時は10月末‥あの〜、まだ暑いんですけど秋ってどこ?と言いつつ、さらに暑いと分かりきっている京都に向かいます。まだ葉は青々として紅葉は半世紀も先だと思われるのに、キャリーバッグを持った人でいっぱい。さらに暑苦しいじゃないか。
それでも京都に行かねばなのだ。なぜなら「佳肴 岡もと」さんの席が取れたから。
カウンター8席の予約制、飲み物込みで2万程度のおまかせコースのみ、タクシーで来店の際は「馬町の交差点をちょっと西へ」と伝えましょう。
道が混んでいて6時を数分回ってしまった。あわてて入れば他の方たちは勢揃い。すでにビールのグラスまで置いてあるじゃないか。では大急ぎで日本酒を願いま〜す。
最初の一杯は山形のくどき上手 雪女神29%。徹底的にお米を磨いたお酒の口当たりは柔らかく、フルーティーなことこの上なし。キューっと飲んじゃう危険な女神さまです。
紙に包まれ稲穂が置かれ、実りの秋らしい雰囲気で何か出てきましたよ。
開けると‥まんじゅう?なんとこちらは百合根まんじゅう。百合根が食べられるというのはズッコケ三人組で知ったクチです。
なめらかな百合根の中には秋の渋い風味のお仲間である銀杏と‥え、この圧倒的パンチ力は‥あなた鴨のそぼろ?風雅な淡い風味の百合根からドカンと飛び出す旨味の爆弾!一品目から飛ばしてくれますねえ。
特大ボタンエビに京都のカブとイチジクに黒豆、そしてソースはウニと湯葉ですって。プリプリを通り越してブチブチっという大迫力的な歯ごたえ、圧巻の甘味を引き立てるソース、掘れば掘るほどうまいミソ。困った、ひと口ごとにお酒が必要だ。
蒸し暑さを吹き飛ばすスカッと爽やかなお酒をお願いすれば、山形の秀鳳 特別純米超辛口なんて出てきました。なるほどシュッとしたお酒だなこりゃ。
ところで馥郁たるどころじゃない香りに包まれてきたのですが、もしかして‥
大将「はい、国産の大きい椎茸です、椎茸」
やっぱり!秋ですもんね〜、椎茸ですよね〜。
というわけで、煮物椀は淡路のハモと高野山富貴の松茸!うわあ〜!超出会いの物だ〜!うまいうますぎると埼玉人化してしまうほどうまい。
上の葉っぱはコブミカンで、タイ料理とかでよく使われるモノです。葉をちょっと香ったりなめたりすると松茸の香りと不思議に絡み合って、なんて素敵にエスニック。
福島の冩樂 純米吟醸 なごしざけですって。半分磨いた吟醸なのにコメの旨味が豊かじゃありませんか。福島と山形の食べ物とお酒はなんかしっくり来て好きなんですよ。
寝かせたカマスのお造りにどっさり降りかかるのは大根ならぬ紅玉りんごおろし!そして自家製イクラ!
この辺で山廃とか少々荒々しいモノとお願いしたら和歌山の車坂 山廃純米が登場しましたよ。
たしか前回もいただきましたよね。あまり減った感がないので、もしかして人気低め‥?よし、山廃や生酛を偏愛する者として頑張って飲まないと。
力強いお酒にピッタリなのがお店の名物、イワシの辛煮。5時間かけて煮たり冷ましたり、手間ひまかけたお味はまさに佳肴。
京都の小松菜と六甲揚げ。黒七味がふりかかって京情緒〜。
独特のじゅわっとトロっと来る感じ、コレって松山揚げにソックリだけど何か違うんですか?と聞いたところ、六甲揚げの方が煮ても形が残りやすいんだそうです。なるほど、松山揚げはテロテロになるもんね。
某マンガで見た汲み出し豆腐とザル豆腐みたいに、味でなく使い勝手の違いみたいなものかな?
えっ、もしかしてまた椎茸の気配が!なんと今度は岩手県産の松茸がまるっとフライになって出た!
大将「なんだかんだ松茸そのものを美味しく食べるにはコレが一番なんですよね」
身もフタもないこと言った!でも間違いないな。シャオっとかじるとあふれ出す松茸の香り、シャキシャキのキノコからとび散るウマい汁。
ご飯や汁ではムチムチした食感になるし、焼き松ではここまで汁ぶしゃーにならない。松茸をキノコとして全力で楽しむにはフライ!覚えました‥けど、家では無理〜。
範馬勇次郎の好物メフンが登場。ジャガイモのインカの目覚めと卵黄という面白い組み合わせ。メフンっていわゆる血合いだけに全力で血の味ですよね。さすがオーガは血が好きなんだなあ。
明石の天然モミジダイ炭火焼きと秋茄子のすりながし。その上の千切りは‥松茸、お前松茸じゃないか!今日何回会うんだ!
香ばしく焼き上げられたタイに生の松茸だなんて、なんたる香りのドルビーサラウンド。お椀、フライ、生と三種の松茸を楽しんでしまった。例えば今日寝てそのまま目覚めず逝ってしまったとしたら‥割と悔いなし系?
これより食事モードなので芋に移りましょう。小鹿 本にごりなんていにしえの味そのままのお酒を出してくれます。
おなじみ鯖寿司は柴漬けと山椒の実入りの二切れ。
友人「毎回どっちが好きか自分の中で戦って、だいたい紫蘇がない方が勝つけど‥今日はどっちもおいしい!引き分け!」
お、おう。楽しそうでなによりです。そうですね、どっちがうまいかと聞かれれば両方ですね。
去勢鶏シャポーンさんの風味豊かなスープにフカヒレと玄米麺。シメというにはあまりにも酒が欲しくなる、ので、
芋をもう一杯もらっちゃおう。呑酔楽さんはこちらで何度かいただいて好みの味なんですが、地元では見つからないのでござる。
水菓子として洋梨とミニサイズの柿。スプーンまで冷え冷え、ちべたくて甘くてサッパリして、まさにデザート。
ケシの実まんじゅうの中身は愛媛チェスナッツと和三盆。チェスナッツ、つまり栗ですが、のび太が増やしつづけた栗まんじゅうとはちょっと違う。
しかし和三盆って砂糖はベタつきゼロの涼やかな風味だなあ。干菓子を見ると必ず買ってしまうけど、アンコにしても素晴らしいのね。
友人がちっちゃい柿をもらって喜んでいた。いや〜、松茸祭りはもちろん他の料理も大変な佳肴で大満足です。でも来月の11月はぼくも友人もなんだかんだで忙しくて予定が合わなそうなんですよ。
大将「12月がウチの10周年なんで、ぜひ来てください」
まだ2年くらいしか通ってはいませんが、10周年のお祝いには馳せ参じたいですね。それでは12月の○日でお願いします。
というわけで10周年の佳肴をいただくことが確定しました。次回です。
佳肴 岡もと 京都府京都市東山区常盤町470-4