
鞍馬口駅付近をプラプラ歩いていたら、なんかビビビと来るお店があるじゃないか。
ただ事ではない雰囲気だとGoogleマップで見てみると‥思った以上にただ事ではなさそうなお店だった。京都の友人を誘って予約しよう、そうしよう。

そのお店は鞍馬口駅から徒歩3分にあります「畑かく」さんです。
打ち水された石畳‥昼間はこの門が閉ざされていてよくわからなかったけど、どうやら本格的な料亭だったようですね。力石徹のスカジャンなんかで来てしまったけど大丈夫かしら。

なんと玄関には下足番の方までいらっしゃる。靴を預けたら仲居さんに案内されてズズイと奥へ‥あら〜廊下から見える中庭も見事。

二名でも個室、しかも囲炉裏端に座布団なんてスタイルとは。

ウェルカムお茶とお菓子をいただきながら飲み物の注文を聞かれます。
予約の電話を入れたら「それでは二名様でぼたん鍋をご用意いたします」とのことで、食べ物は牡丹鍋コース一本です。
日本酒はキンシ正宗一択というのも京都の老舗らしくていいですね。冷や、燗、冷酒とあるので冷酒をお願いしましょう。

鍋ができるまではモロコの飴炊きで飲んでいろと言うことですね。
しっかり甘い味つけですが、最後に淡水魚らしい香りがふあっと来て、なんともお酒を呼ぶ逸品。いきなりキンシ正宗が空になってしまった。

大輪の牡丹が登場です。ビューティフル‥!三人前四人前となったら、さらに花びらが増えてしまうのだろうか。
なんでも「牡丹」という符牒で呼ばれていた猪肉を、本当に牡丹の形に美しく盛りつけた、元祖牡丹鍋のお店なんだとか。
仲居さんが作ってくれるようなので妙技を味わいましょう。

白味噌スープには大根がすでに入っていました。
仲居さんが見事な箸さばきで牡丹の花びらを半分、そして野菜も半分投入。どうやら二回戦に分けて楽しむらしい。
ギリギリ煮立たない絶妙の火加減を保つ炭火‥いや、炭でそんな完璧な制御ができるもんなの?

ポン酢が入った器に綺麗に盛りつけくれました。なるほど、椎茸はここでの映えのためでもあるのね。
火が通っても赤身がスカスカにならない猪の肉。脂身が甘くなんとも香り高い‥のですが、もしかして真の主役って野菜なのでは?
シャキシャキ心地よいセリ、とろける一歩手前のネギ、さっくり歯ごたえが残る大根、どれも白味噌スープを吸ってうまいのなんの。

(友人撮影)
仲居さんはひとまず退場し、二杯目からは自分で盛ります。その間に部屋を眺め回したら、猪さんがいたり、

(友人撮影)
牡丹の掛け軸があったりと、あまりにも牡丹鍋一点突破。

第一陣を食べ切る頃合いに仲居さんが再登場。
具材の残り半分を投入する前に、牡丹の花芯である猪の脂で「仕上がった」スープだけを飲ませてくれます。白味噌のまったりした甘味に、なんとも濃い猪風味と野菜の香りが溶け込んで‥滋養強壮な旨味に溢れているじゃないか。

後半戦には京都らしく生麩なんかも入っちゃって。
中盤戦からゴボウの風味が一際目立つようになってきましたね。土の香りたっぷりのゴボウと、土からなんか掘って食べているであろう猪の風味。なんて素敵にマリアージュ。

大皿いっぱいにあった具も綺麗になくなってしまいました。シメの一歩手前で入るのは丸餅。白味噌スープに丸いモチ、ミスター味っ子の雑煮を思い出すマンガ老人会。
もみじおろしを入れれば甘いスープが引き締まる。ついでに「おろし」部分がモチに合いすぎる。
仲居さんがシメは汁かけご飯か雑炊どちらにしますかと言うので、もちろん雑炊でお願いしました。

極うま白味噌スープにご飯、そして卵と海苔!よくぞ日本人に生まれけり。京都だけに香の物もすごくうまいです。
後で伝票を見たら卵と海苔代350円がついていましたが、こんな香り高い海苔なら当然。ついでに車代とか花代とかいった欄があるのが料亭っぽいな〜と、変なところで感心しました。え、お花‥‥呼べるの?

お茶とミカンで終了。最後までうまくて困っちゃう。
ああ良かった。京都で元祖の牡丹鍋!歴史そのものを味わったようだ。
そういえば何でもこきおろすので有名だった「恨ミシュラン」なんて本でも、ここは一つも悪口を書かれていなかったような。若き日のサイバラさんが噛みつかないなんて相当なもんだぞ。
やはり京都の老舗はその老舗っぷりもケタ違い、大変美味しく貴重な体験でした。毎年冬の恒例にしたいわね。ついでに夏は鱧しゃぶが出るって小耳にはさんじゃったんですけど‥年二回来なきゃダメ?
畑かく 京都府京都市上京区上御霊前通鳥丸西入内構町430