
「急なんですが、明後日の夜にとだかさんの予約を持っているんですがいかがでしょう」
この上もなく急なお誘いをしてくださるのはゲーム作家のO尚さんではないですか。
とだかさんって、予約2年待ちと言われる五反田の「食堂とだか」さん?そういえば2年前、やはりO尚さんに連れて行ってもらったような‥あ、あの時の帰りに予約していたヤツですか!
わずか2日前の夜、しかもド平日、しかもしかも東京!ぼくグンマなんですが‥でも激レアで激ウマなメシのチャンス、万難を排して馳せ参じます。ホントはヒマなんでゼロ難なのは秘密だ。

五反田駅の東口を出て目黒川沿いへ向かい、五反田ヒルズという少しあやしげなビルの地下。スナックや立ち飲みの小さな店舗が揃う中、

やっぱりスナックにしか見えない一軒が食堂とだかさん。予約2年待ちの超人気店とは思えませんが、ここなんです。入口のドアにはワンピースの主人公っぽい人が直筆で描かれていました。読んだことないのでキャラ名は知りませんが、とにかくビッグな作家も来るほどのお店ということだな。
カウンター9席のみ、6時からと8時半からの1日2部制。16,000円飲み放題つきおまかせコースになります。足りなかったら追加注文できるという話もありますが、コースだけでお腹いっぱい確定なので都市伝説の域を出ません。

まさしくスナックのような狭いカウンター9席。18時と20時半の二部制なので一日に楽しめるのは18名まで。本日は20時半の部を9名で貸切です。O尚さんは貸切大好き。
一皿目の準備が着々と進んでいるところ、参加者の一人が「撮影しても大丈夫ですか?」と問うと、店主のとだかさんはギロリと睨み‥
とだかさん「そういうことされるとね〜、困‥らないですよ。どうぞどうぞ、バンバン撮ってバンバンアップしちゃってください」
とニッコリ。撮影だけでなくSNSへのアップまで推奨です。バンバン撮らせていただきましょう。

みかんとビールの「とだビアーノ」なんて乾杯にもってこいな飲み物もありますが、すみません日本酒でお願いします。
O尚「お腹いっぱいになるまで帰さないどころか、お腹いっぱいになっても帰してもらえないとだかさんの会、楽しみましょう。かんぱ〜い」
ええ、気合いを入れるためお昼を11時くらいに済ませちゃいましたからね。二年前は無念のお持ち帰りだったので今回は負けない!かんぱ〜い!

初手は名物のウニon the 煮卵。鶏の卵に鮭の卵にウニの生殖線。生命の集合体を一口で頬張れば、食のありがたみが身体中に染みる。ああ、いきなり幸せだ。
「お皿に落ちたイクラはそのままにしておいてください」だそうです。

お次はカツオフライにタルタル。そして先ほど余ったイクラをかけて仕上げ!がっついてしまってイクラかけ後の写真忘れた。
カツオをフライに?と思ったけど、カツオ独特の風味と衣がピッタリ合ってうまいもんですねえ!しかし‥店内BGMがサザエさんなんですけど、なんで?
とだかさん「イクラとカツオですから」
な‥なるほど?いや、なるほどでいいのか?

飲み放題メニューの日本酒、この日の三種。姿に一本義に越前岬とイカしたところが揃います。最近は週に一度くらいのペースで姿を飲んでいるかもしれない。

お次は‥7月末というのにあの香りが漂っているじゃないか、松茸!なんと松茸と牛スネ肉と冬瓜のお椀!松茸と冬瓜は椀種の代表ですが、まさかスネ肉がドカンと入るとは。
どれだけ煮たのか、ホロホロほぐれるスネ肉の旨味たっぷりなところに松茸と出汁の風味‥和洋のうまいものが揃いましたね!これはお酒が進んで仕方ない。
ところでなぜ音楽がどどどどどどどどドラえもんなんですか?
とだかさん「スネ肉でスネ夫と思ったんだけど‥ダメ?」
な‥なるほど?なるほどなのか?
お客を楽しませようという気持ちがあふれ、とうとう料理に合わせたBGMまで流すようになったようです。雰囲気に合わせたワケでなくダジャレ方面ですが。

お造りはたっっぷりのアイナメにたっっっっぷりの薬味。とだかさんに引き算の美学はナシ。うまいものを足して足して足しっぱなし、究極の足し算です。
とだかさん「次は茶碗蒸しなんですが、もっと美味しくできないかと色々試して、モツがピッタリじゃないかと発見してしまったんですよ。我ながら天才じゃないかと」
あっさり代表の茶碗蒸しに‥モツ?

もつ鍋をイメージしたという牛モツ茶碗蒸しニラあんかけ!
ニラのあんは本当にモツ鍋のスープのような味、そして茶碗蒸しの中にはプリンプリンのモツがたっぷり!茶碗蒸しは汁物扱いする人がいるくらいだから、モツ鍋風スープとして扱うのもアリなのか!
こいつはとんでもなく美味しいです。ぼくの中では本日のMVP。とだかさん、間違いなく天才です。

コッテリ茶碗蒸しの後は口直しでしょうか、スッキリとすだち素麺。汗がスーッと引き、舌のお酒をきれいに流してくれます。
‥そしてニシンのような魚を炙り出すとだかさん。お店のBGMがスシ食いねェ!に変わったぞ。ということはお寿司が出るの?

ホントに寿司だ!ニシンの炙り寿司だ!うわぁ〜!生とか酢締めのニシンは大好物なんですよ!海苔まで寿司屋さんもビックリの美味しさだなあ。
さっき茶碗蒸しがMVPと言ったけど、こちらも優勝決定戦に残る勢いだぞ。こんなうまいものばかり出してくれては困ります。

BGMが粉雪に変わり、チーズをおろし始めるとだかさん‥分かりやすい選曲ですね。しかし料理は分かりやすくないと言うか未知、ゴボウ豆腐とウナギのチーズかけですって。ちょっと待ってください。こんなにチーズをかけてしまっては粉雪ではなくドカ雪です。
ゴボウとウナギは柳川ということで分かる。そこにドカ雪チーズって‥‥バカうま〜い!コッテリたっぷりうまいところにどっさりチーズ、まさに足し算‥いや掛け算だ。うなぎ×チーズ重量=破壊力!
破壊力といえば、一品一品のボリュームも破壊的だ。準備を整えてきたとはいえ、さすがに胃袋から警報音が聞こえてきましたよ。

ここでシャインマスカットと白和えの最中が出ます。スッキリした甘味でなんだか満腹感が緩和されたような‥気がしていいのだろうか。

さらにスッキリさっぱり、鮎とキュウリの酢の物が登場。この上もなく夏じゃありませんか。記憶違いでなければ四万十川の支流目黒川の鮎と言っていた気がするので、きっと京極さんも泣いて喜びます。
‥BGMは浜崎あゆみでした。あゆですからね。

前回食べて意外さとおいしさにビックリした甘納豆チーズ餅・さくらもち風味が登場。チーズの塩味と甘納豆の甘味の綱引きがたまらなくおいしい。この味のアイスがファミマで出たんですよね。
とだかさん「アレは売れませんでした。甘納豆のね、納豆という文字がいけなかったみたいですね」
そうか、あっちの納豆をイメージしてしまうわけか‥世の中って難しい。そういえば浜納豆と甘納豆を間違えてケンカ別れしそうになったなんてマンガもありましたね。

満腹警報が鳴り響く中、とうとうご飯ものまでたどり着きました。本日はとうもろこしご飯&とだカレーだそうです。炊き立てご飯と共に決めポーズのとだかさん。
とだカレーといえばBitSummitで販売していましたね。本日のメンバーの半数くらいはBitSummit参加者ですよ。
とだかさん「今年はハンバーガーに持って行かれて売れませんでしたよ。去年は結構出たんですが」
「ぼくは去年も今年も食べましたよ」とは、お隣に座っていたM社長。さすがエラい!ぼくはすみません、会場から離れた所でトンカツ食べてた。

大盛り・中盛り・小盛り・お持ち帰りと選べるところ、がんばって中盛りをお願いしました。甘味たっぷりのとうもろこしご飯に昔ながらのポークカレー。うまいうまい、さながら高森朝雄の原作に対するちばてつやの絵、トマトとモッツァレラのようなハーモニーと味の調和!
ほとんどの方が小盛りか持ち帰りを選ぶ中、果敢に大盛りに挑戦していた方は‥次のメニューを見てくじけてしまいました。3分の1くらいお持ち帰り。もう少しでしたね。

なぜくじけてしまったかと言えば、デザートがキウイ丸ごと一個にアンコと皮をかぶせたドデカフルーツ大福と知ってしまったからでした。
これは皮が柔らかいうちにやっつけなくてはウソだということで、しっかり胃袋でお持ち帰り。お酒を減らしてからというもの、本当に胃の調子が良いです。良すぎてブクブク太っています。助けて。
でもさすがにもう下も向けない、歩けない。満腹オブ満腹だ。
いや〜幸せだった!最後にO尚さんが次回の予約を入れていましたが‥3年後って聞こえたな。2年が3年に伸びてんじゃないの!
うまくて楽しくて満腹以上でお酒もたくさん、それでも16,000円というお得にもほどがある価格。特にとだかさんの「楽しんでおらおう」というサービス精神が素晴らしいので、これは3年待ちもやむなしというところ。
O尚さん、次回もうっかり声をかけてもらえれば平日でもなんでも飛んできますのでよろしくどうぞ。
食堂とだか 東京都品川区西五反田1-9-3 リバーライトビル B1F