
祇園で石焼親子丼を堪能して、馬券も千円負け程度に抑えることができまして、いや〜良い一日だったな‥と締めくくるのはまだ早い。今回の旅のメインイベントが控えているのです。

決戦の地は‥はい、いつもの所です。今年9回目だったと思う「佳肴 岡もと」さん。
京都の友人が10月頭に接待みたいな感じで利用して、お客様も本人も大満足だったとか。そうだね、このお店で喜ばなかったら後は知らない。
そして今月メニューの写真も少し見せられてしまったけど気にしないわ。ネタバレだってお気に入り。

カウンター8席は今日も満席。料理はおまかせコース一本なので、注文は飲み物だけとなります。ひと口生ビールで始める方がほとんどですが、ぼくは例によって日本酒スタートだ。
まずは三重の銘酒である作(ざく)和悦。飲食店限定で市販はしていなかったと思う。青リンゴのような香り、そしてとんでもない透明感。黄色くて五臓六腑に染み渡るお酒とは違う、綺麗でシュッと入るお酒です。

京丹波の栗のすりながし。栗とゆずのオイルが風味を添えます。なんと言えばいいのでしょう。すごく栗で‥栗です。ポクポク感ゼロでダイレクトに栗風味が流れ込んできます。いきなり全身に秋が駆け巡った!

長崎産車海老とカワハギ。ウニ醤油とカワハギの肝でいただきます。車海老に肝をつけると狂おしいほどうまいじゃないか、どうしよう。新銀杏も美しくてうまくて。

ここはコメを感じるお酒が欲しい。出ましたのは長崎の飛鸞 彩道。ガス感も酸味もそこそこ強い、コメのうまみはもっと強い。道理でアルコールは14度と低めなんだ。長崎のお酒ってあまり飲む機会がないけどうまいもんですねえ。

あっ、このススキのお椀は覚えがある‥そうだ、3年前の10月に初めて来た時もこのお椀だった。そしてフタを開けたらあまりの素晴らしさにカカってしまって、肝心の料理を撮り忘れたのだ。
今回はしっかり撮影するぞと決意も新たに、オープン・ザ・フタ。

出た〜、淡路産ハモと岩手産松茸のお椀!3年前も松茸だったんだ‥10月のお約束なのか。まあ秋の椀種の王様だもんな。極上の出汁に泳ぐハモと松茸!大好物の土瓶蒸しコンボでしあわせ一直線。
岡もとさんがヤケクソで入れたという松茸は、確かにどうかしている量。香り松茸味シメジは嘘です。香り松茸味松茸、ついでに食感も松茸に限る。

秋パワー200%のお椀と戦えるのは、やはり秋のお酒であるひやおろし。茨城の来福 純米ひやおろしにご登場願いましょう。何だったかな、とにかくお花の酵母で醸したというお酒です。華やかすぎず、熟成による穏やかな香りと旨味。まろやか〜。もう一丁いく?押忍!

今度は魚に炭を直接押し当てています。一体何が出るのやら‥もうもうと上がる煙の匂いだけでお酒が飲めそうな感じね。

カマスの炭火炙り 紅玉りんごのみぞれ和え 自家製イクラ。
香ばしさこの上ないカマスに大根おろしならぬりんごおろし!旨味と酸味でさあ大変なところにイクラの丸い塩気が加わってどうすんだコレ。うまい、うますぎる。

コレはもう‥あの、石川のあの辺のお酒を‥
出ましたものは菊姫 純米ひやおろし。菊姫とは思えないフレッシュさが紅玉の爽やかさによく似合う。

さて、ここから岡もとさん式八寸タイムですが、いつもの石皿ではなく朱塗りのお盆と小皿で登場。まずはおなじみイワシの辛煮です。
酢などを使って計5時間ほど煮て、本枯節をまぶされたイワシ。酒の甘味を酸味が洗い、旨味が次の酒を呼ぶ。佳肴の代表みたいな一品だ。

皮鯨のおばんざい風。お揚げさんなど入るとおばんざい感大アップ!京都らしい七味が嬉しくてメガネが曇ります。

塩水入りのエゾバフンウニと明石の海苔佃煮。なんというレンゲでしょう。ひと口で食べては非常にもったいないのでなめるように‥しかし佳肴すぎるな。石川の佳醸をもう一丁願いま〜す。

出た〜、宗玄 純米石川門原酒!能登は優しや土までも‥ウソつけ、こんなパワフルなお酒が優しいもんか。見なさい、しれっとアルコール18度じゃないか!
う、うまい‥!

幻のキノコ、スギタケのおひたし。ルッコラみたいな葉っぱも加わります。ナメコに近いキノコだそうですが、ぬめりよりシャッキリ感が楽しいですねえ。

何か強い魚の波動を感じる‥黄色いお酒を頼む時が来た。鳥取の辨天娘!もはや黄色を超えて琥珀に近いですが、見た目ほど強烈な熟成香はありません。見た目ほどは、ですが。本当はぬる燗くらいが吉なんだろうね。

熱々の小鍋仕立てで登場したのは和歌山産クエのだししゃぶ!緑のは万願寺とうがらしで、上にふりかかっているのはまさか‥なんということでしょう、また松茸だ!
旨味に満ち満ちたクエでシャッキリ松茸を包み食べる喜び!もう秋はシメたも同然ですな。毎月美味しいけど、今月は特に素晴らしい。さすが秋!しかしこうなると原価率が心配だ‥ヤケクソって本音かもしれん。

お食事モード突入なので焼酎をいただきましょうか。鹿児島は天星酒造の旱星(ひでりぼし)。原材料はただの芋ではありません。なんと焼き芋パウダー!
様々な芋のパウダーが入り混じる様を満点の星空に見立てたラベルが美しいじゃありませんか。
パウダーだからかな?焼き芋焼酎らしい焦げたような香りは控えめですが、甘味がエラいことになっています。秋の夜長にチビチビなめたいお酒。

食事一発目は鯖寿司。大葉とゴマ、そして実山椒の2種。天高くサバ肥ゆる秋です。

そしてシャポーンコンソメ フカヒレと玄米麺。何度書いても車ポーンと変換するMacよ。
お酒をいただいた後のひと口麺は至福です。コレのおかげで宿近くにある魁力屋とかに吸い込まれず済んでいるのかもしれない。

勢いでもう一杯芋を頼んでしまった!大海酒造の特選きもつき浪漫。「都会的センスのある焼酎」ということですが、都会的とは‥スッキリしているから?スイスイいけてしまって田舎の酔っ払い化しちゃいそうだぞ。

水菓子がわりにナシとキウイと白ワインの‥なんだっけ、とにかく冷たくて甘いの。いつもこの辺になるとお酒がいい感じに回りまして、記憶もメモも怪しいのです。

そしてラストは目の前で包んで蒸しあげる饅頭。海人の塩を使った生地に大納言の餡。This is 饅頭なストレートなおいしさにお茶が怖い。
あらゆる食材が光り輝く秋、そんな時に岡もとさんに来てしまってまんまとハマり、気がつけば丸3年通ってしまっているのだな。全て秋が悪いんだ、きっと。
もちろん翌月の予約も入れまして、この記事公開の前日に楽しんでいるはずです。11月は何が出るかな?
佳肴 岡もと 京都府京都市東山区常盤町470-4