三宮でミシュランお担担をいただいた後は神戸を離れ、名神高速をバビューンと走ります。さらに新名神から知多半島道路！
たどり着いたのは知多半島の南端、羽豆岬。タコで有名な日間賀島も見ようと思えば見える・・たぶん左側の島かな？
タコもいいけど「東海のフグも逸品らしい」みたいなことが獅子文六の随筆に書いてありましたので、たっぷりいただいてみましょうと
「崎っぽ料理の宿 松新」さんでフグ尽くしコースの宿泊プランをお願いしたのであります。住所を確認しようと「さきっぽ」と入れたらロクでもない候補ばかり出たので検索時は「松新」推奨です。
さっそく夕食！本日はぼくを含めて一人旅が２組だけ、もう一人の方は隣の座敷でもう始めておられます。でっかい舟盛りを前に「うん、うまい！」と・・こっちも負けてはいられませんヨ〜！
前菜からフグの皮とかあるじゃないか。つまりアレが必要だ、ドリンクメニューっ！
知多は半田のお酒、国盛彩華の大吟醸をいただきましょう。300mlですか、では三本で。
仲居さん「三本」
さざんがきゅーの五合でちょうどいいじゃないですか。何度も呼ぶのも申し訳ないので。
はい、ふぐの宴おめでとう！かんぱ〜い。出でよ東海トラフグ！
フグ料理の華といえばてっさ！お皿の青が透けてなんと美しい。一人前でも立派な菊の花ができる量で随喜の涙です。
初手から２枚重ねという罪深いことができるのもひとりフグならでは。脂が１ミリもないのに旨い、アミノ酸のカタマリじゃないかトラフグよ。こんなにウマいんだもの、いくら毒を持ったところで食われちゃうよね。
まるごとの焼きフグは珍しい〜！引き締まった身に甘辛ダレが絡んで、なんだかよくできた五平餅のよう。手づかみでムシャムシャ食べてお酒をクイ〜と。三本あるので流れは止まらない、我ながら上策だ。
ジャジャジャジャーンという伴奏と共にてっちりの具が登場！これで一人前ですか！フグ出汁を吸ったマロニーちゃんなんて食べる前からおいしいじゃないか。
仲居さん「あ、お写真撮ります？ここに口が」
クチ？
ああホントだ、ヤラレチャッタとつぶやいているようだ。おいしく食べてあげるからな。
白いダイヤモンドの白子もしっかり！なんと美しく艶かしい・・
仲居さんがしっかり鍋を仕込んでくれました。
仲居さん「お皿に残してある切身はしゃぶしゃぶして食べてください」
なんと、やはり獅子文六の随筆にあった「フグを厚切りにして出汁でゆがいて食べる」を実食できる日が来るとは！うれしぃ〜。
薄造りの倍はありそうな切身をしゃぶっとしてポン酢をつけてパクっ・・ふはっ、うんめぇ〜！！軽く火が通って旨味が加速装置じゃん！これはすごいよ、生きててよかった〜。
鍋の方もエエ塩梅になったようですね。生の時とは違いポクポク感の出た白身、これでもかというコラーゲンの皮、旨味を吸った白菜、どこを取ってもウマいものしかない。
しかも煮れば煮るほど素敵な香りが強くなるのですが、これが東海トラフグの秘めたる能力・・？こんなに香り高いてっちりは初めてだぞ。
そして豆腐よな〜！こんな味無きモノがなんでこんなにおいしくなっちゃうんだろう。いかん、お酒が止まらない。
だってほら、白子までしゃぶしゃぶしちゃうんだよ？こんなのお酒が蒸発しないワケがない。雄山先生、やっぱり脳みそよりこっちの方が好きみたいです。
フグの唐揚げまで出てきた。カラリと油切れの良い衣からポックポクの身が弾けだす！やたらとウマい汁も飛び出す！どうやっても最高じゃないかフグよ・・
そしてトドメを刺さんと焼き白子が来たよ！ちょちょちょっと待って、デカいよ！トラフグ白子つきコースは１泊２食で16500円でしたよね。都内だったら夕食だけで軽く２万超えな気がしてならないんですが大丈夫ですか？
ああもう、クリーミーとか言うのもアホらしいくらい・・すごく・・おいしいです・・とんでもないコクなのになんでこんなに澄み切っているんだ、フグは全身がおかしい。いまだに肝を食べて死ぬ人がいるわけだ。
あまりのうまさにやっぱり日本酒が全滅した。純米吟醸片名を一合願いま〜す。
フグやアンコウのラストを飾るのはやっぱりコレ、雑炊ですよね〜。しかしエラい量ですな。
仲居さん「お出汁の量とバランスを取るとこうなっちゃうんですよ。多いのは分かってますから残してくださいね」
はい、残さずいただきたいですが、コレはさすがにね。
・・ひとすすりしたら東海トラフグめ、とんでもないお出汁ですよ。酒が飲める雑炊だよ。芋のロックをください！
仲居さん「あれ？先ほどお持ちした追加のお酒は・・」
白子を前に残っているわきゃありません。
う〜い、幸せいっぱい腹いっぱいだ。フルーツとコーヒーゼリーを流し込んで活動限界。現時点の幸福度ランキングは東海地区でベスト100には入るな。
・・ああ悔しい、なんで今まで知多半島に来なかったんだぼくってやつは。またすぐに来て今までの分を取り返さないと！次はタコか？大アサリか？なんだかんだやっぱり・・フグか、フグなのか？
崎っぽ料理の宿 松新 愛知県知多郡南知多町片名字新師崎16-7