宇治でパンと菩薩を楽しみまして、夜。
第一夜が小粋なアテでクイっとひっかける角打ち風のお店だったので、今夜は極上の和食ライブで全国の銘酒を楽しむ、日本酒の深淵であり沼であるお店にいたしました。
東山の馬町交差点あたり、毎月に近い勢いで通っている「佳肴 岡もと」さん。北関東の友人は日本酒もいけるクチなので、ぜひ一度連れて来たかったのです。
何度も書いているので概要だけ。カウンター8席の予約制・おまかせコースのみ・お酒をたくさん飲んで総額一名二万円弱といったところです。
北関東組ということで、とりあえずの一杯は益子の望 純米吟醸無濾過生原酒といきましょうか。
友人「ジャケで山川光男にします」
山形の四つの酒造が醸す発酵の極みみたいなヤツですね。次はそれにしよう。
まずは温かいものということで、淡路島の新玉ねぎをもち米と蒸した・・つまり粥?そこに花わさびの餡とウニ。玉ねぎの優しい甘さに花わさびがピリリと効いて、これだけで2時間くらいお酒を飲み続けることができそう。うめえ、うめえよう。
梅の枝も美しい一皿は長崎のクルマエビに赤貝とアスパラ・黄身酢和え。これは箸をつけるのがためらわれるビジュアル。でも食べちゃう。ふぉお〜、赤貝うめえ〜!なんたる味の詰まり具合よ。見ても食べてもおいしいのは反則だ。
お椀は宍道湖のシラウオに満月豆腐。これまた見目麗しいじゃありませんか。宍道湖七珍ツアーに行きたいと思いつつ幾星霜。今では7つも食べられないので、スズキ奉書焼きと鯉の洗いとシジミ汁、三珍くらいでもいいかなとか思ったりして。
望と山川光男の後は、福居の一本義アラバシリー!!無濾過生酒好きすぎ問題!
「無濾過生なモノを」と、極めて雑なオーダーで出てきたのがこちらです。どうお願いしてもその通りのお酒が出てくるマジカルなお店です。
明石の黒メバル炙りに島らっきょう。無濾過の酒のパワフルさを全て洗い流すような、圧倒的メバルの旨味とらっきょうの香り。海底人間最高じゃないか。
終わらない八寸の口火はおなじみイワシの辛煮から。5時間ほど煮たというイワシはまさしく佳肴の代表。ひとカケで一杯飲めてしまうわ。
世界一統というあまりに強そうな酒造の代表選手、南方 超辛口純米でこれからの八寸を迎え打ちましょう。ハードな当たりでコメの味もしっかり、こりゃ強い、強い酒だ。お酒大好き南方熊楠先生もきっと大喜びでしょう。
琵琶湖の氷魚にお揚げさんとセリ!この上もなく初春なおばんざいではないですか。ぼくは今・・山城国で飲んでいるのだなあ・・
三河のウナギと熊本の豆腐味噌漬けをなんと春巻きで。アツアツの皮を噛み破ると濃厚な香りがあふれ出す。油で揚げてこそ具のパワーに対抗できるのだな。そして酒が進む進む。
なまこの卵巣塩漬け。口子を干す前のコノコですか!日本海が引っ越して来たような佳肴オブ佳肴には・・あの辺ありますかね、鶴とか亀とか。
大将「竹鶴も神亀も、どちらでも」
最愛のお酒、神亀で生口子なんて大事件ですよ。しかも春限定のスプリングライトじゃないか。亀さんとしてはちょっと軽い風味、そこが爽やかさ極まる生の口子にピッタリ。旨味が深い干し口子ならいつもの神亀が合いそうなのが面白いところです。
キチジの炭火焼きに浜名湖の新のり餡、刻み湯葉と国産マスタード!香りと風味と食感と、美味しい要素の全てがマシマシなんですけどどうしましょう。
キチジとか脂の強い魚はシメのお湯かけ、通称「医者ごろし」がウマいわけですが、これは鍋に入った餡かけ仕立てだから自動的にそうなるワケで。お湯の代わりに新のり餡なワケで。つまりメシを入れたら究極の海苔茶漬けに?
お食事モードに入って、おなじみ鯖寿司はスグキと実山椒。
友人「鯖寿司好きだけど、これはさらに一段上。持って帰りたい」
食べるたびにそう思います。持って帰りたい。
シャポーンコンソメにフカヒレと玄米麺。シャポーンというのは去勢したトリで脂が乗りやすくなるそうですが、そんな食べる専用みたいなトリで出汁を取るなんて反則じゃないのか。なんてふくよかで丸みがあるウマさなんだ。
いつもの締めは芋のところ、今回は球磨焼酎があるということで文蔵をいただきます。辛子蓮根と一文字グルグルが欲しくなる?
デザートは桜豆乳ジェラートにイチゴソース、金柑とブルーベリーは徳島だったかな。イチゴと桜でいやがうえにも春爛漫。
ラストは目の前で包んで蒸しあげるまんじゅうです。ケシの実まんじゅうのアンコは丹波大納言と胡桃。風味に風味が重なって、この辺でお茶が怖くなる。もちろん熱いお茶をいただきます。
今回は四国から通っているというお客さんもいたようで、よくもまあ遠くから・・まあ我らも北関東から来ているワケですが。
友人「わかります。そしてみなさんの一番なお目当て、メインディッシュは大将な訳ですね」
その通り!やっぱり一回でわかるよね。というわけで、次回4月の予約も完了。バリバリに春ですからね、何が出るかな何が出るかな。
佳肴 岡もと 京都府京都市東山区常盤町470-4