺麗だし確かにすごいよ。雨が降ってなかったら何時間あっても足りないね」
広大なのに隅々まで手入れも行き届いて、まさしく特A級スポットということはわかりました。そして駐車場に着いたら雨が上がったのはバカにされているのでしょうか。まあいいや、ちょうどいい時間なので宿に向かいましょう。加賀屋と言いつつ能登なんで結構遠いのよ。
兼六園から1時間少々、大きな宿が並ぶ和倉温泉街でもダントツのスケールを誇るのダームの塔は・・そう、プロが選ぶ旅館のラスボス、おもてなしの総本山たる「加賀屋」さん!
着くと同時に3人くらいの方がすっ飛んできまして、あれよあれよと荷物と車を預かってくれてフロントへ。そんなわけでこの写真は翌朝撮ったものです。
チェックインと検温・消毒を済ませ、荷物を持った仲居さんが館内を案内してくださいます。
こちらはロビーの飛天。宿泊しなくても金箔入りコーヒーなんて飲めるらしいです。夜にお酒を飲めるチケットもいただきました・・と、書いていて思い出した。使い忘れたじゃないか。
お土産物やお酒に九谷焼まで買うことができる花見小路。支払いは部屋付けでフロントまで届けてもらえますので、風呂上がりに手ぶらでホイホイ買い物ができます。楽チンすぎて買いすぎること請け合い。
朝には朝市も立つので、一度チェックインしたら外出する必要もヒマもありません。
摩天楼が四棟並ぶ、マンハッタンな加賀屋さん。最高峰は地上20階の雪月花という棟です。
雪月花の18階から上が特別階「浜離宮」となっていて、一番上の20階にありますのが迎賓室の「天游」と「白韻」です。昨年一昨年と「白韻」に宿泊して十分に満足したはずが、もう一丁いく?とばかりに「天游」を予約してしまったんですよ・・
浜離宮に行くための専用カードを差し込み、最上階へ直行だ〜!
いや、あせってはいけない。段取りというものがある。まずは18階に案内されます。
18階から19階をぶち抜いていると思われる「雪月花倶楽部」でファーストおもてなし。和倉の街並みと能登の海を一望するバブリーかつファビュラスな空間で、
抹茶と和菓子とアツシボですよ。なごんでほぐれてふは〜とため息。
おもてなし界のレジェンドである浜離宮コンシェルジュの方に「いつもありがとうございます」なんて挨拶をいただきました。ありがたや。
再度エレベーターに乗り、たどり着きました20階!
それでは左手の・・いやいや、そっちは「白韻」です、去年までのお部屋。本日は右手の
テッペンofテッペンズ、和倉温泉最強の加賀屋さんでも最強の客室である「天游」ダーっ!
昭和天皇も宿泊されたという天游・・このブログの初期に来てから7年ぶりだったかな。まさか再訪してしまうとは思わなかった。
いざ入室すると、ここはホントに旅館の部屋なのか。どんな所に来てしまったんだ。
仲居さん「お靴はそのままお脱ぎください」
ああそうか、下足スペースでしたか。フッカフカの専用スリッパに履き替えます。
応接間なのかリビングなのか、とにかくすごい洋間だ。ソファーに座って今度は緑茶をいただきます。
仲居さん「これからお部屋担当の者が参ります。浴衣は昨年と同じ大きさのものでご用意しましたけど、もし合わないようでしたらお伝えください」
加賀屋さんでは「部屋まで案内しながら浴衣のサイズを見繕って用意する」という話がありますが、リピーターの場合は先に用意しておくわけですね。こりゃおちおち太れないぞ。
母「それよりこの広くて立派な部屋、何につかうの」
エラい人となると旅館にまで客人が来るから応接間が必要なんですかね?よくわかりません。
割と珍しいこっちからのアングルなんて撮っていたら、部屋担当の仲居さんがいらっしゃいました。百万ドルの笑顔、丁寧かつサッパリとした絶妙な距離感の方です。さすがです。
仲居さん「お母さまは色浴衣をお選びいただけますが、どれがよろしいですか?」
母「んあ〜、じゃあこのピンクのような紫のような」
仲居さん「お着付けをお手伝いいたしましょうか?」
母「んあ〜、、大丈夫と思います」
その後風呂に向かおうとする母を見てビックリ、左前じゃないの。ちっとも大丈夫じゃないよ、直して直して。
冷蔵庫の中は加賀棒茶にオレンジやリンゴにマテ茶にビール、どれも好きに飲んでいいとのこと。常温の水やコーヒーメーカーも取り揃っております。
母「金庫すごいね。本当はこのくらいの人数で使う部屋なのかね」
そうでしょうねえ。何部屋あったんだったかな、ちょっと探検してみましょうか。
20畳はありそうなメイン和室。ここだけですでに高級旅館以上です。よし、僕はこの部屋に布団を敷いてもらおう。寝具はエアウィーヴとやらで背骨や腰にすごく優しく、正直、欲しい。
きっと由緒ある掛け軸、美しい生花、輪島塗の座卓と脇息・・部屋そのものが芸術品、天游という名のインスタレーションなのか。昔のマンガに出てくるフィクサーが座っているような空間ですね。
こんな文箱まであっては誰かに手紙でも書きたくなっちゃう。前略、土門さま。とにかく色々すごいです。
ふと見上げると見知らぬ天井・・いや、見知らぬ・・シャンデリア・・?なんて言うのコレ。
やあ、中庭からの海も綺麗だな。完全に雨があがってなんかシャクだな。
・・ちょっと待ってください。部屋に中庭があるってどういうことよ。
母「トイレに行こうと思ったらまだ部屋があったよ」
ここは昭和天皇が食事を取られた部屋ではないかと思いますが、我々は茶寮に行くわけですからね、見るだけ、見るだけ。
洗面台もえらいことになっております。己の姿が映らぬよう撮るのが難しいほど大きくて多面な鏡。バスタオルやフェイスタオルは全て「おもてな糸タオル」という今治タオルです。
女性用アメニティはミキモトコスメティクス。持ち帰り前提で紙袋まであるのね。
男性用はポーラですか。前回の同行者はスキンヘッドを剃るため「三枚刃以上の使いやすいカミソリを持ってきて」とか無茶なことを言っていたな・・そして本当に持ってきてくれたんだ、確か。できないを言わない加賀屋さん!
あ、備え付けのカミソリも剃りやすかったですよ!
海を一望できる檜風呂、いいですねえ〜。でも温泉ではないとのことで、結局使いませんでした。
母「まだ部屋があるよ。部屋の中で迷っちゃうね」
ここは洋風の寝室ですか。ここだけで東横のシングルが何個入るやら・・母はここで寝ればいいんじゃないですか?
母「すぐ近くにトイレもあるからいいね。そうしよう」
そう、なんと天游の中だけで3つもトイレがあります。すごく便利です、が、ホントに室内で迷います。
母「この鏡台もすごい塗り物だね。あ、開くと後頭部の方まで見えるよ」
とんでもない品でしょうに、普通に使えるように置いてあるのが恐ろしいですね。
一通り部屋を見たところで洋間に戻り、ソファーにゴロリ・・グゥ。
おっと、のび太ばりのスピードで寝落ちるところでした。このソファーは危ない。ものすごい勢いで人をダメにします。
せっかく温泉に来たんですから、晩飯の前に風呂に入りましょう。雪駄に履き替えて外に出ようとしたら、やっぱり何かおかしなモノがある。なんだろ、鹿威しの親戚?何度も言うけど部屋の中ですよ?
エレベーターぶち抜き3層の広大なお風呂。海の温泉らしく塩分をたっぷり含んだお湯は非常に温まります。出てからいただく冷たいほうじ茶のうめえこと。
・・部屋に戻ると畳の上ですべってコケそうになるほど足の裏がツルツルだ。カカトの角質がゼロになった?いや、それどころか全身がスベスベだよ!これがアルカリ温泉の力か!和倉温泉は美人の湯と言いますが本当です。
ホカホカのツルツルになったところで夕食の時間が近づいてまいりました。つづく。
加賀屋 石川県七尾市和倉町ヨ部80番地