見た目は町のおそば屋さん、出てきた鴨汁は‥ちょっと待って、この濃厚な鴨の味は事件だ!本鴨か、本鴨だからなのか? 日乃出(川越市・笠幡駅)

「珍しくどこにも行かないの?生姜焼きとトンカツ食べたいからサイボク連れてって」

たまにゴロゴロしていると確実に捕まえに来るのは母じゃないですか。でもサイボクなら行く、行きますとも。

豚肉やらソーセージやらをしこたま買って、しばらく豚肉三昧だぞ。買い物を終えたらおおむね11時。ここのレストランは非常にウマいけど非常に混むし、そもそもこれから豚肉祭りだしやめておくか。

母とぼくの共通の好物であるそばがいいかな。グーグルマップを開いて周辺のそば屋は‥と。

ふむふむ、車で10分くらいのところに知らんお店があるようだ。前を通ってピンと来たら入ってみましょうか。

え〜と、そろそろお店が‥じぇじぇじぇ、「手打そばと本鴨」なんてでっかい看板があるじゃないのよ。ピンどころかビンビン来たよ!入るよこんな店!

こう言ってはなんですが、ホントに本鴨を取り扱っているようには見えない‥いわゆる町のそば屋さんに見えますが‥いや、こういう所こそ隠れた穴場なのかもしれん。「日乃出」さんに入店です。

どうやら一番乗りのようですね。長いテーブルに普通のテーブルに小上がり席も充実、見た目の印象より大きなお店だ。そちらにどうぞと案内されたテーブル席に座ります。

メニューを開けば一番に「青森県産本鴨」の鴨汁そばです。こりゃ悩む必用なし。さらにガツンと鴨汁二段もアリだな。

母「私は野菜天もり

こんな鴨推しのお店でもいつもの天もりですか。ブレませんね。

母「鴨好きじゃないし」

小雨がチラつく花冷えの日、あたたかい本鴨南蛮そばもアリかもしれん。

黒板やら別ファイルやらでやたらと推してくるのが鴨汁そばと季節の天ぷらセット。そば屋で天ぷらを頼む率が低めのぼくですが、ここまで推されるとなんだか食べたくなってきた。よし、コレをお願いしよう。

ほうほう、只今のそば粉なんて表記もあるのか。音威子府村のキタワセ。強い甘味が特徴、加水加減が難しく、打つスピードが求められる。石臼を調整し少し細かく挽いています・・なんでしょう、この情報量。楽しみになっちゃうじゃないか。

8分ほどで登場、鴨汁そばと季節の天ぷらセット!これはご馳走な雰囲気だぞ。

音威子府のキタワセそばは揃った切幅、角に透明感があって瑞々しい見事なものです。

刻まれたミツバやネギが見える鴨汁からは魅惑的な香りが‥コレはイカん、トンデモ級の破壊力を秘めているかもしれん。

天ぷら用の塩をちょいと振ってひとすすりしてみましょう。ずずー。

いいですね、香り控えめなれど見た目の通り素晴らしい喉ごし。冷水でビシっと締まって清々しいったらありゃしない。

天ぷらは鱚・ウド・新玉ねぎと全力の春仕様です。ふんわり軽い衣はオンザ熱いそばでなく単品仕様ですね。塩をちょんづけして食べると新玉ねぎの甘味がすごい。いやこりゃンマイや。

それではそばを鴨汁に投入。どのくらいかな、半分くらいでいいか。ずずっとね。

‥なんだなんだ、口の中で何が起きたんだ。うまい、うますぎる!鴨汁そばは好きでよく食べますが、鴨の風味の濃厚さでいえば過去イチ、ダントツだ!

鴨を焼いて細かく刻んだことで旨味の抽出がエラいことになっているのか?青森の本鴨の風味がとんでもないのか?その両方か?

こいつはたまらん。醤油の香りが立つ辛汁だけど、どっぷりつけなきゃもったいない。とにかく鴨に溺れたい。

鴨を楽しむためによく噛むと、今度はそばからじわじわ甘味が…これは大変な組み合わせだぞ。

噛んですすって、瞬く間にザルは空っぽ。汁の一滴も逃さじとそば湯を投入します。最初の客だからほとんどお湯だけど、むしろ鴨の邪魔にならず嬉しいじゃないか。

いや〜びっくりした。勢いで入ってこんな鴨汁に出会えるなんて。コレは汁増量の鴨汁二段を頼まぬ手はない。次回サイボクの帰りもここでいいやね。

母「おそばも天ぷらもおいしかったからいいんじゃない」

そう、そばも天ぷらも立派なものでしたね。しかしとにかく鴨汁!つまみメニューに鴨焼とかつくねがあったから、その辺と鴨南の抜きで飲んで鴨汁そばでシメ‥やりてぇ〜!車じゃなきゃ来れねえ〜!くそ〜。

日乃出 埼玉県川越市笠幡4885-5

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