50年以上、部屋も女将さんも当時のまんま!奇跡の聖地についに到達!ここが「長八の宿」の「長八の間」だ〜! 長八の宿 山光荘(賀茂郡松崎町)

一人旅ブログということで始めたコレ、珍日本紀行を片手にB級スポットや動物園をめぐり、宿でつげ義春の貧困旅行記を読む・・

ああ、つげ義春の聖地巡礼とか最近お留守よね。行きますかーッ!

思い立ったらすぐ転移、西伊豆の松崎町を訪れていました。「長八の宿」聖地巡礼ということで、長八記念館と伊豆の長八美術館に来たのが2016年の冬だったかしら。

一度来たところになぜまた・・というのがですね、前回「一人旅プランがない」となげいていた「長八の宿」のHPをホイっと見たら、いつの間にやら「長八の間」までおひとりさまOKになっていたのです。そんなの即予約するでしょ!

長八美術館やなまこ壁通りの近くにありました「長八の宿 山光荘」さん。いきなりマンガの海風荘そのまんまの門!看板の形まで同じでさあ大変。

ガラガラと引き戸を開けると・・なんとなんと、つげ先生宿泊時からずーっと・・50年以上現役である女将さんがお出迎えしてくださいます。10年くらい前の新聞記事で85歳だったので90代後半でしょうか。かくしゃく・・いや、まさに凛としていて、宿泊当時つげ先生が卒倒しそうになったという美貌の片鱗がうかがえます。素敵だ・・!

女中頭のお金さんではないでしょうが、溌剌としたベテランの方に部屋まで案内していただくことになりました。エッチなトヨちゃん・・?ではないよな。

あちらがお風呂、今日はお客様だけなんですよ〜なんて説明していただいている途中に「お客様おタバコは召し上がる?」と。

どうやら喫煙所が屋外ゆえの質問だったようですが、「おタバコを召し上がる」・・なんかロスト目前の美しい日本語を聞いたようで・・旅情〜!

「長八の間とはどういう意味かしら」と言いたくなるこの入口!

ぼくは今・・長八の間に足を踏み入れているところなんだな・・

「階段が急でごめんなさいね、あ、頭も気をつけて」と言われた階段、もしかしてコレって・・

白黒にしたらアレだよ!「倉の中ですか」と主人公が登っていたあの階段!

気をつけてと言われながらも天井が低いところに2回くらいぶつけまして、しっかりタンコブを作りました。

ぎゃー!「やあ、なかなかこった造りではないか」としか言いようのない、まるっきりあのまんまの部屋!

「お客様はこちらをどこでお知りになりました?」

はい、いちいち妙な反応をしていたのでバレていたとは思いますが、つげ義春信者です。

「アハハ、ファンの方が結構いらっしゃるんですよ。女将が喜ぶので伝えておきますね」

やはり白黒にするとマンガの再現度の凄さが分かります。「貧困旅行記」で「なんだか永久保存されそうな」とつげ先生が言っていました通り、完全保存ですよ。

ゲンセンカンのモデルになった大滝屋さんなんてバリバリにリフォームされていましたが、それが当たり前ですよね。つげ先生の宿泊がたしか昭和42年でしたか、電気周り以外ほぼそのまんまは奇跡、奇跡〜!

お手洗いは倉の一階にあって、引き戸は古いまんまだけどしっかりシャワートイレでした。

マンガと実際の部屋を見比べるのも楽しい。フスマの揮毫は右から2枚目と3枚目が入れ替わっているのだなあとか。

長八の間でお茶をすすりつつ「長八の宿」や「貧困旅行記」を読む・・旅はいいものですね。こういうところをひと目母にみせたかった。

おおそうじゃ、天才の左官屋さんたる伊豆の長八の作品を拝見しないと。

これがそれですか、ウーム見事なものだな。さすが当家のほうが一番立派なだけはある。

阿の虎がいれば吽もいます。こちらの虎さんはよく覚えておきましょう。

なんてかっこいい電話の置き物と思ったら、9番を回せばフロントにつながるらしい。現役か!

控えの間もなかなかこった造りではないか。つげ先生はざっくり4畳8畳と記憶していましたが、3畳10畳のようでした。

「お客様〜、女将が本を見せてあげてというので、階段のところに置いておきますね」

あらどんな本かしらと取りに行ったら驚くじゃありませんか、長八の宿が掲載されたガロの1968年1月号!英語版つげ義春選集!マニアックすぎというか、推しの供給が過剰だよ!

こんな貴重な本を読んじゃっていいものか・・恐る恐る開くと鬼太郎が出てきた。つげ先生の旅ものと鬼太郎夜話を同時に読むことができたとは、ガロよ・・!

「小さい囲炉裏のところに色々あるから見てくださいね」とも言われたので行ってみましょう。小さい囲炉裏ってここかな?談話室とでもいうのだろうか。

ありゃりゃ、この鹿のツノとテレビはデジャヴ・・そうだ、マンガでパンフレットを朗読しているシーンにあったヤツとおんなじだ!こんなモノまで残っているのか。

長八の作品も飾られていますが、ガラスケースに反射してうまく撮れませんでした。

奥のショーケースはまるっきりつげ義春コーナー!うおぉぉぉ!

つげ先生活躍時のガロがズラリ!「長八の宿」を描くきっかけになったという山光荘のパンフレット!そしてなんとなんと、毎年届いているというつげ義春先生直筆年賀状がぁぁぁ!

長八の間にある虎・2010年版だ!そしてコマツ岬のおじさんがやたらゴロゴロしている。

クラゲに噛まれたアイツが李さんの風呂に入っているなんて〜!

あ、先生だ。シリツはいいからお医者さんごっこをして下さい。

ジッさんがデーンのポーズぅぅ!丸い鼻の男とジッさんが義男の青春の「うわァうれしいわァ」をやっているぅぅ!センターは義男か?自画像か?

ありがたやありがたや・・この年賀状を見るためだけでも宿泊する価値があります。

しかしこれだけでは終わらないのが恐ろしい。だって温泉旅館なんですからね。貸切ということですし、ひとっ風呂浴びましょう。

うわわ〜、温泉もマンガに出てきたまんまの岩風呂じゃないか。窓を開ければジッさんが「おめハイライト吸うか」と飛び出てきそうだ。

温泉成分が周りの石にビッシリこびりついていかにも効きそう。この辺では珍しい芒硝泉で、高血圧に効能アリだそうです。温度は高めだけど当たりが柔らかい。湯冷めもしなくて非常に良いお湯でした。

ちなみに富士山はデーンどころかまるで見えません。ジッさんめ、謀ったな。

会計時に女将さんが「ファンの方にお渡ししているんですよ」と手渡してくれたのは・・なんと例のパンフレットのレプリカ!

裏面の説明文を読んでビックリ、ほとんどそのまんまマンガに使われているじゃないか!マリちゃんの名文に元ネタありとは・・やっぱり聖地には来てみるもんですよ!

こんなわけで予想の上の上をいく第一級の聖地なのですが、実は食事もしっかり美味しい。次回でご紹介します。

長八の宿 山光荘 静岡県賀茂郡松崎町松崎284

6年前の長八美術館

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