
ステーキで胃の虫を抑えたおかげでしょうか、あの劇映画を無事観覧終了。しっかり食べておいて良かった‥しかし食欲に火をつけるどころではないね、消毒だ〜っとばかりに火炎放射されちゃったよ。
スープなどの料理が豊富な焼肉店に行きたくなるのは間違いない。またはフードコートのラーメン店だけやけに混んだりしてね。
もはや胃袋は燃え盛っている。ホテルに荷物を投げたら夕食に出発、出発〜。

そんな映画を観ておきながら、夜は「孤独」ではありません。せっかく宇都宮まで来たので当地の友人と会食です。
オリオン通りの一本南、食の名店が多いらしいかまがわプロムナードにやってまいりました。あらイルミネーションが綺麗ね。

やってきたのは宇都宮屈指の高級寿司店というウワサの「鮨 一凛」さん。なるほど店構えも高級そうだ。胡蝶蘭があるということは改装か何かされたのでしょうか。
外観が綺麗なら中も清潔そのもの。これからおそらく2時間、ゆったりくつろげそうな空間です。
カウンター7席・おつまみと寿司のコースのみ。季節のおまかせ22,000円・おつまみ多め19,800円・貝やウニなしが16,500円。
いつもならおつまみコースのところ、今回はボリュームがありそうなおまかせコースでお願いしました。

想像よりお若い大将とクール系メガネお姉さんの二人がカウンター内に並びます。飲み物はとりあえず日本酒‥仙禽や惣誉といった下野の銘酒が揃っているようですね。宇都宮に来ると仙禽を飲んでいる気がするのでお願いします。
見事な片口と猪口で登場。はっきり言って、欲しい。

まずはクエの潮仕立て‥ いきなりそんな高級魚ってどういうことですか?ちばあきお先生の磯ガラスというマンガを読んでから、クエはとんでもない幻の魚とすりこまれております。
クエの出汁と塩だけでこんなにうまくなるんだから恐ろしいですね。そりゃ横綱もアラ(クエ)鍋が好物になるというものです。

お次はブリしゃぶ。前日自宅でブリ刺しを食べて「しゃぶしゃぶでも食べたいなあ」と思っていたところで、まさしくドンピシャなタイミング。今年は豊漁らしいから氷見行きたい。

さらにカツオタタキでねじふせてきます。カツオの香ばしさはもちろんのこと、添えられていた薬味のネギがすこぶるうまい。カツオ大好きという友人は大喜び。

うわ〜、嬉しやイワシ海苔巻きだ!青魚好きで海苔好きのぼくにはご褒美そのもの。
しかしお皿がドラえもん九谷なのはなぜなんだ。かわええけど。ぼくはブラックジャックとハイジの九谷を持っています。

握りのスタートを告げるガリ。さすが新生姜首都の栃木、ガリまで新生姜だ。
これが爽やかな辛味と気持ちいい歯ごたえでうまいんですよ。なんならガリで飲みすすむことができる。

握りの急先鋒はカスゴダイ。皮が美しくてうまいぞカスゴダイ。
赤酢の旨味たっぷりなご飯は人肌より少しだけ温かい。冷たい魚とあわせて、口の中でちょうどいい温度になるのですね。

もう飛び出しましたよ、ホンマグロ漬け!本日は青森の大畑産、有名な大間のすぐ近くじゃないか。カツオの次に切って醤油に入れていたので、いつ出るのかな〜とドキドキしていた品です。
近海のホンマグロ赤身というヤツはまことにもってうまい‥なんて香りが清々しいのでしょう。身に細かく包丁が入っていて、瞬間漬けでもしっかり味が染みています。
食べてンマーイ!と来るのはトロだけど、お酒のオトモとしては漬けの方が進んでしまうね。

お次はケンサキイカ。アオリイカ不在の時期のエースだ。おおっと、コレはご飯が白いじゃないか。タネによってご飯を使い分けるとは。
白いご飯はキリッと酢が効いて、白い魚を一層爽やかに食べさせてくれるようです。温度は先ほどと同じ温かめ。小さい桶に入れたご飯を握るたびに入れ替え、常に一定の温度を保っているみたいです。すごいなあ。

ここで肴に戻ってアンキモ煮付け。甘辛く煮るのは意外でしたが、こってりたっぷりものすごくうまい。これは飲食店みんなマネした方がいい。

目にも鮮やかなアジの登場。わ〜い、青魚バンザーイ。先程のカツオにもあったネギがちょこんと乗って、やっぱりンマーイ!

北海道産タラの白子。京都や神戸で食べることが多いのですっかり「クモコ」呼びでした。どっちの呼び方だろうがうまいことに変わりはありません。尿酸値?気にしてはいけない。

ドラえもん絵皿が出たと思えばこんなかっこいい酒器も出ちゃいます。振り幅よ。

みんな大好き手渡しネギトロ。
ネギトロだけの場合が多いけど、こちらはしっかりご飯も入る手巻かず寿司。今さらながらネギトロ開眼して、スーパーで見ると買ってしまいますが‥当然のようにモノが違います。うめえ‥

好物のカワハギだ!大好物のカワハギの肝付きだ!
自宅で皮を剥いだことあるけど、正直二度とやりたくない。お寿司屋さんはありがたいですよね。あんな手間がかかる魚をこんなに綺麗においしく食べさせてくれる。

青森のもずく。細くてシャッキシャキのシャキ。は〜気持ちいい。シャキシャキ。

ここで焼き物、赤甘鯛の松笠焼き!これでもかという好物の連発にクラクラしちゃう。
パリパリのウロコとその裏から滲む脂のなんたる美味。ちぢみほうれん草とカブの甘味もマチカネ冬キタル。

ホッキ貝は炙りで登場。まあ、見事な発色の上に香ばしそうな焦げ目まで。食感も茹でのシコシコに生のムッチリも加わって‥え、炙ってこそのホッキ貝のような気がしてきた。

茹でて美しくなるといえばこの方、クルマエビ。頭側はほんのりミソの旨味も感じてたまりません。

寿司界の獅子帝、トロ!こちらも大畑産の極上です。新子とかサバとかクロムツとか好きな握りは多々あるけれど、結局のところトロ先生がいないと始まらないし終わらない。
しかも良い煮切りと良い赤酢と良いワサビ、全てがトロを引き立てるのだ。至福オブ至福ズだ。

おお、ここで包丁も見事なコハダだ。キュッと締まった身とキリッとした白い酢飯が次のお酒を呼んでならない。危険だ。

バフンウニだーッ!名前と味に差異がありすぎ大賞!
ウニが苦手という人に上物のバフンウニを食べせてはいけない。一発でウニが好きになって、こっちの分が減ってしまう。ひとウニ何万なんて初荷だけでお願いします。

お店によって味が違うのがお楽しみ、アナゴ。こちらは香ばしさとトロけっぷりのいいとこ取り。このちょいと塗ってあるツメにアナゴ何匹分の骨を使っているのでしょう。

巻物は栃木だけにカンピョウかなと思っていましたが、カッパでした。千切りでシャキシャキ度アップのミスター味っ子スタイルだ。
しかも大葉やらいろいろ仕込まれていて、なんと爽やかな‥コレと漬けとイワシ巻きをズラッと並べて五合ばかり飲ったら幸せなことでしょう。

エビが香る味噌汁。ああ、お寿司屋さんの汁はうまいなあ。

お寿司屋さんのお茶もうまい‥けれど、こちらは濃い粉茶ではないのね。すっきりさっぱり煎茶です。

玉子でごちそうさまでした。
一仕事されたおつまみ、二色ご飯とその温度管理、7席全てに目を配る気遣いと、素晴らしきお寿司の世界に惹き込まれました。品数も多く気持ち良い満腹。あの劇映画でこれでもかとお腹を空かせておいてよかった‥!大満足。
‥だったのですが、この日会食した友人が健康診断で見事にアウト、食事制限まったなしとか。気軽に呼べなくなってしまいました。
今後に宇都宮で何か食べたい時は、映画のように孤独のメシとなりそうです。一人も好きなんだけど、フレンチコースとか大皿料理取り分けとかは難しくなっちゃったな。
鮨 一凛 栃木県宇都宮市曲師町5-3 多喜屋ビル 1F