気をとりなおして次に参りましょう。ほら、椀物が来ましたよ。
鱧真丈ですよ。どうして関東では鱧をあまり食べないのでしょうね。こんなにうまいのに。そして輪島塗の口当たりは、器に口をつけてOKな日本人だけが味わえる快感です。
そして仲居のMさんがお造りを持ってきました。どこで見てるのか知りませんが、ちょうど食べ終わりそうなところで来てくれます。
私は群馬、T氏は埼玉。海なし県の二人、感涙。これまた皿も立派な…おや、醤油が二個ありますね、種類が違うのですか?
Mさん「薬味がショウガとワサビになりますので、それぞれ別々にお使いください〜」
うわー、旅館では初めてですが、これはありがたい。本来当たり前なことが当たり前のようににされてるって、実はスゴいことなのでは?
どれ、イカから…あらら、これはうまい。旅館のイカ刺しがうまいのって結構珍しい気がします。ウニ、甘えびなどは言うまでもなく…あ、ウニは大根でフタをしてあって(開けちゃった)、エビの下は氷の板ですか。細かいですねえ。
T氏「稲取銀水荘は氷のドームに入ってたなあ」
どこも刺身には気をつかうのですね。和食のエースですからね。
お次は地魚揚げ浸しですか。北関東では出会わない色と味。産まれてからずっと北関東ですが、なぜかこういう茶色くない物の方が好きなんです。
この揚げ浸しと一緒に男の人がやってきました。手に持っているのは能登特産の切り出し七輪ではないですか。つまり
Mさん「今からここで鮑を焼きます〜」
やはりそうですか。部屋まで焼方さんが来ちゃうのですね。
おお、この色はお高い黒アワビ。
鮑は大好きなんですよ。コンスタンチノープルの皇帝になったら、毎日鮑を食べます、きっと。(大どろぼうホッツェンプロッツ知ってます?)
一緒にクチコを炙ってくれました
でかいなあ。能登食祭市場で4,000Gくらいで売ってたサイズです。なぜ先っぽがないかと言うと、ガマンできずにちぎって食べちゃったから。大好きなんですよ、これ。
ちょっとクサヤ風の香りと濃厚な塩味がたまりません。
T氏「初めて食べたけどこれはうまいな。酒に合うね」
この上なく合いますが、あまり飲んじゃダメですよ。残りをもらうのですから。
T氏「そっちの悠々って酒も飲んでみたいな」
あ、はい…(´・ω・`)ほんのちょっと…(チョロチョロと注ぐ)
T氏「うん、こっちもうまいね。でももう酒はいいかな。獺祭の残りは全部飲んでいいよ」
あ、はい!ヽ(•̀ω•́ )ゝ✧
焼方さん「お待たせいたしました」
お慕い申し上げておりました、アワビ様。
では身からいきましょう。パクリ。わぉ!juste cuit!!先月某所で食べた鮑もうまかったけど、そのはるか上だ。うまいなー、これ。天然だから?焼き方?種類?まさかその全部?
そしてメインの肝を、韓国の方が親子ゲンカしてまで取り合うという肝を…
T氏「俺、肝が苦手だからあげるよ」
あたし…あなたとここに来て、本当によかった。(©響子さん)
肝を食べて、加賀屋オリジナル日本酒浜離宮をグビリと…そして身の方に戻って獺祭をゴクリと…。ダメだ、至福だ。
たいへんしあわせでしたから、もうだれとも、かわりたくありませんでした。もちろん、コンスタンチノープルの皇帝とも、かわりたくなかったのです。 つづく