「煮ぼうとう」しかありません!北関東ネイティブが過ぎる味付けと名産の深谷ネギが光る!はい、文化遺産確定です 麺屋 忠兵衛 煮ぼうとう店(深谷市血洗島)

設けてしまった休肝日。近所の肉屋さんの巨大串カツ(衣6割)2本をカツ丼仕立てにしたところ、圧倒的満腹感により飲酒欲求を抑えることに成功。

・・だが翌日になっても胃が重いのは当然の流れであった。さて昼メシ時ですが・・どうしよ。軽いモノ軽いモノ・・そばor寿司?なんかいつもその二択だね。

おおそうだ、温かいうどん、北関東民の胃に一番やさしい煮ぼうとうなんていいじゃないか。行こうと思っていたまま積んであるお店に行ってみよう。

帝都を霊的に守護すべく改造に立ち上がった巨人、ではない、一万円札デビュー間近の大実業家である渋沢栄一翁の生家、中の家(なかんち)のお隣にあります、

麺屋 忠兵衛 煮ぼうとう店」にやってまいりました。立派な古民家は渋沢家の大番頭さんの家だったそうです。「中の家」の駐車場も使えるのでそっちがオススメです。土日は交通整理の方もいるし。

あ、にゃーさんいたにゃーさん。猫って車のバンパー好きだよね。やけに人に慣れていると思ったら、お店の前に毛布入りの段ボールがあるから看板猫さんなのね。店内には入らないようでお利口だ。

一人である旨を告げると、入って右側のテーブル席に案内していただきました。左側のお座敷には栄一翁揮毫の掛け軸があるそうで、帰り際にちらっと見ました。

メニューは煮ぼうとう、以上!あとはとろろご飯とドリンクをつけるや否や。すごい、「タンメンしかありません」みたいだ。もしかして銀河系一うまい煮ぼうとうが出ちゃうのか。

地元の大和芋使用のとろろご飯もうまそうだけど、カツ丼の罪悪感が少々残っている。煮ぼうとう単品で願いま〜す。

「渋沢栄一について色々書いてありますので、ぜひ読んでください」と店員さんがおっしゃるので、読む。

ホントににぼうとが大好きだった説、地元の人が気を使わないよう「にぼうとが一番」と言っていた説などあるのですね。他の本で「毎日食べるのはオートミール」と見たような気がします。なんだそれ、ホントに江戸時代生まれの日本人なのだろうか。

煮ぼうとう!甲州のほうとうは味噌味ですが、北関東のにぼうとは醤油味。具材がテキトーな野菜メインというのは農村メニューらしく共通で、向こうに必須のカボチャはあったりなかったり。

こちらの品は白菜ネギ人参といった野菜をメインに油揚げや鶏肉のタンパク質部隊、そして薬味にミツバと今どきとしては素朴、でもにぼうと的には少し高級という雰囲気ですね。

ちなみにグンマではにぼうとを「おっきりこみ」と呼ぶそうなんだけど、少なくともぼくの周辺では聞いたことない。やっぱり「にぼうと」か、単に「うどん」って言っているような。おっきりこみ文化圏ってどこなんだろ?

汁だけひと口すすろうとしたら白菜が迷い込んでくるほどの具だくさん。

ズズッとひとすすりして、激しく困惑。え・・えぇっ?なんだこれ、ウチのにぼうとの汁じゃん!いや、よく味わうと昆布やら椎茸あたりの出汁がしっかりして、もちろんこっちの方がウマい、けど!

煮込まれた麺の粉と野菜の甘味と醤油が醸し出す、少しトロみのある甘辛汁が完全に北関東のソレだ!子供の頃から親しんだ超ネイティブな味だ!ちなみにスイトンや雑煮もこの汁です。

麺は本来のひもかわ幅でもっちりピロピロ、とてもおいしい。ヤワヤワながらわずかにグルテンを感じるような、このくらいの煮込みがちょうどいいよね。

ネイティブの「にぼうと」は打ち粉ごと入れた幅広うどんが完全にコシを失うまで煮込まれます。さらに恐ろしいのが、残りを翌朝にまた煮て(立て返し)、ドロドロになったうどんスライムをご飯にかけて食べるという・・なんと、その二日目こそが本番と見ているフシがある。いや、カレーじゃないんだから。栃木のしもつかれ並みに好き嫌いが分かれる食べ物です。

うどん以上にドサドサと入った具がちゃんこ鍋を食べているようで楽しいなあ。好物の油揚げとゴボウもあるじゃないか。鶏肉もあるし、もしかしてスーパーバランス栄養食なんじゃないか?

決め手はやっぱりご当地名産・深谷ネギ!巻きのしっかりした上物で甘いのなんの。あまりにうまかったので、帰りに見かけた露店で深谷ネギを買ってしまった。

口直しは深谷産の長芋の漬物です。こちらは昆布が利いた上品な味。

ネギや野菜の風味がたっぷり出た甘い汁には七味がよく映える。

一万円札や大河ドラマが決まってから開店、つまり見た目よりずっと新しいお店らしいけど、こんな素朴な郷土の味一本で勝負とは思い切ったなあ。次々とお客さんが入ってくるあたり、やはり本物は強いということか。北関東伝統の味をいつまでも。

とろろご飯もいいけど、裏メニューで二日目のうどんスライムかけご飯セットとか出せば、お好きな方にはたまらないのでは・・あ、ぼくは遠慮しておきます。

半生の煮ぼうとうと長芋の漬物を買って、大満足でお店を出ます。あ、看板猫さんはお昼寝タイムですか・・あれれ、もうすぐ正午の書き入れ時ですよ?もしもし?

麺屋 忠兵衛 煮ぼうとう店 埼玉県深谷市血洗島247-1

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