
10月になり、ようやく半袖から卒業かな〜と長袖ジャージで来た京都。うん、暑いね。四季の移ろいというヤツ、もっとがんばってくれ。
京都の街を歩いて運動した気になる予定でしたが、結局タクシーを呼び倒してしまいました。MKさんが来ると得した気分だね。

日が落ちたら少しだけ涼しくなったぞ。今度はサボらず、ホテルからテクテクやって来たのは「京都フライ割烹 みくり桑」さんです。
先日ランチで「極 レアアジフライ定食」をいただきまして、フライによるシン・タタキという鮮烈な衝撃を受けたお店です。次は夜に来て飲みますと言って帰ったので、某三姉妹ばりに有言実行。

蛸薬師通から西洞院通をちょっと上ったあたり、先ほどの看板が出ている路地の一番奥にお店があります。
L字のカウンター席に本日は3組。はじっこにぼく、もう2組はベテランとお若い‥どちらもご夫婦かな?デートの邪魔にならないよう静かに飲まないとな。
夜のメニューは11,000円の和食とフライのおまかせコース。そして15,500円で飲み放題つきとなるそうで、5人全員がそちらに決定。
なんと高級ウイスキーも一杯OK。みなさん山崎のハイボールや水割りで始める模様ですね。

ぼくは‥いつもの通り日本酒でいこう。京都っぽいお酒をお願いします。
出てきたのは丹後の白木久 特別純米 銀シャリ。え、これって飲み放題で出していいお酒なんですか?

「フライ割烹」ですので、まさに割烹な前菜からスタートです。赤海老・揚げ銀杏・ポテサラコロッケ・芋の梅煮・ホタテ時雨・自家製XO醬・鮭白子。
銀杏やホタテの酒を呼ぶことと来たら。ポテサラコロッケの滋味にこちらはフライのお店だったことを思い出す。XO醬はなんですか?貝柱かエビが何か知らんけど、醬のクセにそのまま食べて素晴らしいツマミじゃないか!

こんな佳品が並んでは一杯で済むはずもなく、先ほどと同じ丹後の白木久よりCHIMERAを召喚。3種の酵母と3種の麹を使ったというからそりゃキメラだよ。ラベルを見るとライオスっぽいけど。
しゅっぱいとつぶやいてしまうほどキリッとした酸。面白いなあ。

ちょっと待ってください。若い方にオススメしているお酒の中にとんでもないモノが見えましたよ。秋田の新正 亜麻猫!どんなツマミでも優しく柔らかく包み込む、低アルコールの優しいネコちゃん‥ください!
鮭白子の濃厚な旨味にそっと寄り添う甘酸っぱさ‥亜麻猫さんって特約店とかでしか手に入らないお酒ですよね。本当に飲み放題でいいの?なんか申し訳ないから一杯にしておこう。

お造りは秋においしくなる北海道のブリ。鬼おろしポン酢にカラシでいただきます。
寒ブリと間違ってしまうほど脂ノリノリ、なるほど、カラシのパンチがピッタリだ。

これはパワフルなお酒が欲しい。黄色いようなお酒あります?と聞いてみれば、島根の王祿ハチマルが登場。精米80%、雑味こそパワー!なんだかチョコの風味もするような‥うまい、こいつは好きすぎる。

次はパンのようなものを揚げているぞ。なんだろう、白ワインでも頼んで様子を見るか。シャティオン・アン・ディオワ・シャルドネだそうです。樽の香りはナシ、ひたすら果物らしいスカッとした酸味。エビやホタテなんていい気がするね。

熱々のところを手渡しされたのはエビの揚げパン!大ピンポンだやったー!
ザクザク食パンからまろび出るエビのしあわせ。そりゃスッキリ白ワインも進むというものです。

お次は茶碗蒸しですが、知っているソレと香りが違う‥
なんとコノワタ茶碗蒸しの海苔あんかけ!三大珍味でも最も磯の香り高きコノワタ先生を茶碗蒸しに‥?まさに珍味、素晴らしい佳肴!若い方が「こんなうまいもの初めて」と大喜びしているぞ!

コノワタ・海苔・玉子と重なっては再度日本酒にお出まし願うほかありません。秋田の花邑がチラリと見えていたのでください。
亜麻猫にも似た不思議な甘酸っぱさでなんともたおやかで‥擬人化の反対、秋田美人を液体化したようだ。しかしコレもレアなお酒なはずなのですが‥ドウシテ‥

いよいよ本格的にフライ割烹の始動です。前回心を射抜かれた極 レアアジフライが出た〜!舞鶴産のアジはさらに大ぶり、エラいことになっているぞ!
山椒塩と自家製ウスターソースがついてきます。このソースがまたうまいのよ。醤油ベースで八角とかオリエンタルな風味のはずなのに、結局お酒にもご飯にも合う洋食ソースのような味になるのが摩訶不思議。

自家製ソースが染みた軽い衣を楽しんだところで、旨味たっぷりオーベロン アンジュブランをもろともに。

ほぼアジ刺しのレアな身を山椒塩で楽しんで、カンティーナ・トゥデルナム レ・ルクレツィア ウンブリア サンジョベーゼ‥長いね。とにかくスカッとベリーな風味のワインで流しこむのもしあわせだ。
マキコレワインいいなあ。グンマで買えるかな。

フライから割烹に戻り、アワビの肝ソース!おろしたて本ワサビが食べる前から香ってくるよ。こんなにアワビの肝たっぷりでどうするんだ、韓国の新聞社もビックリだ。
疾風怒濤の磯風味に備えて日本酒をチャージしなくては。

大阪の秋鹿 純米吟醸 能勢厳寒仕込み‥限定五千本のお酒まで出てきました。熟成の効いた風味の後に綺麗な後味、これ欲しい‥でも五千本だもんな、もう買えないよね。
女将さん「カニが苦手と聞いておりましたけど、まったくダメな感じですか?」
タカアシガニをまるっと食べたら分かりませんが、ちょっとくらいなら問題なしです。
女将さん「次がカニのコロッケになりますけど大丈夫でしょうか」
あ、コロッケ程度でしたらもう。味は好きなはずなんでお願いします。

というわけでカニとカニミソのクリームコロッケ。これがすごくて‥すごかった。クリームコロッケのクリーム部分のうち何割がカニミソだ!というくらい圧倒的カニ風味。カニよりカニの味なのでは?
すみません、思っていたカニコロッケと違った。タカアシガニ1匹分くらいエキスが入っているかもしれん。何が困るって、今まで封印していたカニが好きになってしまう。

久しぶりにガツンとカニを味わっておめでとう。静岡の開運 特別純米でお祝いだ。よよよいよよよい、とね。

くもこポン酢 自家製柚子胡椒添えでさらにめでてえな。茶碗蒸しやアジフライで狂喜していた若い方、これがベストオブベストだ〜!とついに乱舞。人がうまいものを食べて喜ぶシーンはなんて楽しいんだ。

メインの波動を感じたので赤いところをお願いすると、ル・オー・メドック・ド・ラグランジュを出してくれました。ボルドーだけど渋みが少なく飲みやすい側で、次に控えているであろう豚にピッタリな感じ。
これだってそこそこ良いお値段ですよね。いやはやなんとも‥超弩級の飲み放題だ。

出たー!本日のメインはヘレカツ!どこの豚だっけ、聞いた気がするけどがっついてメモ取り忘れたよ。
しっかり火が入っているけどナマの食感を保っているカツ。なんとなく和を感じる自家製とんかつソースと合わせると、まるでニクの刺身のようだ。全く口に障らないふんわり衣も刺身感を大アップ!
モニュッと噛みしめてグイッと飲むワインのうめえこと。フライ割烹、アリもアリだ。

シメの食事はなんと自家製生カラスミと自家製イクラのっけご飯!めちゃくちゃだっ、こんなの!最高なんて二文字じゃ気持ちが表現しきれないよ!リアクションがすごいはずの若い方がむしろ黙っちゃったじゃありませんか!
うまいものとお酒をこれでもかといただき、近年稀に見る満ち足りた気持ち‥でもお会計はやっぱり15,500円で追加はありませんでした。酔った頬に夜風を当ててニヤニヤと帰る足取りは非常に軽いのでした。
どうしよう、京都に来る理由が増えてしまった。このお店って席数もそんなにあるわけじゃないから、あまり知られては予約困難になってしまうのでは?影響力が低いブログでよかった。
京都フライ割烹 みくり桑 京都府京都市中京区池須町419−6