夏になればやりたい迷亭ごっこ。町の老舗でせいろ二枚をずるずるちゅうとやってのけましょう 美むら庵(大泉町・西小泉駅)

暑い日が続く思わず手が伸びる麺類。家では素麺、外ではやはりそばですかね。冷やしたぬきなんて天才の発明。それではさっそくと思ったけれど、休肝日を設けてから胃が元気でして、冷やしたぬき一杯ではちと心許ない。

もっとも「坊つちゃん」のように天麩羅四杯はさすがに無理だな。そもそもありゃ熱いそばだろう。坊つちゃん・・そうか、「吾輩は猫である」の迷亭氏がせいろ二枚をやってのけたのは夏だったな。よしよし、今日のランチは二枚、二枚。

しかし近所にあったかな?最近はデカ盛りとか言ってやたらと盛り上げるのが主流で、重ねそばをめっきり見なくなった気がする。脳内ライブラリを検索・・一件ヒット、行ってみましょう。

やって来たのは大泉町のパナソニック工場近くにあります「美むら庵」さん。40年くらいこの地にあるらしい老舗です。11時から開いているのもありがたい。

駐車場がお店の前3台分しかないのが玉に瑕と思っていたら、今回初めて裏手に広い駐車場があったのを知りました。

カウンター席に座ってメニューを見れば、ほらほらあったよ、当店サービス品!肉汁そば2枚で900円、鴨汁でも2枚で1000円と間違いなくサービスが過ぎる!そもそも今どき手打ちのもりが500円だよ?

しかしなあ・・厨房から漂うカレーの香りがたまらんのよな。誰だっ、カレー南蛮なんか頼んだのは!こっちも食べたくなるじゃないか!

なんだかソースの香りも漂っているんですけど、もしかしてヒレソースカツ重を頼んだ方もいらっしゃいます?グッドスメルの揺さぶりが強いところを初志貫徹、鴨汁そばを2枚でお願いします。

おばちゃん「ごめんね、今日は鴨さんがいないから肉汁になっちゃうの」

あ、鴨さん不在!そいつは失礼しました。では肉汁2枚で願いま〜す。

たしか出前もやってくれましたが、この日は大繁盛で電話に出ることもできない様子でした。そんなわけでちょっと時間がかかり約20分で肉汁そば2枚が登場です。おじちゃんおばちゃん二人だもんな。

見るからにみずみずしく、夏のそばというのに犬もまっしぐら間違いなし。打ち立てはありがたいな。蕎麦の延びたのと、人間の間の抜けたのは由来頼母しくないないもんだよ。とか呟かずにはいられません。

箸をむざと突き込んでしゃくい上げれば、どうですこの長さは、と言うほどでもないちょうどいい長さ。思わず汁をつけずにすすってしまった。ずるずるちゅう。

ふあ〜うまい。十割だとか一番粉とか難しい話は関係ない、毎週食べても飽きない普段使いのそば。とくにのどごしがアレだ、「咽喉を滑り込むところがねうちだよ」というところ。

昔は美むら庵さんと言えば「汁が辛い」というウワサでした。煮ぼうとうを煮こむための甘い汁がメインであったこの辺りに、そばの半分くらいにつけて美味しい汁を教えてくれたパイオニアと知ったのは大人になってから。

今度は間違いなく肉汁に浸します。でっかい器なのでアーキミジスの理論が適用されてもこぼれることはありません。

ああうまい、カツオの旨味に良いアブラが効く。肉のついでに入った天かすが良い仕事をしてくれます。そば屋さんの天然天かすはまことにうまい。

肉とそばをまとめてずるずる。こりゃ一枚なんてあっという間だね。

2枚目突入、ネギを半分入れて七味も投入だ。熱い汁のためかワサビがつかないので「そばは汁とワサビで食うもんだあね」まではマネはできません。

2枚目となってもシャッキリ感を保ってくれて嬉しいじゃないか。盛り上げ式は下部がベトベトになりがちだから、やはり重ねそばが正解なんだな。

後半戦の汁はアブラがなじんで美味しさが加速しているようだ。うまいうまいと猛スピードですすりこむ様は迷亭というより中松警部のよう。

せいろ2枚をやってのけたらそば湯タイム。残り半分のネギを投入して注ぎます。そば粉を足したりしないリアル茹で湯で、ちょうど立て込みの時間であったため最適な濃度。は〜美味しい。

いや〜、2枚で食べると「そば食べた〜」という満足感がすごいですね。これから重ねそばを求めて三千里…はちと面倒なので、とりあえずこちらに寄せていただきましょう。次は鴨さんがいるといいな。

美むら庵 群馬県邑楽郡大泉町大字古氷11

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