
「ばりごく麺」というラーメン漫画。哭きの竜や昭和天皇物語で有名な能條先生の作品ですが、傑作というよりトンデモな怪作の側です。
先生の作品でお約束の「雨と共に現れる主人公」が、異常にカッコいい絵による「必殺の湯切り」で作ったラーメンは常にバカうま‥ラーメンうんちく漫画とはちょっと違う、能條イズムが暴発していて大好きな作品。
巻末で紹介されるラーメン屋情報も今はなき店が多く、非常に味わい深い。そして個人的見どころは、主人公が若きラーメン修行者に作ってみせた「中華の汁そば」です。
「中華鍋で作る」以外の詳細は全く無く、ざっくりとした絵だけ。それなのにとにかく上品でうまそうに見えて‥ああ、こんな汁そばが食べたい。

高級汁そばを食べたいという欲に応えてくれそうなお店はどこだろう。ぼくが知っている本格中華といえばここだ。太田市運動公園近くの「幸蘭」さん。
いつものように開店の11時半ジャストを狙って入店、それでも3番乗りでした。

回鍋肉うまいんだよな〜!麻婆豆腐食べたことないんだよな〜!
でも今日は定食ではない。麺類ページを開くのだ。

目的のブツは五目そば(塩味)か、ふかひれスープ麺もそれに近いのか。作中の麺は五目そばに見えたし、そもそもふかひれはランチ予算オーバーである。はい、五目そばを願いま〜す。

してやったり。これぞ漫画に出ていた汁そば、高級中華料理店の汁そばそのものだ!

具材を炒めた油でやや濁った湯。その濁りの分だけ旨味がプラスされているということだな。

テボで激しく振られた麺の表面に傷がつき、スープと一体化する龍鱗麺‥!は漫画の話ですが、シャッキリ茹で上げられた極細麺はスープをたっぷりまとってしっかり一体化。なんだ、傷なんてつけなくてもできるじゃないか、龍鱗麺。

エビにカニ爪、そして包丁が入ったイカ。中華で高級感を添えるシーフードといえばこの方たちです。カップヌードルに何がなんでもエビを入れたのはそういうことなのかな?

中華の野菜代表チンゲンサイ、こいつは外せない。後は玉ねぎ白菜しめじタケノコ、ちゃんとお肉要素として豚肉も入ります。五目どころか八宝も超えてしまう、お宝だらけの水泳大会だ。

豚と葉っぱと麺をもろともにすすり、素敵なハーモニーを楽しむ。めったに食べないカニ爪を掘って、やっぱり食べるとうまいんだよなと再確認。エビとイカの食感の妙‥
ああ、五目か八宝か知らんがなんて楽しいんだ。湯、麺、具の全てに中華の技が叩き込まれた一杯。うまいラーメンは能書きたれずにガムシャラに食え!という榊原麺太さんの言葉に従い、ズズズッとすすってスープの一滴も残さずごちそうさま。
いや〜、見事に漫画の追体験ができました。もしかして厨房に麺太さんいらっしゃる?やはり幸蘭さんは何を食べても好みなので、ランチに迷った時はお世話になることでしょう。
幸蘭 群馬県太田市内ケ島町463-5