9月の話です。もはや残暑ではなく、ごくナチュラルに酷暑です。こんな暑い時期にわざわざ暑い京都に来なくてもと思いますが来てしまいました。もっともグンマという熱帯在住なのであまり変わらなかったりして。
なぜ暑い時期なのに京都まで?そう、「佳肴 岡もと」さんの席が取れてしまったから。いつ何時、どんな条件でも優先されます。
カウンター8席の予約制、おまかせコースと飲み物でおおむね2マンというところ。基本土日は18時スタート、平日は19時からスタートみたいな感じですが、30分や1時間のズレはうまいこと調整してくれるので安心。
最初の一杯は鍋島で。いや〜、好きなんですよ。見れば飲んじゃうんですよ。
最初の一品は葉っぱの下に。なんだか謎めいていますわね。
イガグリが添えてあるのでそういえば秋だったと思い出します。暑くても季節はしっかり移っているのだな。
葉っぱをどかせばなんだか懐かしいような香り‥玉子を使った玉締めには、なんとサバのへしこ餡が!この上もなく酒を呼ぶ、サバの糠漬けをつかった餡とは!目に爽やかなずんだの緑と共に杯は傾く一方。もうなくなっちゃった。
お次は鳥取の千代むすび。水木しげるロードの見学に行った時からすっかりお気に入りとなりました。すごくお酒らしいお酒です。
淡路のハモと三陸のホタテに駿河湾サクラエビのアメリケーヌソース。意外性があって見た目が美しくバッチリ美味しい。なんというお皿でしょう。ちょちょっと振りかけられた山椒オイルが効きますね。
伊予の賀儀屋の月見純米。大らかな辛口純米という触れ込みですが、なるほど大らかというか色々な肴を受け入れそうな懐の深さだ。こんな面白いお酒をよく見つけてくるなあ。
明石の一本釣りサワラと煮込み豆腐のお椀。サワラって夏場でもこんなに太ってくれる魚なんですね。たっぷり添えられた柚子と吸い地と合わせれば、大らかな月見純米が見る間に蒸発していくようだ。
いつでもラベルが素敵な京都の六歓。今回は秋上がりということで、秋の味覚をほくほく持ち帰るくまさんです。
コハダの酢洗いと根室のウニ。明石の一番海苔佃煮が醤油の代わりとなり、福岡の落花生もやしがツマとなる。コハダと海苔のコンビネーションが熟成された味のくまさんにバッチリ。落花生のもやし、信じられないくらいピーナッツの味がする‥もやしなのに。
この辺で生酛とか山廃とかパワフルなお酒をお願いすると、和歌山の車坂 山廃純米酒が登場!うわ〜い、見ただけで酸を感じてツバが出る。そうだ、せっかくだからぬる燗でお願いできますかね。
えへへ、山廃はたまにお燗で飲みたくなりますよね。これよりツマミ連チャンの八寸モードなので、片口でまとまった量をキープしておくのだ。
さて八寸の開始です。まずは毎度おなじみイワシの辛煮。5時間炊かれたイワシは骨までホロホロ、酸味が舌を洗って次のお酒がうまくなる。パワフルな山廃にピッタリじゃのう。
空芯菜と赤蒟蒻とお揚げさん。おばんざいらしいおばんざいには山椒がキリッと効いて、まるで京都にでも来たようだ。
自家製イクラは白メシではなくおかいさんと一緒に。舌で押すだけでつぶれそうな食べ頃イクラの食感を邪魔しないお粥‥なるほどこの手があったのか。
半生のバチコ!カチカチに干しあがったものでなく半生とは!炙られた表面の香りだけで酒が飲めるとフンスフンスしていましたところ、
なんともう一個来た!ナマコ好きが完全にバレていましたね。完干しのクチコよりも磯の風味がダイレクトアタックで、もっちりした歯ごたえも楽しい‥いやだ、もう半生から離れられなくなっちゃうじゃないの。もっとも他ではあまりお目にかかれないでしょうが。
クチコなんて食べてしまってはキープしていた車坂が終わってしまいます。次は逆方向、フレッシュでフルーティーなんてリクエストには高知の亀泉 高育63号で応えてくれましたよ。なるほど、生酒のフレッシュ感と甘い吟醸香がビンビン来ますね。
そして厨房からは焼き魚の香ばしい香りと、秋の王者の香りが‥キンキの炭火焼きに‥湯葉と松茸のあんかけとな?
おいおい、松茸さんは来月くらいからと思っていたからサプライズがすぎるよ!こんなチートな焼き物がある?
すっかり美酒佳肴に酔いしれたところで食事モードに突入です。まずは鯖寿司から。柴漬け入りと実山椒入りの2つ。もちろん食事と言いつつお酒にも合いすぎるのは言うまでもありません。
食事となったらなぜか芋に切り替えます。大将もよく分かっていてくださって、美し里なんて素敵な焼酎を出してくれました。白麹と黒麹の悪魔合体で香り高く旨味深いという恐ろしいお酒です。
シャポーンのコンソメにフカヒレと玄米麺。しこたま飲んだ後にミニ麺という全ヨッパライの夢!ちょっと組み合わせが贅沢がすぎる気もしますが、ヨシ!
京都城陽のイチジクの田楽。イチジクなんて秋限定にも程があるじゃないですか〜、大好き。
吉川英治氏が好きだったというイチジクのウイスキーコンポート、やってみたいと思いつつ勇気が出ません。生イチジクでウイスキー飲んじゃうよね。
目の前で包んで蒸かしあげる黒胡麻まんじゅう。餡は豆乳カスタードですって。この辺ですっかりお茶が怖いところでごちそうさまでした。今回も大変おいしゅうございました。特にどれがうまかったかと言えば、どれもあきれるほどうまかった!大満足だ〜。
翌日はたま木亭さんのサンドイッチをつまみつつ帰る京都黄金体験。
帰ってからも黄金体験は止まらない。なんとビックリ、お土産に鯖寿司をいただいてしまったのでした。グンマでどっぷり余韻に浸って、しあわせだなあ。
来月の予約?もちろん済ませましたとも。というわけで次回は10月の佳肴です。
佳肴 岡もと 京都府京都市東山区常盤町470-4