
ずっと食べたかった「CACCスネークピットジャパン ちゃんこの台所」さんの湯豆腐鍋をいただいたのが昨年末。
ついに悲願を達成したのはいいですが、あまりのうまさと雰囲気の良さに、今度はリピート欲がモリモリと湧いてしまったのは当然の流れでした。

1月には「湯豆腐のたれ」の通販が始まり、自宅でもあの味が楽しめる!
これで行かなくても大丈夫、だったはずなのですが‥いや‥ダメだよっ!食べれば食べるほどうまくて、湯豆腐以外のちゃんこも食べなくてはいけない義務感すら湧いてきたよ!
都内に在住のプロレス好きorうまいもの好きっぽい人たちに声をかけ、初めましての方も含めてなんとか四人揃った!予約、予約〜。

高円寺駅北口から環七へ向かって徒歩6分。飲食店とは関係なさそうな普通のビルにお店はあります。誇り高きCACCの看板の下にホラ、「プロレス道場の食堂」という文字が!
ビル・ロビンソン氏直伝のキャッチ・アズ・キャッチ・キャンを伝えながら、プロレス道場で長年親しまれてきたちゃんこ鍋まで食べさせてくれる夢の道場!

やっぱり普通のオフィス的な鉄のドアに輝くUWFの文字。この三文字にどれほどの人が狂わされてきたことか。ぼくなんて学生プロレスでUスタイルをやって盛大に外しましたからね。
この日はレスリングコーチを招いてのイベントがあったそうで、レッスン後のお食事会真っ最中でした。厳しい練習の後にちゃんこでリカバリーとか最高だなあ。

忙しい中、ジム代表兼シェフの宮戸選手がドリンクの注文を取ってくれます。ソムリエ厳選というワイン、なんとアントニオ猪木氏が推薦してくれたソムリエだそうです。そいつは飲まないワケにはいかない。
他三名は名物のどんぶりビールでスタート。

ちゃんこを食べるどんぶりに注いでしまう、お相撲さんやレスラーらしい豪快な飲み方!
彼らは牛丼用の巨大などんぶりに大瓶一本注いでしまうらしいですが、一般人向けはミドルどんぶりに中瓶で。適度に泡が抜けてまろやかになり、確かにガブガブとイケてしまうそうです。

こちらはスペインの自然派ワイン、ロベティア・シャルドネ。ハチミツのような香りと落ち着いた酸味が万能感ある。

どのくらい万能かというと、最初に出たカツオの刺身とケンカしないどころかしっかり寄り添ってくれちゃうんですよ。
しかしカツオうまいな。そうか、もう生のカツオが獲れる季節か。食べる直前におろしてくれたニンニクとショウガが香り高くて最高。

周富徳氏の元で修行をされ、宮戸味徳という名を持つシェフ。中華の一皿である蒸し鶏が登場しました。
驚くほどしっとりとしたトリに、さっぱりうまいネギソース、そして香菜!鶏肉スキー、パクチースキーとしてはこの皿でずーっと白ワインを飲み続けることができますって。

しかしそうも言ってはいられない。本番のソップ炊きが出た〜!
相撲部屋でも「ちゃんこはソップ炊きが一番」と言われている、ちゃんこの王道!ソップというのは鶏ガラのことで、スープがなまった説があるとか‥
全て宮戸シェフよりの受け売りです、はい。料理や飲み物全てにエピソードがついてまわるので、本当に楽しいんです。
通常のちゃんこコースは二名からですが、ソップ炊きはまとまった量で仕込む必要があるので四名から。そんなワケで人数をかき集めたのでした。

カセットコンロは保温用で、すぐに食べられる状態で出てきます。それでは第一弾行きましょう。
ゴボウや大根がたくさん入るからでしょうか、ひと口目はけんちん汁のような大地の香り。もうひと口と食べすすめていくうちに、じわじわ沁みてくるソップの旨味‥
いや、じわじわどころかグングン旨味が攻めてくるぞ。なななな、なんて美味しいんだ‥!ラーメンスープの油多めなソレとは違う、あっさりしながらもたっぷりと秘められた鶏の旨味!
シャッキリと歯ごたえが残る野菜が次のひと口を呼ぶ。そして決して味が濃いわけではないのに、ご飯やお酒が恋しくなって仕方ない。これがちゃんこの魔力‥!

こいつは箸もオタマも止まりませんよ。
具材が全てひと口大に切られているのは、火の通りを良くすると同時に、テンポよくたくさん食べられるようにする工夫なのでしょう。そんなことが一本包丁満太郎に書いてあった。
鶏団子・キャベツ・豆腐・根菜・ニラ‥いかにもヘルシーな材料ばかりの鍋とご飯で体重を増やすのですから、ハンバーガーやピザなんかで太るのとは筋金の入り方が違うワケです。

ちょっとご不浄に行って戻ってくると、聞こえてきたのはイノキ・ボンバイエ・イノキ・ボンバイエ!かの名曲「炎のファイター」じゃありませんか。
何事かと思えば、この日は猪木会長の月命日。みんなで「123ダー」をやるのだそうです。何ですそのステキな追悼は!
宮戸シェフの音頭で‥1・2・3・ダーっ!闘魂フォーエバーっ!

その猪木会長の好物だったというキンピラゴボウ。ダーの後にお供えもしていました。
ゴボウとニンジンのどちらもとんでもなくシャッキシャキ。結構なピリ辛があとを引く!人生キンピラでチャンピオン決定ですって。
このシャキシャキ感が決め手で、ちょっとでもヘタっていると会長に怒られたそうです。

こちらも会長の好物というポテトサラダ。
ゴロゴロとイモの形が残るポテサラ。それも通りで、こっちはイモがシャッキシャキだ!うま〜い!人生ポテサラのチャンピオンに躍り出ました。今日はチャンプが乱立するなあ‥
会長は歯ごたえの良い物がお好きだったんですね。やはりアゴのパワーが違うのか。

さらにたたみ込むように手抜きちゃんこのポークソテー。こんなうまそうなお肉がなぜ手抜きなんだろう。とあるちゃんこ番(推定高田選手)が生の豚だけ出して「ポークソテーです。好きな感じに焼いてください」と盛大な手抜きをしたという話があるらしいけど、その辺かな?
宮戸シェフ「先ほどのポテサラを添えると美味しいですよ!」
なるほど、それはどう考えてもうまい!やります!

甘辛うまい、どう考えてもメシを召喚しすぎるタレ。豚のうまさをフルに引き出すベストミディアムな焼き加減。手抜きどころか理想のちゃんこじゃないか!
ガッツリむっちりの豚さんとマイルドでシャッキリのポテサラ、マリアージュがすぎる。さらに白ワインを流し込めば何重のマリアージュだ、重婚だ!
宮戸シェフ「最後にご飯ものをお出ししますけど、ソップ炊きのスープを使った雑炊にします?チャーハンもできますけど」
さっきのソップ炊きスープで雑炊!周富徳直伝、宮戸味徳氏の鍋によるチャーハン!そんなのアンドレとハンセンのどっちかを選べと言っているようなもんですよ?
合議の結果、チャーハンをお願いすることになりました。一人じゃ絶対結論が出なかった。

ここは高円寺でなく横浜中華街だったか、あまりにも美しい黄金チャーハンが登場しました。コメの一粒一粒にしっかり油が回っているのに、なんと軽い味と食感なのだろう。パラパラとかシットリなんて話ではなく、軽いんだ。
チャーハン一点突破で19巻まで出た華中華なんて漫画がありましたが、作中のチャーハンはきっとこのくらいうまいはず。なんともあらまほしきチャーハンです。

デザートはバナナです。高田選手はいつもバナナを食べていたとか何かで読んだ。
いやはや大満足、大満腹。ついでにワインと日本酒と、諸々飲み過ぎてしまいました。だって本当に何を食べてもうまいんだもんな。特別オーダーのソップ炊きはもちろんのこと、普通のお惣菜であるはずのきんぴらとポテサラがすごかった‥!
友人たちも満足してくれたようです。アントニオ猪木氏のように元気あふれる宮戸シェフから直接パワーを受け取ったらしい。間違いなくパワースポットですね。
次はキムチ鍋で行きますかーッ!なんて話もすぐに出ました。よし、行こう!
CACCスネークピットジャパン”ちゃんこの台所” 東京都杉並区高円寺北2-15-1 2階